熊本地震で家屋倒壊相次ぐ…「もしもの備え」で知っておきたい「地震保険」の仕組み

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2016年04月18日 11:52  弁護士ドットコム

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熊本県で大きな地震が断続的に発生し、各地では家屋の倒壊や火災が相次いだ。こうした状況を受けて、損害保険各社は災害対策本部を立ち上げ、熊本地震で被災した契約者からの事故受付体制を強化するという。


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今回の地震で、どこに住んでいても地震のリスクがあることを再認識した人も多いのではないだろうか。もしもの時の備えの一つが保険だ。



地震が起きた場合、通常の「火災保険」でカバーされるのだろうか。どんなところに注意しておくべきなのだろうか。保険にくわしい好川久治弁護士に聞いた。



●地震による損害は「地震保険」で補償される


「一般の火災保険では、地震や地震による津波で生じた被害は、補償から外されています。地震がきっかけの火災で家が全焼しても保険金はおりません。地震で家が倒壊した場合も同じです。地震による損害を補償してもらうためには、別途、地震保険に加入しなければなりません」



好川弁護士はこのように述べる。



「日本は地震大国ですので、いつ地震が起きてもおかしくありません。しかし、他の災害と比べてどのくらいの頻度で発生するのかを予測することは困難です。



地震は他の災害と比べて発生頻度が高いとは言えません。他の災害と異なるのは、いつ発生するわからない点です。



また、地震が起きた場合に生じる損害の内容・程度は、その他の原因による損害の内容・程度とは全く異なります。したがって、保険会社が補償を引き受ける場合のリスクも違ってきます。



保険は、一定のリスクに対し、その発生の確率、内容・程度に応じて保険料率を決めています。いつ起こるかわからない、しかも一度に莫大な損害が発生する地震に対しても、他の原因による場合と同じように保険金を支払ってしまうと、収入保険料と支払保険金のバランスが崩れ、保険制度そのものが成り立ちません。



ですから、保険会社は、地震に特化した保険を用意し、独自の統計に基づき保険料を決めて補償を引き受ける必要があります」



地震保険に加入することで、どのような補償が受けられるのか。



「地震保険は、居住用の建物と家財について、地震を原因とする火災、損壊、流出等の損害が生じた場合に、『全損』、『半損』、『一部損』に応じて、あらかじめ設定した保険金の範囲内で保険金が支払われます。



地震保険は、一般の火災保険とセットで加入することになっており、契約時に地震保険に加入しない場合は、『地震保険に加入しない』と書かれた欄に印鑑を押すことになっています。地震保険に加入したつもりが、印鑑を押す場所を間違えて加入していなかったということにならないように注意しなければなりません」



万が一に備えて、地震保険に加入しておく価値はありそうだ。



「ただし、地震保険の保険料は、都道府県ごとに料率が異なり、建物の構造によっても差が設けられていますが、決して安くありません。補償額も一般の火災保険の保険金額の半分以下ですので、発生した損害の全て賄えるわけではありません。



しかし、今後も規模の大きな地震の発生が予想されていますので、万が一の場合に備えて、地震保険への加入により、想定されるリスクを極力減らしていく自助努力が求められています」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
好川 久治(よしかわ・ひさじ)弁護士
1969年、奈良県生まれ。2000年に弁護士登録(東京弁護士会)。大手保険会社勤務を経て弁護士に。東京を拠点に活動。家事事件から倒産事件、交通事故、労働問題、企業法務まで幅広く業務をこなす。趣味はモータースポーツ、ギター。
事務所名:ヒューマンネットワーク中村総合法律事務所
事務所URL:http://www.hnns-law.jp/


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