「バツイチ子持ち」の弟が突然死...「保険金3000万」は誰のもの?【小町の法律相談】

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2016年04月22日 09:51  弁護士ドットコム

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バツイチの兄弟の遺産は、誰に相続されるのでしょうか? 「弟が脳出血で、突然亡くなりました」というトピ主が、Yomiuri Onlineの「発言小町」に相談を寄せました。


トピ主によると、亡くなった弟は20年前に離婚。その後は再婚せず、1人で暮らしていたそうです。子どもは2人いますが、いずれも元妻が育てています。夫がかけていた3000万円以上の保険金と死亡退職金は、いずれも弟の子どもが受取人に指定されていました。


トピ主は、これに納得がいかないようです。弟は長男で、生前「両親の墓を自分が建てる」と言っていました。また、実母の入院費用の支払いに弟が協力しなかったため、トピ主が借金をして、入院費用を支払いました。


そこで、トピ主は、弟がたてると約束していた「墓の費用」と「入院費用の半額」を、「保険が入った息子たちに請求」することを考えているようです。


この相談に対するレスには、「生前のお墓の件は、口約束。弟が死んだ時点で無効」だとして、弟の息子に墓をたてろと要求することはできないというコメントがありました。また、母親の入院費用の負担については「息子たちには関係ない」として、請求できないという意見も。


トピ主は、両親と弟の墓を建てる費用や、母親の入院費の半額を、弟の息子に請求することができるのでしょうか?増田 勝洋弁護士に聞きました。


(この質問は、発言小町に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部と弁護士ドットコムライフ編集部が再構成したものです。トピ「弟が亡くなりました」はこちらhttp://komachi.yomiuri.co.jp/t/2016/0313/754838.htm?g=15)


  ●弟が母親の「生活扶助義務」を負っていたかがカギ


まず、お墓を建てる場合ですが、その費用は建てた方が支払うことになります。


ご両親のお墓について、弟さんから仮に、生前「自分が建てる」と言われていたとしても、現実に建てられていなければ、費用の半分を請求する権利は具体化していません。今後、質問者が両親のお墓を建てても、その費用を息子さんたちに請求することはできません。


弟さんのお墓については、弟さんの相続人である弟さんの息子さんたちが決めるべき問題です。息子さんたちがしたいようにしていただくのがよいと思います。その場合にはもちろん息子さんたちが費用を負担することになります。


次に、質問者のお母様の入院費ですが、まず、弟さんは生前、入院費の半額負担に協力しなかったということですから、息子さんたちに対して合意に基づく費用負担請求をすることはできません。


しかし、弟さんが生前、母親に生活費を渡すなどの「生活扶助義務」を負っており、母親の入院費を負担した質問者から、弟さんに対してその分を払えと請求すること(「求償請求」)が認められるような場合であれば、息子さんたちが求償義務を相続することも考えられます。


ただし、生活扶助義務が誰にどのくらい認められるかは、義務を負う方の資産や生活状況にもよりますから、弟さんの生前の資産や生活状況が、母親の援助をするだけの余裕があったかなどの事情によって結論が変わってくるでしょう。


いずれにせよ、弟さんの保険金(なお、生命保険金は受取人固有の財産であり、相続財産ではないため、遺産分割の対象にもなりません)や、死亡退職金など3000万円以上の資産が息子さんたちの手元に入るのですから、一度事情をゆっくり話して協力をお願いしてもよいのではないでしょうか。




【取材協力弁護士】
増田 勝洋(ますだ・かつひろ)弁護士
大阪弁護士会、司法委員会、司法修習委員会委員
著書:『事例にみる遺言の効力』(共著、執筆担当)
法律事務所の携帯電話向けサイトURL:http://masuda-law.plimo.jp

事務所名:増田法律事務所
事務所URL:http://www.masuda-law.net/


このニュースに関するつぶやき

  • 法律云々以前の話。死んだ弟の生命保険金を甥(姪)から取ろうという発想がゲスい。
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