世界18か国4,000名以上の2型糖尿病患者さんを対象に大規模試験
2型糖尿病の治療において、血糖値のコントロールができている患者さんは過半数にも満たないと言われています。有効性の高いお薬が続々と登場しているにもかかわらず、なぜ治療効果が上がらないのでしょうか。その原因解明につながるような研究結果が、第76回米国糖尿病学会年次学術集会にて発表されました。
ハーバード大学の関連医療機関ブリガム・アンド・ウィメンズ病院は、イーライリリー・アンド・カンパニー社出資の下で、2型糖尿病患者さんを対象とする包括的多国間試験(MOSA1c)を実施してきました。試験の対象となったのは、治療にインスリン製剤を使用している世界18か国4,000名以上の成人患者さんと220名の医師で、試験期間は2年にわたります。
血糖値コントロールに有効な薬物治療を選択できないその訳とは?
この試験結果によると、3分の2の患者さんは血糖値コントロールができていませんでしたが、そのうち薬物治療の追加投与を受けたのは4割程度に留まりました。なぜ、状況に合わせて薬物治療の選択・変更がなされていないのでしょうか。
そこに大きく影響しているのが「患者さんと医療関係者の関係性」です。医師への信頼、治療方針に対する同意は、患者さんの心理的負担の軽減や知識につながり、日々の血糖測定など自己管理の意識を高めます。その結果として、医師にフィードバックする情報の精度が上がり、有効な治療方法の選択につながっていくのです。
また、この試験では、若い患者さんや教育水準が高い患者さんほど、治療の強化・改善がなされるケースが多いことも明らかになっています。糖尿病治療の薬剤は、選択肢が広がった一方で、複雑化しているのが実情。日々の自己管理が欠かせない糖尿病治療において成果を出すためには、患者さん自身の知識と前向きな姿勢、そして医師との信頼関係が重要と言えそうです。(QLife編集部)
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