高齢の親が「40万円」のキノコのサプリ購入、止めさせるには?【小町の法律相談】

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2016年07月08日 09:52  弁護士ドットコム

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離れて暮らす高齢の親の暮らしぶりは気になるもの。とくにお金の管理は、誰がどのように行うべきなのでしょうか。実の母が「電話販売で高額商品を購入していました」という方が、Yomiuri Onlineの「発言小町」に相談を寄せました。


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両親は2人暮らしですが、同居する父は認知症。今年に入って、2度も電話販売で高額商品を購入していたことがわかりました。さらに最近、「キノコのサプリを40万円以上出して買って飲み始めた」と聞き、驚がくしたそうです。トピ主は海外在住のため、すぐに対応できないもどかしさもあるようです。


レスには「老人ホームに入ってもらうことを考えてみてはどうですか?」といった声のほか、「非通知拒否など着信制限を行う」「新しい電話番号に変更する」などの具体的なアドバイスも並びました。


高齢の親が、高額商品を買ってしまうことがないよう、どのような対応ができるのでしょうか。佐田理恵弁護士に聞きました。


(この質問は、発言小町に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部と弁護士ドットコムライフ編集部が再構成したものです。トピ「老齢の両親宅への高額商品の電話販売」はこちら(http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2016/0423/759672.htm?g=15)


●成年後見制度の利用を検討してみては? 


まず、電話勧誘販売ですでに購入してしまった商品についてですが、8日以内であればクーリングオフ制度を利用し、契約を解除することが出来ます。8日を過ぎても、契約を解除できる場合もあります。ただし、健康食品は、消費した分については原則として支払いをしなければなりません。


次に、40万円以上もするキノコのサプリを購入するに至った経緯ですが、例えば「○○に効く!○○が治る!」など商品の効能説明について、事業者が事実とは異なる告知している場合には、特定商取引法や消費者契約法による取消ができます。そのほかにも、錯誤無効、詐欺取消なども可能性として考えられます。


今後、ご両親が同様の被害に遭わないようにするために、認知症の場合はもちろん、認知症でなくても、ご両親の判断能力の程度に合わせて、成年後見制度を利用することを検討してはいかがでしょうか。


成年後見制度は、判断能力が低下した人の財産を守り、生活をサポートするための制度で、法定後見制度と任意後見制度があります。このうち、法定後見制度は、ご本人、配偶者、四親等内の親族などが家庭裁判所に申立てをして、ご本人の判断能力の程度により、「後見」(判断能力がない場合)、「保佐」(判断能力が著しく不十分な場合)、「補助」(判断能力が不十分な場合)のいずれかに該当すれば、家庭裁判所が、その開始決定をして、成年後見人・保佐人・補助人を選任します。


ご親族が近くにいらっしゃる場合で親族間に特に争いがない場合には、ご親族の方が成年後見人などになることもできます。ただ、今回のトピ主のように、親族が海外にいらして直接管理をすることが難しいケースでは、裁判所に、専門家(弁護士など)を選任してもらうことになるでしょう。


成年後見人などは、ご本人の利益を常に考えながら、ご本人を代理して法律行為を行ったり、ご本人の法律行為に同意したり、取り消したりすることができます。後見、保佐、補助により、与えられている権限が異なりますが、いずれもご本人を守ることは同様であり、今回のような消費者被害からもご本人を救済することが出来ます。





【取材協力弁護士】
佐田 理恵(さだ・りえ)弁護士
第二東京弁護士会所属 子供の権利に関する委員会委員
事務所名:アストレア法律事務所
事務所URL:http://www.astraea-law.jp/


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  • 後見人の弁護士が横領する事件が多発。裁判所が監督を強化しようとしたら、弁護士会は『弁護士を信用しないのか!』と反発。自浄能力ゼロ。
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