離婚後の「養育費」「面会交流」を進めていくために、何が必要?

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2016年07月09日 10:21  弁護士ドットコム

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離婚後に「面会交流が約束通りに行われない」「養育費の支払いが滞っている」などの相談が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに数多く寄せられています。協議離婚や調停離婚で約束したのに守らないケースもあれば、離婚を急いだために「慰謝料や養育費は要らない」と言って離婚してしまったケースも珍しくないようです。


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離婚した後に「離れて暮らす我が子と会えない」「養育費が支払われない」などの事態は、どのように防げばいいのでしょうか? もし制度が不十分だとしたら、どう改めるべきでしょうか? 齋村美由紀弁護士に話を聞きました。


 ●勤務先や預金口座を調査しやすい制度を創設すべき


「まず、慰謝料や養育費が不要ということについて、当事者の間で真意に基づいて合意したと言える場合、法的には有効となります。もっとも、養育費は民法880条の規定の趣旨から、合意後に事情の変更が生じた場合には、後から請求できるとされています。


なお、離婚を急ぐあまり、勢いで『慰謝料や養育費は要らない』と言ったようなケースなど、『真意に基づいて合意』したとは評価できない場合もあります。そのような場合は、『慰謝料や養育費は要らない』などと言ったとしても、合意は無効として、請求できる可能性もあります。


後から養育費を請求する場合、受け取る人が要扶養状態であって、相手方にも扶養能力が認められる場合には、受け取っていなかった期間の分もさかのぼって請求できる可能性があります。しかし、実務上は、基準として明確であるということもあり、『養育費を請求した時から』とすることが多いので、直ちに手続をとるべきです。


養育費を支払わない親に対しては、強制執行の申立てを検討します。具体的には、まず、給料の差押えが考えられます。養育費の支払いが滞れば、期限が到来していない債権(養育費の支払い分)についても、一括して、強制執行を申し立てることができます。


今後の課題として必要な対策は、養育費の支払いでは、逃げられないようにしていく必要があるということです。強制執行により給料の差押えを受けると、退職して、支払いを逃れてしまう可能性もあります。


そこで、確実に支払いをさせるために、退職によって逃げられてしまっても、相手の勤務先や預金口座など差押えの対象となる事項を調査しやすい制度を創設することが必要となるでしょう。


一方、面会交流は、実施させない親に対して直接強制できる性質のものではありません。それでも、『義務を履行しないとき(面接させないとき)は、不履行1回につき〇〇円を支払え』と間接強制の方法により、心理的な強制を図って対抗することができます。


面会交流は、離婚に至った諸事情が心理的に大きく影響しますし、子どもの福祉への配慮も重要ですので、養育費のように実効性を上げる点ばかりに偏った措置が望まれているとは必ずしも思いません。


ただ、面会交流の実施方法が固まらずに面会交流できない場合も多いことから、第三者機関を利用しやすい環境(特に、費用面)を整えていくことは、実効性を高めるために求められています」




【取材協力弁護士】
齋村 美由紀(さいむら・みゆき)弁護士
平成21年弁護士登録 広島弁護士会所属
離婚、相続、交通事故など一般民事事件を中心に取り扱う。
事務所名:山下江法律事務所
事務所URL:http://www.law-yamashita.com/


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