対人口比罹患率は増加に歯止め
画像はリリースより国立がん研究センターがん対策情報センターは、「地域がん登録」のデータを基に2012年に新たにがんと診断された患者さんの地域別罹患率や部位別罹患率の推計値を発表しました。
「地域がん登録」は、各都道府県ががん対策の一環で1950年から実施しているものですが、当初は一部の自治体のみの参加となっていました。しかし毎回参加自治体が増え、今回は東京や大阪、福岡といった都市部の自治体が参加。初めて47都道府県のデータが出揃い、より精度の高い実態の把握が可能になりました。
集計結果によると、2012年の1年間にがんと診断された患者さんの推計数は、86万5,238人(男性50万3,970人、女性36万1,268人)で、前年比1.4万人の増加となっています。一方、人口10万人に対する年齢調整罹患率で見ると、365.6人(男性447.8人、女性305.0人)で前年比0.2ポイント減少しており、罹患率の増加に歯止めがかかっていることがわかりました。
罹患率に対して死亡率が低い地域も
部位別で見ると、男性は胃、大腸、肺、前立腺、肝臓の順に多く、女性は乳房、大腸、胃、肺、子宮の順で罹患者数が多くなっています。中でも、男性において増加傾向にあった前立腺がんの増加に歯止めがかり、大腸がんが増加していました。
また、都道府県によって胃がん、肝がん、肺がん等で罹患率が高い地域と低い地域があり、同程度の罹患率でも死亡率にばらつきがあることがわかりました。例えば、東北、北陸、中国地方といった日本海側の地域は、罹患率や死亡率が全国標準より高め。東京都や長野県などは罹患率が標準より高めである一方で、死亡率は標準より低めでした。
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この集計結果から、生活習慣や住環境、医療環境ががんの罹患・死亡リスクに影響を与えていることが推察されます。2016年1月から国による「全国がん登録」の制度が新たに始まっていますが、データベースが一括管理されることによってより精緻な実態把握が可能になり、有効な対策が明らかになることを期待したいところです。(QLife編集部)
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