無許可「民泊営業」で男性公務員を懲戒処分…「会社員」が副業でやるのもダメ?

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2016年09月26日 10:41  弁護士ドットコム

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東京都内に借りたマンションなどで、許可なく民泊を営業し、副業を禁じた地方公務員法に違反したとして、埼玉県教育委員会は9月12日、県立高校に勤める男性教諭(47)を減給10分の1(6カ月)の懲戒処分にした。


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報道によると、男性教諭は、2014年8月ごろから今年6月までに、豊島区に借りたマンションなどで民泊営業をして、約2年間で約660万円の副業収入を得ていた。旅館業法にもとづく許可は得ていなかったという。


今回は公務員のケースだが、会社員が民泊を営業したとしても、会社から懲戒処分を受ける可能性はあるのだろうか。小池修司弁護士に聞いた。


●兼業したことで、直ちに懲戒処分の対象になるわけではない

「就業規則で兼業を禁止、または許可制にしている企業は多いと思われます。一般の会社員でも、今回のケースように、複数の不動産を反復継続して民泊のために提供し、利益を得ていた場合、兼業と判断されるでしょうから、就業規則に違反することになるでしょう」


小池弁護士はこのように指摘する。就業規則に違反した場合、ただちに処分を受けることになるのか。


「兼業をしただけで直ちに懲戒の対象になることはないでしょう。


兼業が懲戒になるのは、兼業に励むあまり勤務に支障をきたす場合や、会社の対外的信用を損ねる事業をした場合、または、会社の事業と競合する事業を行うなど企業秩序を乱すような場合などです。


物件の数や管理方法等によっても様々ですが、従業員が、勤務時間外に民泊の事業をした場合、余暇の時間を利用して行われている限りでは、勤務に支障をきたすことは考えにくいでしょう。


問題は、『民泊ビジネスが会社の対外的信用を損ねないか』という点です。日本の民泊の多くは旅館業つまり『宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業』ですから、旅館業法の許可を受けなければ違法であり、6月以下の懲役、または3万円以下の罰金の対象にもなるからです。


従業員の民泊ビジネスは、会社の信用を損ねる可能性はあるのか。


「民泊ビジネスが広がり、解禁に向けた法整備も進められている現状では、兼業の態様によって判断が分かれそうなところです。


ただし、旅館業法違反として実際に処罰されるほど悪質なケースであれば、懲戒の対象となってもやむを得ないでしょう」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
小池 修司(こいけ・しゅうじ)弁護士
東京弁護士会所属。旅行業法などの観光関連法に詳しい。立教大学法科大学院および観光学部で教鞭を執るほか、同大学観光ADRセンターの運営にも携わる。

事務所名:畑法律事務所
事務所URL:http://www.hatalaw.jp/


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