「妊娠・出産を機に退職勧奨された」元業界紙記者の女性と会社の和解成立

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2016年11月01日 20:31  弁護士ドットコム

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妊娠・出産を機に退職勧奨を受け、精神的に追いつめられた末に退職を余儀なくされたなどとして、業界紙を発行する日本商業新聞社(本社・大阪市)の元記者の女性(41)が会社を相手に慰謝料など約640万円を求めた労働審判で、11月1日、和解が成立した。


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東京地裁で成立した和解内容は、会社が女性に解決金300万円を支払うというもの。和解成立後、女性らが東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見を開き、明らかにした。


●「妊娠、出産、育児を否定されているとしか思えない発言が続いた」

会見などによると、女性は2007年、化粧品や日用品に関する記事を専門に掲載する同社の東京支社に正社員として入社した。同社では初めての女性記者だったという。


女性は2013年1月に妊娠し、出産後、1年間の育児休暇を取得した。復職の2ヵ月前に社長から、終業時刻を従来の17時から18時半に変更する新たな就業規則を初めて知らされ、同意を求められた。女性が子どもの保育園の迎えが難しいなどと返答すると、社長や支社長ら3名から、「この規定でできませんと言うなら、これはもう辞めましょう」などと退職を促されたという。女性が社長との面会を求めても応じてもらえぬまま、2014年10月に休職期間が終了。その後の出社は拒否され、事実上の自宅待機を余儀なくされたという。


女性は同月、新聞労連・新聞通信合同ユニオンに加入し、2015年4月以降は弁護士を代理人として、復職に向け会社との交渉を続けた。その結果、2016年2月から従来の終業時間で復職することになったが、記者として従来行っていた仕事をさせてもらえない、他の社員とコミュニケーションが取れないといった状況に不安やストレスを感じ、8月に退職。退職の約1週間前、自宅待機中の未払い賃金や慰謝料などを求める労働審判を申し立てた。


女性は会見で、和解に至った心境を次のように述べた。「(会社からは)妊娠、出産、育児を否定されているとしか思えない発言が続いた。子どものために、あなたたちが生まれたことが否定されているのではなく、会社が間違っていたんだということを伝えたいと思ってやってきた」。


女性の代理人の長谷川悠美弁護士は「裁判所の心証として、いわゆるマタニティハラスメントであることを前提に和解が成立した。女性へのマタハラを認めたということで、会社は慰謝料を支払っていると我々は解釈している」と述べていた。


(弁護士ドットコムニュース)


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