「過労死と業務不正は同時期に起きることが多い」川人弁護士、労働環境の「病理」語る

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2016年11月06日 10:02  弁護士ドットコム

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厚労省が全国43会場で開催する「過労死等防止対策推進シンポジウム」が11月5日、茨城県水戸市であり、過労死問題に長年取り組んでいる川人博弁護士が「従業員の健康を守ることが、ひいては企業の発展や社会貢献に大きな役割を果たす」などと講演した。


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川人弁護士によると、過重労働の有無は企業の健全さを図る指標の1つ。「過労死や労災は起きたが、そのほかは健全」ということは考えにくく、「経験上、ほぼ同時期に業務不正が行われていることが多い」という。



川人弁護士が担当した案件では、昨年過労自殺した電通入社1年目の高橋まつりさん(当時24歳)のケースが該当する。高橋さんは電通のインターネット広告を扱う部署に所属。長時間労働や上司のパワハラなどに悩んでいたが、同社のネット広告事業では今年9月、複数のクライアントに対し、過大請求などを繰り返していたことが発覚した。



目先の利益や目標達成のため、社員のことを顧みず、不正にまで手を染める。こうした労働環境を川人弁護士は「病理」と表現する。一時的に利益は上がるかもしれないが、社員を使い潰してしまうので発展がなく、不正が発覚すれば、企業のイメージも落ちてしまう。



川人弁護士は、今後企業が存続していくには、むしろ社員の健康を増進し、労働生産性の向上などを目指すべきだと主張する。「私の知っている限りだと、三井化学はホームページで社員がどういう病気で休業したのかを公表し、その対策も記している。こういった取り組みをする会社がもっともっと増えてもらいたい」



このほか、川人弁護士は、睡眠時間の短さが過労死につながっていることから、終業から始業までに一定の休息時間を保障する「インターバル規制」の導入も急務だと訴えた。


(弁護士ドットコムニュース)


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