上司や同僚のパワハラで退職寸前…「労働組合」を活用して解決する方法

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2017年01月16日 10:32  弁護士ドットコム

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労働組合に加入したことはありますか? セクハラやパワハラが横行する職場環境に悩む方などから、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、労働組合に関する相談がよく寄せられます。


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会社の労働組合の執行委員をしている人からは「組合員が、上司のモラハラにより会社を辞めることになりました」として、再発防止のため「改善要求をしようと思いますが、どのような方法がありますか?」。


この他にも、職場のトラブル相談で、労働組合を通じてどのような対策ができるのかについての質問も寄せられています。問題が起こった時、労働組合は、会社に対して、どのような対応をとることができるのでしょうか。河野聡弁護士に聞きました。


● Q1.再発防止策を求めるには?


質問)冒頭の「モラハラで退職者が出た」ケースで、労働組合は、会社に対して、どのように、再発防止策を求めることができるのでしょうか?


回答)労働組合は、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善、その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体で(労働組合法2条)、その目的の範囲内で幅広く会社と交渉をすることができます。


今回のケースでも、労働組合としては、職場環境の改善を求めて臨機応変に団体交渉を行うことができます。


会社は使用者として、労働者が働きやすい職場環境を保つように配慮する義務を負っており、その一環として、セクハラ、パワハラなどのハラスメント(嫌がらせ)行為を防止する措置を取る義務も負っています。


したがって、労働組合としては、会社に対して「団体交渉」(労働組合と会社側の代表者との協議)を申し入れ、その交渉の中でハラスメント行為を防止するために、会社として指針を策定して、その周知啓発をすることや、苦情や相談を受ける体制を整備する等の対策を求めることが可能です。


● Q2.現在進行している個別トラブルには関与できる?


質問)退職する前でも、労働組合は社員の個別トラブルにも仲介にたつことはできるのでしょうか? またどのような再発防止策を求められますか?


回答)退職前の場合でも、同様に会社に対して団体交渉を申し入れて、その交渉の中でハラスメント行為の事実の確認、被害の回復や再発の防止のための措置を求めることができます。


被害回復については、会社がハラスメント行為を防止する措置を怠っているために問題が生じているとして、ハラスメント行為を受けた社員に生じた精神的苦痛などの損害を賠償するように求めることが考えられます。


また再発防止については、一般的な体制を整備すること以外に、会社としてハラスメント行為の継続を防ぐために、ハラスメント行為を行った上司に対して指導を行うことや、配置転換によって被害者と引き離すなどの措置を取ることを求めることが考えられます。


● Q3.一般社員間のハラスメント行為だったら?


質問)加害者が役員ではなく、一般の社員(組合員)だった場合でも、労働組合は会社に対して、具体的な対応を求めることができるのでしょうか?


回答)役員ではなく一般社員の間でのハラスメント行為だった場合でも、会社が職場環境を良好なものに保つよう配慮する義務を負っていることは同じです。上司(役員)によるハラスメント行為だった場合と同様に、会社に対して指導や配転などによる具体的な対応を求めることが可能です。




【取材協力弁護士】
河野 聡(こうの・さとし)弁護士
大阪大学法学部卒業後、1988年大分県弁護士会に弁護士登録。
日弁連消費者問題対策委員会副委員長、日弁連貧困問題対策本部副本部長などを歴任。
2003年からは、社会保険労務士としても活動。

事務所名:弁護士法人おおいた市民総合法律事務所
事務所URL:http://oitashiminlaw.com/


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  • もう死にかけの労働組合システムの擁護ですかぁぁ好きですねぇぇ弁護士さん
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