アラン・ドロン引退、そのショックの何たるかを初老の私がお伝えしよう

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2017年05月17日 01:00  citrus

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アラン・ドロンが引退しちゃうらしい。
 
東スポによると、
 

『太陽がいっぱい』などの数多くの映画で知られるフランスの人気俳優アラン・ドロン(81)が引退すること5月10日、明らかになった。来年公開されるパトリス・ルコント監督作品と舞台作品の出演を最後に俳優業を引退することをフランスのメディアに表明した。

 
……のだそう。私ら初老世代(50〜60代?)の人間からすれば、なかなかにショッキングなニュースである。
 
はじめてアラン・ドロンを見たのは、何曜日だかは忘れたが、夜の9時から始まる「○曜ロードショー」にて放送された『ボルサリーノ』で、私が小学校4年生のときであった。
 
なんてハンサムなヒトなんだ……と、幼心なりにもう“ノンケ”を自覚していたにもかかわらず、あまりに整いすぎたその顔面構成に目は釘付けとなり、つい大きなため息まで漏らしてしまった。
 
今でも「世界で一番の男前は?」と問われれば、「アラン・ドロン!」と私は躊躇なく即答する。そして、あの松本人志が10年以上も昔に提言した「世界三大美男子はアラン・ドロンとジョン・ローンと加藤剛」は、“まっちゃん語録”のなかで3本の指に入る名言だと思っている。
 
アラン・ドロン──名前がまたいい。「アラン」ときて「ドロン」である。まだフランス語に精通していなかったあのころ(※今でも全然精通していないが)、「ドロン」なんて名前(=ファミリーネーム)を公式なかたちで名乗るのが許されること自体、信じられなかった。この間抜けた響きがアラン・ドロンの美しさを「ハンサム以外に能がない」的に、よりいっそう引き立てていたのかもしれない。だから、私は文筆の仕事に就いて以来、「アラン・ドロン」について書く際は「アラン」と「ドロン」の間に「・」を打つことを絶対に忘れない。「アランドロン」と表記してしまえば、そのドロン感がたちまち半減してしまうからだ。
 
1968年、自身のボディーガード、ステファン・マルコビッチ殺害事件で、アラン・ドロンは重要参考人として警察の取り調べを受け、逮捕こそされなかったがマスコミに犯人扱いされてしまう(※註:その後、未解決のまま捜査は打ち切られ、内定していた芸術文化勲章授与を取り消された)。そんな俳優人生を脅かす大スキャンダルや数々の女性遍歴……ほか、さまざまな紆余曲折を経て、81歳を迎えたアラン・ドロンは年輪を加えた、また別の種類の“イイ顔”になっている。
 
ただ、「引退」ってえのはどうなんだろう? アスリートや会社役員などが口にする言葉としてはなんら不自然さを感じないが、俳優だとか画家・音楽家、それに私のような文筆家──すなわち「老いをも切り売りできる仕事」を職業にする者が「引退」をわざわざ宣言するのは、正直なところピンと来ない。
 
別に、そこらへんはあやふやにしておいてかまわないのではないか。私は誰か一人だけからでも必要とされるなら、脳死するまでおのれをしゃぶり尽くされたい。ゆえに「引退」の文字は私の辞書に存在しない。この世から「どろん」するのは、あの世に行ってしまった瞬間からでも遅くない。結局は、この駄洒落が書きたかっただけなんですな(笑)、私ったら。おあとがよろしいようで……?
 

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