私はこれまでの人生のなかで偶然、あるいは少々の“作為”もあるのかもしれないが、「サッシー」ことHKT48の指原莉乃(23)が動いているところを、のべ数にして計50秒ほどしか見たことがない、と思われる。そんな私であるからして、このサッシーなるAKB48グループに所属する一アイドルが、なぜこうも総選挙で、メディア上で評価されているのかが、正直さっぱりわからなかった。
外見的な可愛さで言えば、まさに「中の上」クラス。「頭が良い」「努力をしている」「礼儀正しい」「トークが切れる」……あたりがよく耳にする賞賛の声で、安倍首相からは「政治家向き」とのお墨付きまでをもいただいたとのことだが、なんせ「のべ約50秒だけ」ですから、その“裏付け”を取るのは当たり前だが、困難を極める作業だったりする。
ところが、ここ数日のネットサーフィンを通じ、私はいささか拍子抜けなほどにあっさりと“サッシーの力量”を否が応にも知らしめさせられる、とあるニュースに出会うハメとなった。とにかく、読んでもらいたい。
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HKT48の指原莉乃さん(23)が「キックボクシングをしている自分」の写真をインスタグラムに載せる女性を嫌っていることを明かした。
(中略)9月28日未明放送の『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)で、「嫌いなものが多い女性」として佐藤仁美さん(36)、水野美紀さん(42)、MEGUMIさん(35)の3人が登場。「〜が嫌い」トークで盛り上がった。
するとMCの指原さんもこれに加わり、「けっこう共感できる部分が多い」と切り出すと、佐藤サンが例に挙げていた「私、頑張ってるでしょ女」に触れ、
「なんでインスタにキックボクシングの写真載せるの?って。どうしてそのジムの写真…みたいな」
と、キックボクシング中の写真をインスタグラムに掲載して「頑張ってるアピール」をする女性に不快感を示した。(J-CASTニュースより)
なかなかに鋭い着眼点である。
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一般的に「人は、とくに女子はダイエットしている事実を公にしたがらない」と某プロダイエッターから聞いたことがあるが、たしかにキックボクシングには“ダイエットしている自分”を「スポーツ」で隠蔽できる大きな利点がある。そういう女子の深層心理内に潜む暗部と、「キックボクシング」という時流にさしたるクエスチョンも持たず、安易に乗っかってしまう無理矢理な「リア充」について、指原は一石を投じたかったのではなかろうか?
もちろん、キックボクシングをやること自体は全然悪くない。身体の左右を均等に動かす、やりすぎないかぎりは「理想的」だとも言えるこの全身運動で適度に締まった女子ボディは、ゴメス的にタイプですらある。
が、指原同様、そのさまをまるで自身のリア充を自己洗脳するかのごとく、世界に発信する行為には“カッコよさ”を微塵とも見いだすことができない。むしろ、“恥”の感覚のほうが先行してしまう。「キックしか思いつかなくてすみません…でもコレが一番だって、みんなが言うんだからしょうがないじゃん」と、そんなニュアンスで、だ。
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リア充は、その実感を他人に伝えようとした時点で「単なる自慢」へと姿を変える。そして、たとえばGoogleのCMからほんのり匂い立ってくる“鼻持ちならなさ”の正体も、おそらく同じたぐいのものだと、私はにらんでいる。恐るべしサッシー! まさに私好みの「嫌な女」だ。今更ではあるが、これからの彼女の動きに注目したい。