胎児の発育不全や流産の要因解明へ

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2017年08月17日 06:02  妊活・卵活ニュース

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NK細胞と流産
聖ミカエル病院(カナダ・トロント)は、「Nature Communications」にて、動物モデル実験より、胎盤にあるナチュラルキラー細胞(NK細胞)が新生児同種免疫性血小板減少症(FNAIT)や流産を引き起こす要因になると発表した。

NK細胞は免疫細胞であり、細菌・ウイルス感染や癌細胞(悪性化した細胞)など異常細胞に対して初期防衛する。

新生児同種免疫性血小板減少症とは
新生児同種免疫性血小板減少症は、1000人に1人の割合で発症するといわれる。母子間の血液型不適合により胎児の血小板が破壊されて減少する自己免疫疾患である。流産のうち、約30%は新生児同種免疫性血小板減少症が要因であると推定される。

NK細胞の活性化による影響
ヘユ・ニ(Heyu Ni)医師が率いる研究チームは、マウスを用いた動物モデル実験を通して、母マウスの免疫システムがNK細胞を活性化させ、胎児を異物とみなして攻撃したことを認めた。

妊娠初期において、胎盤内のNK細胞は胎児を細菌やウイルスより守り、胎児が発育するうえで重要な働きをする。妊娠後期には、NK細胞の数は減少する。

ニ医師は、母親の免疫システムによりNK細胞の活性化が促され、細胞数が減少しない場合、胎盤の成長や胎児への栄養供給は妨げられると説明する。妊娠後期におけるNK細胞の活性化は、新生児同種免疫性血小板減少症を発症させ、胎児の発育不全や流産を引き起こす要因に成り得るという。

NK細胞の活性化に対する治療法
今回の研究では、免疫グロブリン静注療法(IVIG)と同程度の効果が得られる新たな治療法に関する検証も実施された。

免疫グロブリン静注療法(IVIG)は、自己免疫疾患の治療法である。ニ医師は、免疫グロブリン製剤の大量投与によりNK細胞の免疫応答は制御され、胎盤や胎児を攻撃対象から除外することが可能になるが、一方、大量投与は費用負担が大きいと指摘する。

新たな治療法は、子マウスの新生児同種免疫性血小板減少症や流産の発生率を減少させる効果があり、費用負担も小さいという。今後、研究を重ね、新たな治療法の認可を目指す。

(画像はPixabayより)

St.Michael’s

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