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一昨日から昨晩にかけて放送された『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ)でチャリティーマラソンのランナーを務めたブルゾンちえみ。走る本人ですら、正式にランナーで選ばれた旨を当日に知らされるという、これまでにないかたちをとった今回の『24時間テレビ』だが、ブルゾンちえみは見事放送時間内にゴールテープを切ることができた。
そんなブルゾンちえみだが、つい先日、もはや芸能界では誰も茶化したりできないある大物芸人を小バカにしたネタを本人の前で披露したのをご存知だろうか。
その大物芸人は、ダウンタウンの松本人志。ブルゾンちえみは今月24日放送『ダウンタウンDX』(日本テレビ)にゲスト出演。その際、いつものオースティン・マホーンの「ダーティ・ワーク」に乗せた"キャリアウーマン"ネタの松本人志バージョンを、with Bの代わりにオードリー春日俊彰とウーマンラッシュアワー中川パラダイスを従えながら、披露した。
〈恋も仕事もenjoy! キャリアウーマンです。
どうしたの、松本君? えっ? 昔、浜田君に『ガリガリやん』と言われてたけど、いまじゃムキムキな身体を手に入れた?
克服ボーイ!
でも、そんな松本君、むやみに鍛えてるわけじゃなくて、ちゃんと理由あって鍛えてるんだよね。
(振り向きながら)
『俺には守るべき家族ができたんや』。
現在53歳、7歳の娘のために週三で筋トレ。泣けるよね〜。
ちなみに、そんな松本君が上げられるバーベルの重さ知ってる?
(振り向きながら)
『135キロ』。
鍛えすぎ〉
そう、いつもの上から目線で、松本の筋肉をいじったのはもちろん、「俺には守るべき家族ができたんや」「7歳の娘のために週三で筋トレ。泣けるよね〜」と小バカにした調子で言い放ち、結婚や子煩悩にまでツッコんでみせたのだ。
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このネタにスタジオが沸くなか、松本だけは少し憮然とした表情で「若干ディスられてる気もしないでもないけど」と苦笑した。
●肉体とともに変節した松本、ブルゾンのネタは本質をついたか
ブルゾンちえみにはそんなつもりはなかったかもしれないが、このネタ、意外と本質を突く皮肉かもしれない。とういうのも、この松本の変化って、実は多くの人が感じていることだからだ。
たとえば、松本の恩人であるプロデューサーの田中文夫氏も同じようなことを指摘していた。田中氏は80年代後半、まだ東京進出前のダウンタウンが初めてテレビでメインを張り、関西で大人気を博した生放送バラエティ『4時ですよーだ』(毎日放送)のプロデューサー。つまり、まだ駆け出しのダウンタウンを抜擢し、その後の大ブレイクに導いたいわば育ての親のような人物である。本サイトでも既報のとおり、「週刊金曜日」7月21日号に松本の変節を憂う手記を寄せていたが、そのなかで田中氏はこんなふうに綴っている。
〈ある時ハッと気がついたら松ちゃんが別人に変わっていました。金髪で筋肉ムキムキのマッチョマンになっていました。あれぇ、何かおかしいなぁ、見かけも変わったけど考え方も人柄も変わってしまったのではないだろうか〉
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後輩芸人たちからも「松本さん、昔言うてはったことと反対のことばっかりしてはるんですけど」という話も聞くようになったという。田中氏は続けてこのように綴っている。
〈確かに松ちゃんは昔から「芸人が体を鍛えてどないするねん」とか「映画は撮らない」とか「できちゃった婚はしない」とかいろんなことを言っていましたが、今は全部その反対です。〉
ただ田中氏自身は、松本がたったひとつ「お笑いへの決意」さえ捨てなければ、体を鍛えても、映画を撮っても、家族をもっても、それでも別にかまわないと思っていたという。しかし、そのたったひとつのことも失われてしまう。
〈それが、それが、今は何がどうなっているのですか?『ワイドナショー』って何ですかそれ。「コメンテーター」って何のつもりですか。いったい何事が起こったのですか。天才のやることとはどうしても思えない〉
田中氏がとくにショックを受けたのは、「2025大阪万博誘致アンバサダー」就任と、共謀罪に賛成し「多少の冤罪はしょうがない」と発言したことだった。大阪万博大使就任のニュースに〈寒イボが出るほどショックを受けました。我らのダウンタウンをどうするつもりなんや、と思わず叫びました。〉とその思いを吐露し、共謀罪賛成については、こう皮肉っている。
〈うーそーだーろーー! 一体何がどうなってしまったのですか? ほんと、悪い夢を見ているようです。〉
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●恩人Pが松本は「『あべちゃん菌』に感染したヤツに乗っ取られた」と
そして、田中氏は、自分が知っているかつての「松ちゃん」と現在の「松本人志」のあまりに大きすぎる乖離について、「あべちゃん菌」という強い言葉までもちだしてこのように嘆くのであった。
〈誰かが不正アクセスをして「松本人志」を乗っ取った。そして「松本人志」になりすまして好き勝手なことをしている。彼の莫大な数の信者に日々、悪巧みを刷り込んでいる。そして不正アクセスをして「松本人志」を乗っ取ったヤツは「あべちゃん菌」に感染したヤツに違いない〉
松本の変節に対するこの痛烈な批判は、決してオーバーではない。
かつての松本は、たとえば竹島問題について『松本人志の怒り 赤版』(集英社)のなかで「母国愛で片付けてしまっていのかなぁ。本質が見えなくなっていますね。母国愛が強すぎて愛が見えなくなっていますよ」「いちばんいいのは、あの海から出っ張っている部分が沈んでしまってくれることです」などと知識は少ないながらも本質をつく、かつアナーキーな発言をしていた。
それがいまや、安倍首相に向かって「おじいちゃんの守ってきたこの国が好き」などと迎合発言をするまでになりはててしまった。
かつては、すべてをストイックにお笑いに捧げ、刃物のように尖っていた松本も、家庭をもち、子煩悩な一児のパパになった。今の地位や既得権益を守ることに汲々とし、いまは炎上を避け、大衆や権力に迎合するばかりだ。
松本のマッチョ化は、そうした保守化や権力への迎合ともシンクロしている。その変化は、ブルゾンちえみに言わせると「家族を守るため」ということらしいが、そう言えば松本はかつて結婚について『遺書』(朝日新聞社)のなかで、こんなことを書いていた。
〈そう、オレのようなコメディアンにとって、家族というのは百害あって一利なしなのではないだろうか? たとえば、子供が小学生にでもなると、親父がコメディアンという理由でいじめられるかもしれない。「学校でいじめられるからバカなこと言わないで」なんて自分の子供に言われたら、オレは、きっと自分の子供をイジメてしまうだろう。ただ、やりにくくなるのは間違いないだろう。また、女の話をテレビでしにくくなる。いまでこそ好き勝手に昔の話でも、最近の話でもしているが、嫁さん・子供がいると、やっぱりパワーが半減してしまうかもしれない〉
〈オレは間違いなく、普通のおっさんになってしまう。オレがいちばんなりたくなかった普通のおっさんにである。昔はおもしろかったのに、普通のおっさんになってしまったコメディアンをオレはいっぱい知っている。やはり、オレにとって結婚はありえないのかもしれない〉
普通のおっさんならまだマシだが、今の松本は弱きをくじき強気を助ける"マッチョ説教オヤジ"なのだから、余計に始末が悪い。
そう考えてもやはり、『ダウンタウンDX』でのブルゾンちえみの"キャリアウーマン"ネタは、思いがけず、そんな松本の変節を鋭く突いてしまったネタだったのかもしれない。
(編集部)
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