<国民審査>旧国鉄の鉄オタ、自称SFマニアも…最高裁「裁判官」経歴が意外と面白い

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2017年10月11日 10:23  弁護士ドットコム

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いよいよ本格的に幕を開けた衆院選。10月11日からは早くも期日前投票が始まった。一方、衆院選とセットで行われるのに、関心が低いのが最高裁裁判官の国民審査だ。


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選挙はメディアもこぞって報道するし、候補者もあの手この手で有権者に訴えかけてくる。しかし、裁判官については、そもそも顔も名前も知らないのが一般的だろう。過半数が「×」をつければ罷免されるが、過去23回の国民審査で罷免された裁判官はいない。


実は裁判官のプロフィールは、最高裁のHP( http://www.courts.go.jp/saikosai/about/saibankan/index.html )からチェックできる。今回対象となる7人のうち、裁判官経験者は4人。残る3人は刑法学者(弁護士登録あり)、弁護士、外交官だ。


HPからは最高裁で担当した事件のほか、趣味など、人となりをうかがい知れる項目もある。お堅いイメージとは裏腹に、いわゆる「鉄オタ」や「SFマニア」といった趣味を持つ裁判官もいるようだ。以下、7人のプロフィールをかいつまんで紹介する(敬称略)。


●真面目さの中に光る個性

▽小池裕(こいけ・ひろし)


1951年7月3日生の66歳。東京高裁長官をへて、2015年4月2日に任命。


「法と常識に適う妥当な判断をするよう心掛けてきました」という裁判官。好きな言葉は「この道より我を生かす道なし」。ガンジー、マンデラ、オバマらの自伝・評伝を読み、「いずれも法律家であることに興味を引かれました」。


趣味は、総菜作り、絵手紙作り、ベランダ園芸。野球好きだったが、最近はプレーを卒業し、早歩きの散歩を楽しんでいるそうだ。



▽戸倉三郎(とくら・さぶろう)


1954年8月11日生の63歳。東京高裁長官をへて、今年3月14日に任命。


先入観を持たず、「物事をありのまま受け止めて考えること」を心がけているという。


趣味の鉄道は小学生の頃から。旧国鉄時代の車両や列車に関心があるという。横川駅(群馬県)そばの「碓氷峠鉄道文化むら」などにも出かけるほどで、「保存車両の車内で昔の雰囲気にひたるのは、何回やっても飽きません」。愛読書は、アリバイ崩しで有名な推理小説『樽』で知られるF・W・クロフツの作品群。きっかけは、クロフツが「鉄道技師」だったからだそうだ。



▽山口厚(やまぐち・あつし)


1953年11月6日生の63歳。著名な刑法研究者で、東京大学名誉教授。2016年に弁護士登録、2017年2月6日に任命。


裁判官は初めて。「毎日が新たなことの勉強」「自分が持てるものを生かしつつ、公正・公平な立場で判断していくことを心がけたい」


『坂の上の雲』など、司馬遼太郎作品を愛読している。20年来やっているというウォーキングは、時間があれば、1日20キロくらい歩くこともあるという。



▽菅野博之(かんの・ひろゆき)


1952年7月3日生の65歳。大阪高裁長官をへて、2016年9月5日に任命。


「意識的に複数の視点から見直してみるよう」心がけているという。


趣味は音楽と読書。特に子どもの頃から「SFマニア」を自称。特に好きな作品は、J・G・バラードの『沈んだ世界』、スタニスワフ・レム『ソラリス』、レイ・ブラッドベリ『10月はたそがれの国』。



▽大谷直人(おおたに・なおと)


1952年6月23日生の65歳。大阪高裁長官をへて、2015年2月17日に任命。


「職責の重さを忘れずに、気負うことなく、しかし同時に、心を傾けて、一つ一つの事件に誠実に取り組んでいきたい」と抱負を語っている。


前職では初めての大阪生活に慣れるため、朝井まかて、西加奈子、柴崎友香、津村記久子ら女性作家の本を読みあさったという。愛読書は、ディケンズ『荒涼館』。



▽木沢克之(きざわ・かつゆき)


1951年8月27日生の66歳。弁護士から2016年7月19日に任命。加計学園監事という経歴も。


裁判官の経験はなく、「健全な社会常識に適う法律の解釈・適用に努めたい」。


池波正太郎ファン。二代目・中村吉右衛門が主演したドラマ版『鬼平犯科帳』をきっかけに、歌舞伎にハマったという。好きな言葉は、幕末から明治にかけて活躍した宣教師チャニング・ウィリアムズの「道を伝えて、己を伝えず」。



▽林景一(はやし・けいいち)


1951年2月8日生の66歳。外交官としてイギリスなどに駐在。退官後の2017年4月10日に任命。


「世界の中の日本という視点も踏まえながら、中立公平な裁判のため、42年間外交に携わった行政官としての経験を少しでも活かしていきたい」


趣味は、サッカーのイングランド・プロリーグ観戦や音楽、舞台芸術全般。一方、愛読書には『新唐詩選』(吉川幸次郎・三好達治)なども。


(弁護士ドットコムニュース)


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  • 「あーこの人いい!私と好みがおんなじ〜!!」じゃなくて、あくまで職務上「×」を付けるという選挙なんだよね、これ。
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