暴力団員、「車検切れ車」使用で逮捕…「一般人」でも逮捕される可能性はある?

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2017年11月24日 10:23  弁護士ドットコム

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車検が切れた状態で乗用車を使用したとして、指定暴力団「神戸山口組」系の組員がこのほど逮捕され、組事務所が家宅捜索された。


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MBSなどによると、この男性は、所有する乗用車の車検が切れていることを知りながら、そのまま使用した疑いが持たれている。


「任侠山口組」の銃撃事件で、「神戸山口組」傘下の組員が指名手配されていることもあり、今回の摘発は組織の実態解明の狙いもあるようだ。


今回のケースのように、車検が切れた状態で車を使用すると、どんな罪に問われるのだろうか。一般人でも逮捕されてしまうのだろうか。鬼沢健士弁護士に聞いた。


●車検切れ車の使用は犯罪にあたる

「自動車は、車検(自動車検査)を受けて、有効な車検証を受けているものでなければ使用してはならないとされています(道路運送車両法58条1項)。そして、車検が切れた状態の自動車を使用すると、『6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金』が科せられるおそれがあります(同108条)。


つまり、暴力団か否かにかかわらず、車検が切れた状態の自動車を使用することは犯罪にあたります。一般人であろうと、逮捕されることがありえます」


そもそも、なぜ車検を受けないといけないのだろうか。


「車検制度は、自動車が保安基準に適合することを定期的に確認するために実施されています。無車検状態で道路を走行するということは、保安基準に適合していることが確認されないままに走行しているということであり、大変危険です。道路を走行する以上は、必ず受けるべきものです。


なお、車検が切れている状態ということは、自賠責保険も切れていることが多く、その場合は自動車損害賠償保障法違反にもあたります。『1年以下の懲役または50万円以下の罰金』が科されるおそれがあります(同5条・同86条の3第1号)」


●悪質なケースでは一般人でも逮捕される可能性がある

どんな場合でも逮捕される可能性があるのだろうか。


「車検が切れていることをうっかり忘れていた場合や、同じような前科がない場合など、悪質性が低いと判断されるケースであれば、逮捕されることはないでしょう。


一方で、事故を起こしたことがきっかけで車検が切れていることが判明した場合や、車検が切れてから長期間経過しているなど、悪質性があるケースでは、一般人であっても逮捕される可能性があります」


今回の摘発ケースについてはどうだろうか。


「銃撃事件で組員が指名手配されていたことから、警察が道路運送車両法違反の事実を足がかりとして、捜査を開始したかったのではないかと推測できます。


車検制度は、車検時における最低限の安全性を担保するものにすぎません。自動車の運転が危険な行為であることを自覚し、車検を受けるだけでなく、定期点検(法律で義務付け)や安全運転につとめるようにしましょう」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
鬼沢 健士(おにざわ・たけし)弁護士
交通事故、労働、家事問題(離婚・相続)を取り扱う。無断駐車車両の撤去に、積極的に取り組んでいる。

事務所名:じょうばん法律事務所
事務所URL:http://www.jobanlaw.com/


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