脳梗塞からの「フルマラソン4時間切り」目指すランナーが講演

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2017年12月12日 12:01  QLife(キューライフ)

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34歳で脳梗塞発症、右半身片麻痺などの後遺症を抱えて


SUB4達成を目標に走る、千葉豊さん

 フルマラソン(42.195km)を4時間以内に完走することを、“SUB4(サブフォー)”といいます。株式会社アールビーズが2017年にランニング実践者1万7,868人を対象に行ったアンケート調査によると、過去3年以内のフルマラソン自己ベストタイムが4時間以内だと回答した男性は約半数弱、女性は約2割。フルマラソンに参加するランナーであっても、SUB4達成は容易な目標ではないことがわかります。そんなSUB4達成に、脳梗塞の後遺症を抱えながら挑むランナーがいます。

 埼玉県在住の千葉豊さんは、大型トラック運転手として働いていた34歳のときに、運転中に脳梗塞を発症し、病院に搬送されました。病院で目が覚めると、手足が全く動かず、顔もひきつった状態に。右半身麻痺、視野の欠損などの後遺症を抱えることになりました。

 脳梗塞によりトラックドライバーを辞めることになった千葉さん。「移動の“足”を失い、生活の糧だった運転を諦めることは辛かった」といいます。しかし、この経験で「自分はある意味、生まれ変わった」と思ったそうです。車という移動手段を失った千葉さんは、自分の足を移動手段として鍛えようと決意。「何かを失ったら、何かを得ようじゃないか」と考え、走り始めたそうです。

千葉さん「もう一度『やってみよう』と思うきっかけに」

 この千葉さんの挑戦に賛同したリハビリ医、リハビリ専門家、ランニングコーチ、栄養士らは「B-SUB4 PROJECT」(発起人:早見泰弘さん)をスタート。2017年12月7日、B-SUB4 PROJECTの講演会・交流会が開催され、千葉さんが同プロジェクトについて講演しました。

 B-SUB4 PROJECTでは、リハビリ専門医や脳梗塞リハビリセンター(運営:株式会社ワイズ)の理学療法士などから成る、他職種合同チームを編成。再発予防のためのリハビリ専門医による健康管理や、合同トレーニングはもちろん、自主トレーニングでの様子を撮影した動画や、日々の食事の写真を共有することで、それぞれのスタッフがアドバイスし、千葉さんを総合的にサポートしているそうです。

 2017年11月12日に行われたさいたま国際マラソンでは、5時間27分のタイムで見事に完走。2016年のタイムより30分近く短縮することができたそうです。千葉さんは、2018年2月25日に開催予定の東京マラソンにも出場が決まっており、今回のレースで得た課題をもとに、さらなるトレーニングを重ねていきます。

 B-SUB4 PROJECTについて、「『脳梗塞を発症した人でも挑戦できる』という姿を見てもらうことに意義がある」と千葉さん。自身がSUB4を達成することで、同じように後遺症で悩む患者さんが「諦めていたことをもう一度『やってみよう』と思うきっかけになってほしい」と語り、「SUB4を達成して、“キセキ”を証明したい。そして、誰にでもその可能性があることを伝えたい」と力強く決意を表明しました。

 なお、B-SUB4 PROJECTでは、ウェブサイト運用や動画作成、今回の講演会を実施するためにクラウドファンディングを実施。目標金額だった100万円の調達に成功しました。「脳卒中で後遺症を抱えてもフルマラソンで4時間切を目指したい!」。その思いを後押しする支援の輪が広がっています。(QLife編集部)

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