相手の行動や言動に対し、どんなリアクションをするか、大人と子どもでは、その感覚が違うことがよくあります。何がおかしいのか、何にムカつくのか、そのズレが、ときに誤解を招いてしまうことも……。
最近、ツイッターなどでの投稿を機にこんなエピソードが話題になりました。「子どものお遊戯会で、演技を見ている間は、絶対に笑わないでください」と幼稚園からのお達しがあったとの投稿だったのですが、子どもは、自分が真剣にやっている事を笑われると“馬鹿にされた”と思ってしまうことがよくあるため、幼稚園が父兄側にお願いをしたのだそうです。
なぜパパやママの笑いが、子どもにはグサッとくるのか、その心理をのぞいていきたいと思います。
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ユーモアのセンス、笑いのツボというのは、年齢ごとに違い、成長とともに発達していくものとされています。幼稚園くらいの子にとって、なにがおかしいかというと、「四角いタイヤの車」とか「首の長い象」のような絵的に見て分かりやすい「変なもの」「調子が狂ったもの」に笑いが起きます。そう、「絵的に変なもの」です。
大人は、このような「変なもの」の笑いも分かりますが、芸人さんのネタに見られるような、“真剣”にやっているからこその笑いも大好きです。舞台上にいる芸人さんからしたら、お客さんに「真顔」「無表情」で視聴されるほど怖いものはありません。真剣にネタをやるからこそ、笑ってもらいたいわけです。
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そういうセンスも持ち合わせている大人は、子どものお遊戯会や発表会でも何らかの反応を示してあげることが、「楽しんでいるよ」「いいねいいね」のサインだと思っているところもあると思います。でも、やっている本人たちからしたら、「ママが笑っているのは、ボクが“変”だから?」と感じられるのでしょう。もちろん、親はバカにして笑っているわけではありません。あまりの可愛さにほほえましくて笑ってしまうのですが、それが子どもの心を傷つけるようで……。
子どもはママの笑顔が好き、でも真剣にやっていることを笑われると傷つく。よって、見るときは、目で笑う「ほほえみ」くらいで留めておけば、「ママが嬉しそうに見てくれている」というポジティブな受け取り方をしてくれるのでしょう。子ども心は難しいですね。
ここでは、「お遊戯会」「発表会」でしたが、そのほかにも、親が気をつけたい場面がいくつかあります。その代表例をここでご紹介しましょう。
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■スポーツ
スポーツを習っているお子さんは多いと思いますが、その過程で思うようにプレーできないこともたくさんあるでしょう。そんなとき、もしパパやママが笑ってしまったら、子どもは泣きたくなります。野球の珍プレー番組のようなフォーカスをされることを子どもは好みません。本人は真剣そのものだからです。
■お化け
暗い部屋に入れない、1人で眠れない、お化けを怖がる、子どもによく見られるものです。これをからかったり、クスッと笑ったりするのも、子どもを傷つけます。からかったことで、お化け恐怖は直りません。「笑われないように克服するぞ」とはならないのです。
■新体験
子どもが何か新しいことにチャレンジしようとしているとき(例:カブトムシに触る)、ときにビクビクして中々前に進まないことがあります。そんなおっかなびっくりの仕草は、パパやママには愛らしく映りますが、笑ってしまうと、誤解を招くことに。
■外見
パパやママにとっては、我が子のトレードマーク的な外見はどこも可愛いもの。なので、まったく悪気なく「ぽっちゃり」だとか「げじげじまゆげ」などとからかってしまうことがあります。でも、子ども自身はそれで傷つき、コンプレックスに感じるようになることがあります。
家族でふざけ合うのは、ポジティブなコミュニケーションの1つ。でも、子どもが真剣に取り組んでいるものに対して「笑い」を見せるのはネガティブに転じやすいので配慮が必要です。