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極限の世界でつかんだ「強いメンタル」の作り方

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2017年12月27日 15:13  BOOK STAND

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写真『平常心のレッスン。 カナヅチでフツーのOLだったわたしがフリーダイビングで世界一になれた理由』岡本美鈴 旬報社
『平常心のレッスン。 カナヅチでフツーのOLだったわたしがフリーダイビングで世界一になれた理由』岡本美鈴 旬報社
 スポーツの世界で一番になるような人は、生まれつき人並みはずれた才能を持っているに違いない。皆さんの中にはそう考える人もいることでしょう。

 けれど、2015年に世界選手権で日本人初となるチャンピオンに輝いた岡本美鈴さんは、もともとはフツーのOL。しかもカナヅチで水が苦手だったといいます。メンタルが7割を左右するとも言われるこの競技において、岡本さんはどのように強い心を身につけたのか――。そのメソッドが記されているのが本書『平常心のレッスン。』です。

 岡本さんを語るうえではずせないバックグラウンドがあります。それは1995年3月20日起きた地下鉄サリン事件の被害者であるということ。ひどい気分に襲われ病院で点滴を受けたものの、一日で回復する程度で済んだのは不幸中の幸いでした。またその翌年、岡本さんは卵巣嚢腫を悪化させてもう一度命を落としかかることとなります。あたりまえの日常はあたりまえではない、明日はかならずくるわけじゃないという体験を通じ、「だから今日を思い切り生きたい。今日できることに全力をつくしたい。今日でなければ遅すぎるのだ」と思い至ったといいます。

 そんな岡本さんがサリン事件後、30歳で始めたのがフリーダイビング。深い水深からの浮上中、疲労と酸欠で極限状態になると、気持ちを強く持たなければ体が動かなくなってしまう。それがこの競技がメンタルが大切とされる理由なのだそうです。そして、上達のためには自分を俯瞰して観察する精神的な余裕を持つことが、平常心を保つ練習につながってくるのだとも本書には書かれています。

 呼吸を意識してリラックスする、嫌なことはあえて言葉にする、恐れを手なずける、雑念をふりはらわない、きらいなことはがんばらない、目標を設定しない......岡本さんがぶれない心を作るために実践してきたさまざまな方法が本書では紹介されています。これらはスポーツをするうえでももちろん役立つことですが、私たちの日常生活でも同じように取り入れられるものです。

 仕事で行き詰まってしまったとき、目の前に恐れや不安が待ち構えているとき、何かに失敗してしまったとき。私たちは平常心というものを失ってしまいがちです。そんなとき、本書にある岡本さんの言葉の数々は私たちが強い心を保つための大きな力となってくれることでしょう。

 フリーダイビングは身体能力だけでなく経験を重ねた心の強さがものをいうため、比較的高年齢で頂点をめざしている人が多いスポーツでもあるのだそう。年を重ねてからでも、いえ、年を重ねてこそ、私たちはもっともっとメンタルを強くしていくことが可能なのかもしれません。岡本さんの歩みを通して、そうしたことに気づかされる一冊であるように感じます。


『平常心のレッスン。 カナヅチでフツーのOLだったわたしがフリーダイビングで世界一になれた理由』
著者:岡本美鈴
出版社:旬報社
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