石田ゆり子が"結婚しろ""子供を産め"圧力を「古い考え方」と批判!「結婚しなくても社会に還元している」

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2018年01月29日 16:11  リテラ

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リテラ

『Lily 日々のカケラ』(文藝春秋)

「かわいすぎるアラフィフ」「奇跡のアラフィフ」として、CMにドラマに大ブレイク中の石田ゆり子。そんな石田ゆり子のフォト&エッセイ集『Lily 日々のカケラ』(文藝春秋)が先日、発売された。



 石田ゆり子といえば、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)では主人公役のガッキーこと新垣結衣の叔母で、男性経験のない独身キャリアウーマンを演じ、女性たちの共感を集めたことから、大ブレイク。母親ともステレオタイプ的なバリバリのキャリアウーマンともちがう大人の女性像を提示した石田だが、実生活でも独身で、その生き方やライフスタイルも支持されている。



 同書を読むと、石田がいかに豊かな日常生活を送っているかがよくわかるが、そのなかで興味深いのは、女性に「結婚」や「出産」を強制する社会に対しての批判をきっぱりと語っていることだ。



〈「結婚して初めて一人前」という考え方は古いと思う。ちまたで、ある年齢以上の独身女性に対して「結婚できない」という言葉を使うのを耳にするととても嫌な気持ちになります。結婚できないんじゃなくて「しない」。そういう選択もあたりまえにあるのにね。

 たしかに、未婚の女性が一人で生きるのは大変なこともたくさんあります。社会制度的にも夫婦で子どもがいることが基準になっているし、でも未婚で生きていくという人生も、もっとちゃんと認められていく、成熟した世の中にならないといけないのではないかと本当に思います。〉



 石田の指摘する通り、日本では「結婚して当然」「女性は子どもを生んで当然」という考え方は以前根強い。男性の多くが育児にほとんど協力できず仕事だけしていたとしても「子どもも育てない」と責められることはほとんどないが、女性はどんなに一生懸命仕事をしていても子どもを産んで育てていないと「半人前」「わがまま」「社会に貢献していない」と責められる。社会制度面においても、結婚を選択すると、法律や税制、年金などで保護され優遇される仕組みになっている。



●有働由美子も吐露していた「子供を産んで当たり前」の圧力の苦しさ



 こうした"結婚しろ圧力"や"子どもを産め圧力"については、これまでも多くの芸能人や有名人がその息苦しさを訴えてきた。たとえば、2016年2月、「FRaU」(講談社)のロングインタビューで女優の山口智子が「私は、子供のいる人生じゃない人生がいい」「子供を産んで育てる人生ではない、別の人生を望んでいました。今でも、一片の後悔もないです」と告白したときのこと。NHKアナウンサーの有働由美子が、『あさイチ』(NHK)で、この山口の発言について、「よく言ったなと思いました」と称賛した上で、「まだ世の中に子どもを産んでお母さんになるほうが多数派」「誰も『そうじゃないよ』って言わないし、なんかどこか心の底に(産んで当たり前という気持ちが)なんとなくあるような気がする」と、女性に向けられるプレッシャーを吐露し、大きな反響を呼んだ。



 天然キャラの石田だが、それでもやはり有働が感じたような圧力を感じていたのだろう。しかし、石田は同書のなかで、「女性は子どもを生んで一人前」「女性は子どもを生んで社会貢献せよ」という考え方に、こうきっぱりと異議を唱えている。



〈結婚していない働く女性たちは(わたしも含めて)働くことで社会に還元しているし社会を育てているという部分も担っていると思います。自分に子どもがいないぶん、俯瞰で子どもたちを見ていますし、その子達が大人になってから、仕事の現場で育てることができる。〉



 ほんわかしたがイメージとはまったく違う、自立した女性のぶれない強さがうかがえる言葉だが、ただ、一方で、石田は結婚していないことに特別な理由などないこと、自分が結婚願望もあったことも正直に語っている。



〈この年齢まで独身でいるなんて全然想像していませんでした。

 20代の頃は、漠然と、30になるまでには結婚し、いつか自然に母になり......などと、ぼんやりと、でも妙な確信を持って想像していたものです。でも、だけど、40代後半の今、わたしは独身。

 いやはや。しかしわたしは独身主義なんかじゃありません。人はひとりでは生きていけないといつも思っていますし、人生を共にするパートナーには、いつだって出会いたい。〉



●結婚願望もあった石田ゆり子が"結婚しろ"圧力を批判する意義



 ようするに、石田が言いたいのは、結婚していない、子どもをつくっていない女性が必ずしも強い意志をもってその選択をしたわけではないということだろう。とくに理由がなくても、結婚することもあればしないこともあるし、子どもをもつことももたないこともある。ところが、世間は結婚して子どもがいることが普通で、そうではない人にはなぜかと理由を求め、暗に「結婚する普通」を選択しろと迫る。



 実際、石田に対しても、いまだに「結婚はどうなっているのか」「なぜ結婚していないのか」を問い詰めるような芸能記事が後を絶たない。つい先日も、「女性セブン」(小学館)が「石田ゆり子が3億円豪邸を新築、気になる同居相手」と題して、CMで共演しているだけのムロツヨシの名前をあげ「まだ恋仲ではなさそうです」などというワケのわからない報道していたが、これも「結婚もしていない女性が豪邸を建てるはずがない」という偏見の表れだろう。



 石田ゆり子は同書のなかで、結婚、出産して初めて一人前という考え方は「古い」と語っていたが、その古い考え方はいま、なくなるどころか、少子高齢化のスケープゴートとして、強制力を増している。さらに、安倍政権に至っては、2018年度の所得税改革において、子どもがいない世帯の増税案まで検討しているという。



 そんななかで、バリキャリ的なキャラでない石田のような女性がこの風潮に異を唱えることは、「たまたま結婚していない」多くの女性を理不尽な抑圧から解放する一歩となる。石田にはこれからもこうした発言を積極的に続けていってほしい。

(本田コッペ)


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  • 時代と共に、生活様式の変化や個人の各々の考え方も変わってきてますからね。結婚の向き不向きもあるし
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