【問題】
ボーっとしているときの脳は「活動している」? それとも「休んでいる」?
この疑問に答えたのが、米ワシントン大学のマーカス・E・レイクル教授です。2001年に安静時の脳活動に関して、私たちが何もしていないときに活発化する「デフォルトモードネットワーク」という、複数の脳の領域で構成されるネットワークを発見しました。
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じつは安静状態の脳でこそ働いている脳の領域があり、しかもこの活動に費やされているエネルギーは、私たちが喋ったり、手を動かしたり、じっと見るなどの意識的な行動に使われる脳エネルギーの20倍にも達しているというのです。
現在の研究では、内側前頭前野、後部帯状皮質、膨大後部皮質、左右の下部頭頂葉の4種類の脳領域がデフォルトモードネットワークで関わっているのではないかと推測されています。
ではこのデフォルトモードネットワーク、何のために働いているのでしょう?
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デフォルトモードネットワークについてはまだまだわからないことが多いのですが、自分自身について思い巡らせる「自己認識」や、今自分がどこにいるか考える「見当識」、過去の出来事を覚える「記憶」に関連しているといわれています。
デフォルトモードネットワークの発見で特に注目されているのは、「脳・精神の病気」との関連性です。
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たとえばアルツハイマー型認知症の場合、デフォルトモードネットワークの働きが弱まっていることがわかっています。このデフォルトモードネットワークの働きを画像で捉えることができれば、認知症の超早期診断に使用できるのではないかと期待されています。また、うつ病や統合失調症でもデフォルトモードネットワークの異常が見つかってきていて、さらなる研究が待たれています。
ボーっとしているときに働くという、不思議な脳の活動。この働きが解明できれば、たとえばわかりにくいとされる、座禅やヨガなどにおける瞑想状態なども、科学的に証明されるのではと考えられます。
忙しい現代社会に生きる私たちにとって、あえてボーっとする時間を持つことこそが、脳の働きを健全にするコツといえるかもしれません。
【正解】
ボーっとしているときも、私たちの脳は「めまぐるしく活動している」のです。