小学校高学年になると「時刻の確認は携帯電話で」となってしまっているという今のイギリス。アナログ時計の文字盤では正しく読みとれないというショッキングな事実が5年以上も前に判明していた。そのせいで子供用に販売されている針と文字盤からなるアナログ時計の売り上げは激減。デジタル式表示の腕時計ばかりが売上げを伸ばしているそうだ。そして3月、教育関係者がロンドンに集まって開催された「Partners in Excellence」の会議でまたしてもその話題が登場したもよう。事情はさらに悪い方に向かっていることを『Sky News』などが伝えている。
また、シェリル・クインさんというある地区の教師も「真剣そのものの試験でありながら、教室の時計の読み方がわからない子がいる。この問題は数年前から感じていました」と語ると、各学校長により組織されるASCL(Association of School and College Leaders)のマルコム・トローブさんは「今の子たちは伝統的な文字盤や針で時刻を読むほど賢くないのですよ」と嘆く。デジタル時計に替えるメリットはただひとつ。各種試験において生徒たちがストレスを感じることなく試験に集中できることだが、トローブさんは「試験の最中に時間がわからなくて困るなどと訴えるようでは先が思いやられる」と言いたげだ。
なお、教師たちがここでこだわっている真剣なる統一試験とは「GCSE」と「Aレベル」のこと。義務教育(5歳〜16歳)を修了するとGCSE(General Certificate of Secondary Education)という統一試験を受験するもので、大学進学を考えている者は8〜10科目を受験する。またAレベル(General Certificate of Education, Advanced Level)とは、GCSEに続くシックスフォームという2年間の高等教育で得意な3〜5科目を勉強した者が受ける統一試験のことである。アナログ時計が読めなくて大学受験、学力試験もないだろうという気がしないでもないが、それは言い過ぎであろうか。
画像は『Sky News 2018年4月25日付「Teachers claim A-level and GCSE students cannot read analogue clock faces」』のスクリーンショット (TechinsightJapan編集部 Joy横手)