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カンヌ受賞の是枝裕和監督が「戦時中の満洲が舞台の映画を撮りたい」と! 歴史修正主義を批判する是枝監督の"戦争映画"は実現するか?

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2018年05月27日 07:11  リテラ

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リテラ

写真是枝裕和監督最新作『万引き家族』公式サイトより
是枝裕和監督最新作『万引き家族』公式サイトより

 第71回カンヌ国際映画にて、『万引き家族』が最高賞となるパルムドールを受賞した是枝裕和監督。その是枝監督が23日夜帰国し、羽田空港で凱旋会見を行った。会見では、帰国前にニューヨークで次回作の打ち合わせをしてきたとも明かし、詳細は控えながらも、「打ち合わせはうまくいきました。その時は(賞を)取れて良かったと思いました。(相手からは)『断れないな』と言われました」(ウェブサイト「映画.com」より)と語った。



 実は、是枝監督がパルムドール受賞後に今後の作品について語ったのは、これが初めてではない。受賞直後の21日に放送された『プライムニュースイブニング』(フジテレビ)にて、反町理のインタビューに応えた是枝監督はこのように話している。



「ちょっと大きな、たとえば戦時中の話であったりとか、そういうものなんですけれども。予算規模が大きいとか、テーマ的に難しいとかってことで、自分のなかで寝かせている企画がいくつかありまして」

「あまりしゃべると実現しないことが多いのであまりしゃべりたくないんですけど、満州を舞台にしたものをやりたいなと思っております」



 次回作ではカトリーヌ・ドヌーブとジュリエット・ビノシュが母娘役で共演するとの噂も出ており、ここで語られているものが次に撮る作品というわけではないだろう。しかし、それでもいずれ撮りたいテーマとして是枝監督は「満州を舞台にしたもの」を挙げた。今回のパルムドール受賞は、その目標に近づくための大きな足がかりとなったのは間違いない。



 是枝監督の言う「満州を舞台にした戦時中の話」とは、いったいどのような映画になるのだろうか。それは、百田尚樹原作の『永遠の0』のような右傾エンタメとは180度真逆の作品になることは間違いない。



 というのも、是枝監督は、安易な国粋主義が広まった挙げ句、グロテスクな歴史修正主義がまん延することになった現在の日本社会の現状を鋭く批判しているからだ。

(編集部)



「共同体文化が崩壊して家族が崩壊している。多様性を受け入れるほど成熟しておらず、ますます地域主義に傾倒していって、残ったのは国粋主義だけだった。日本が歴史を認めない根っこがここにある。アジア近隣諸国に申し訳ない気持ちだ。日本もドイツのように謝らなければならない。だが、同じ政権がずっと執権することによって私たちは多くの希望を失っている」(2018年5月18日付中央日報)



 是枝監督が指摘する状況は、第二次安倍政権発足以降のここ数年一段とひどくなっている。太平洋戦争での日本の被害についてはしばしば言及される一方、日本側が植民地で行ってきた加害については触れられることが減り、それどころか、「南京大虐殺などなかった」といったような歴史修正が堂々と喧伝されるようにもなった。それを扇動しているのが、安倍政権および安倍応援団たちであることは言うまでもない。



 前述した発言のなかで是枝監督は「予算規模が大きいとか、テーマ的に難しいとかってことで、自分のなかで寝かせている企画がいくつかありまして」と語っている。これは単にお金だけの問題でなく、近年の日本における歴史修正主義の台頭の影響もあるだろう。事実、保守化が進む言論状況のなかで、日本側の戦争加害をストーリーのなかに組み込んだ映画をつくることは年々難しくなりつつある。



●塚本晋也が明かした『野火』実現までの苦労、一方で国威発揚映画には補助金が



 その点を指摘したのが、大岡昇平の名作『野火』を実写映画化した塚本晋也監督だ。『野火』は、塚本晋也自身が監督のみならず主演や脚本や撮影もこなし、資金集めまで行った自主製作・自主配給作品ながら、「キネマ旬報」(キネマ旬報社)が年間ベストテンの日本映画部門で2位に選出するなど高い評価を受けた。



 この『野火』の作中では、教会で出くわした現地の人を日本兵が殺してしまったり、飢えに耐えかねての人肉食が描かれたりと、第二次大戦末期のフィリピン・レイテ島で当時の日本兵が犯した罪に関する描写もあるのだが、それゆえに映画の製作は難航した。15年8月17日にゲスト出演した『荻上チキ・Session-22』(TBSラジオ)で、塚本監督はこのように語っていた。



「いつもの僕の自主映画の、僕の頭の中にあるちょっと奇天烈なものを映画化するというのとは違って、もう大岡昇平さんという素晴らしい原作があるので、それをたっぷりと描くのには、自分がちゃんとつくると言えば、お金がいつかは集まるんじゃないかという気がしてたんですけど、でも、時間が経つにつれて、まあ、お金だけの理由ではなくて、例えば、『もっと小さい規模でやります』と言っても、だんだんだんだんに、お金が出ない雰囲気というか、風潮みたいなものを感じるようになって、つくりづらくなっているなぁというのはここしばらく感じていた感じですね」



 この『野火』は構想に20年かかっている。というのも、先に引用した塚本監督の発言にも一部あるように、大岡昇平による戦争文学の代表作が原作であることから、大規模公開が見込めるスター俳優をキャスティングして映画化しようと思っていたのだが、社会が保守化するにつれ、だんだんと資金集めは難しくなっていったからだ。一時は実写での映画化は諦めてアニメ映画にしようという案まで浮上したのだが、結果的には、塚本自身が監督のみならず主演も務めるかたちでようやく企画実現に至った。



『野火』のように戦争の現実を描いた映画がこのような状況に置かれる一方、プロパガンダ映画には助成金が出る状況がある。たとえば、安倍政権は明治期の国づくりなどを題材とした映画やテレビ番組の制作を支援する方針を打ち出しているが、そのようなかたちで国が映画産業を支援することに対し、是枝監督はこのように釘を差している。



「補助金もあるけれど、出してもらうと口も出すからね。映画のために何ができるか考える前に、映画が国に何をしてくれるのか、という発想なんだと思いますよ。それはむしろ映画文化を壊すことにしかならないんです。

 たとえば、東京オリンピック招致のキャッチコピーに『今この国にはオリンピックの力が必要だ』っていうのがありましたけど、私は五輪はスポーツの祭典の場であって、国威発揚の場ではないということがとても大切な価値観だと思っています。安倍首相は東京国際映画祭のオープニングでも挨拶したけれど、映画が日本のアピールのために利用されているようにも思える。なのでサポートして欲しい、ということも個人的には言いにくいわけです」(ウェブサイト「Forbes JAPAN」16年12月9日付)



●是枝監督の戦争映画は実現するか? 高畑勲監督も「日本の加害責任を問う映画を作りたい」と



 戦争に関わる者が被害者にもなり、加害者にもなるということを描いた反戦映画の歴史的名作といえば、小林正樹監督『人間の條件』(1959年〜1961年)が挙げられる。満州が舞台となっているという点も、これから是枝監督がつくろうとしている作品と似たものを感じさせる。



 しかし、近年そのような戦争映画はほとんどつくられていない。本サイトでもお伝えしたが、亡くなった高畑勲監督も生前、「じつは『おもひでぽろぽろ』をつくる前に、しかたしんさん原作の『国境』をもとにして、日本による中国への侵略戦争、加害責任を問う企画を進めていたのです。残念ながら、天安門事件の影響で企画が流れたのですが、日本が他国に対してやってきたことをきちんと見つめなければ世界の人々と本当に手をつなぐことはできないと思っています」と明かしたことがあった。しかし残念ながら、その思いがかなうことはなかった。



 是枝監督の企画が実現すれば、戦争を描いた近年の日本映画のなかではかなり貴重なものとなるだろう。



 ただ、ひとつ気になるのが、現在の是枝作品の体制でその映画づくりが可能なのかということだ。というのも、ここ数年の彼の作品にお金を出しているのはフジテレビだからだ。『そして父になる』(13年)、『海街diary』(15年)、『海よりもまだ深く』(16年)、『三度目の殺人』(17年)と、是枝監督の近作には一つの例外もなくフジテレビが製作に名を連ね、長年出資してきた。もちろん、今回の『万引き家族』も同様だ。歴史修正主義を広める旗振り役を担ってきたフジサンケイグループが日本の戦争加害を描く映画に金を出すのだろうか。



 とはいえ、いまや是枝監督はパルムドール受賞監督である。フジテレビが金を出さずとも、他に支援を名乗り出る企業はあるだろうし、海外の企業が製作に名乗り出る可能性もある。そういう意味でも、今回のパルムドール受賞は是枝監督のこれからの映画人生において、日本の映画界にとっても、かなり重要なトピックであるともいえる。



 しかし、目を日本国内の状況に向けると、『万引き家族』パルムドール受賞をめぐって、思わず頭を抱えたくなるような現象が起きている。普段から「日本スゴイ」思想を撒き散らしているネトウヨたちが、『万引き家族』に対して「日本に貧困が広まっているように見せ、この国を貶める映画だ」「カンヌは反日」「犯罪を描くなんて何事だ。犯罪教唆だ、R指定にしろ」などと喧伝しているのだ。



 そもそも、映画も観ないで何を言っているんだという感じであるが(映画は6月8日公開)、『万引き家族』という映画は、まさしく彼らのような人間へのアンチテーゼとしてつくられた映画である。この映画を通して是枝監督が伝えたかったことはなんだったのか。後日、改めてお伝えしたい。

(編集部)


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