【コラム】　夏フェスに異変　ライジング・サンとロック・イン・ジャパンの確執

　梅雨の季節がやってきました。雨の日続きで気分も沈みがちになってしまいますね。でも太陽の光が燦々と降り注ぐ夏はすぐそこ。海や花火、旅行など様々なレジャーが待っています。「夏フェス」を楽しみにしている、音楽好きも多いのでは？　 　雨後の竹の子のごとく乱立しているフェスですが、邦楽ファンの熱い支持を集めるのが、「RISING SUN ROCK FESTIVAL（以下RSR）」と、「ROCK IN JAPAN　FESTIVAL（以下RIJ）」。今年で10回目を数える「RSR」は、北海道のイベント会社WESSが主催、対する「RIJ」は今年で9回目、出版社のロッキング・オンが主催しています。これまで幾多のアツい夏を彩ってきた両フェスに、今年は奇妙な事象が発生しました。それぞれの参加アーティストが、一組も被らないのです。邦楽シーンを支えるアーティストは大勢いるといえ、これは少々不思議では？　ファンの間で多くの疑問が飛び交う中、突然衝撃的な発表が行われました。 　ファンの疑念に答えたのは、RIJ総合プロデューサーの渋谷陽一氏（ロッキング・オン社長）。RIJ公式サイトに掲載された「日本のフェスのこれからを考えるために」という文章で、渋谷氏は両フェスの裏事情を「暴露」し、今回の棲み分けが、RSR側の意向に依るものであったと明かしたのです。また渋谷氏は、「ライジングサン･ロックフェスティバルには、そうした方針を出された理由があるのでしょうが、アーティストの参加したい想い、参加者の観たいという想いを犠牲にしてまで得られる何かがあるとは僕には思えません」（ROCKING IN JAPAN　FESTIVAL　公式サイトより）とも綴り、RSR側に対して説明責任を求めました。

「日本のフェスのこれからを考えるために」RIJ 公式サイトより

　渋谷氏の発表を受けて、両サイトのBBSはあっという間に多くの書き込みで埋まります。そこにあるのは、「純粋に音楽を楽しみたかったのに、興ざめ」「RSRサイドの意見を聞かずこんな文章を載せるなんて、フェアじゃない」など批判的な意見の数々。「気になっていたから理由がわかって良かった」「ファンも一緒に考えて、フェスを良くしていこう」との前向きなコメントもあるものの、全体的に多いのはやはり、「知りたくなかった」という声でした。 　実はRSRとRIJの確執は、今に始まったことではありません。そもそも第1回目のRSRは、RIJ側の全面的な協力の元に開催されていました。初の開催、しかも場所は北海道。興行的には難しい条件の揃っていたRSRですが、ロッキング・オン社が刊行誌「ロッキング・オン・ジャパン」などで大々的に特集したこともあり、立地のハンデを覆して見事成功を収めます。しかし翌年、ロッキング・オンは独自のフェス・RIJを始動。それまでRSRに割かれていた誌面は、RIJに場所を奪われていきます。「宣伝主」を失ったRSRは集客が上手くいかず、苦しい時期も……。それ故、節目の年にRSR側が意趣返しをしたのでは、との憶測も飛ぶのです。 　BBSでの反応を重くみた渋谷氏は、後日サイトで謝罪。「これから僕達がすべきは、フェスに出たい、フェスに出て欲しいと思うアーティストが自由に出られる状況を作る為に、当事者同士が話し合う事だと思います。そこに進みたいと思います。」（同サイトより）とも宣言しました。ファンが楽しめるフェス作りのために、是非とも尽力していって欲しいところですね。

RISING SUN ROCK FESTIVAL公式サイト

　RSR側はまだ、一連の出来事に対して、沈黙を守ったままです。RSRは全参加アーティストの発表を終えておらず、今後の対応が気になるところ。渋谷氏の発言は「無かったこと」にしてスルーするのか、それとも一方的な発表に対して反論するのか……どちらにしても、ファンの心境は複雑かもしれません。いろんな土地の空の下、大好きな音楽を聴きながら、歌い、踊り、涙する。この度の事情がどうであれ、ただシンプルに、全ての人が「音を楽」しめるフェスになることを願います。 　ちなみに、曽我部恵一は「曽我部恵一ランデブーバンド」でRSRに、「曽我部恵一BAND」でRIJにと、名義を変えて両フェスに登場します。別名義でクリアとは、お見事のひと言。が、実は曽我部恵一以外にもこの「裏技」を使ったアーティストがいるのです。興味のある人は探してみてくださいね。（キキ／mixiニューススタッフ） 関連サイト RISING SUN ROCK FESTIVAL公式サイト：http://rsr.wess.co.jp/2008/index.html ROCK IN JAPAN公式サイト：http://www.rock-net.jp/fes/08/

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