「静寂」に回帰する記録映画『静寂を求めて』 ジョン・ケージも登場

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2018年07月24日 11:41  CINRA.NET

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『静寂を求めて −癒やしのサイレンス−』 ©TRANSCENDENTAL MEDIA
映画『IN PURSUIT OF SILENCE』が『静寂を求めて −癒やしのサイレンス−』の邦題で9月22日から東京・ポレポレ東中野ほか全国で順次公開される。

同作は静寂、音楽、騒音などの「音」にスポットを当てたドキュメンタリー。世界保健機関が「大気汚染に次ぐ重大な公害問題」と指摘する騒音に悩む人々をはじめ、1年間にわたって沈黙を貫き、一言も発さずにアメリカ大陸を徒歩で横断したグレッグ・ヒンディ、無音の楽曲“4分33秒”で知られるジョン・ケージ、森林浴が免疫機能の向上やストレスの低下、抗ガン細胞の活性化をもたらすことを確認した宮崎良文教授らの姿を捉えている。

監督を務めたのは、『Flight from Death』『The Quest for Immortality』などを発表しているパトリック・シェン。『静寂を求めて −癒やしのサイレンス−』は2年以上の製作期間を要し、8か国で撮影を敢行している。訪れたのは、「地球上最も静か」とされているアメリカ・ミネソタのオーフィールド研究所や、「世界で最もうるさい」と称されるインド・ムンバイの祭典、アラスカのデナリ国立公園、京都の裏千家の茶会、電車の騒音に悩まされるニューヨークの小学校、BMWの「音の城」と言われる騒音軽減研究の現場、修道院や禅寺、“4分33秒”に捧げたコンサートなど。スタッフはインタビューの前に1分間沈黙してから撮影を開始したという。

パトリック・シェン監督は「私たちは、静寂という表現することが半ば不可能な性質なものを、型にはめようとはせず、解き放つことを意識して制作に臨みました」と明かしている。

予告編では、飛行機が飛び交う地域で暮らす住人が「私はこんな騒音を受け入れられません」と語る場面や、ジョン・ケージのインタビューの様子、雪原を歩く男が踏みしめる地面の音、「静寂は会話よりも深い何かを聞く空間です」という言葉などが確認できる。

なお同作について曹洞宗僧侶の藤田一照は「騒音の溢れる現代に、静寂への回帰を雄弁に勧める静かな映画」、ピーター・バラカンは「東京暮らしの一番のストレスは騒音の大攻撃。一旦気づいたら余計なノイズを排除しよう!」、清水ハン栄治は「この映画は詩人になるコツに溢れている」とのコメントを寄せている。

■パトリック・シェン監督のコメント
『静寂を求めて』は、長い間多くの表現者が型にはめるような表現方法で、どうにか表現しようと試みてきただろう瞑想的なドキュメンタリー映画です。私たちは、静寂という表現することが半ば不可能な性質なものを、型にはめようとはせず、解き放つことを意識して制作に臨みました。
この映画は、私たちが静止して世界を体験している様に撮影しました。撮影にクレーンの動き、ドローン、またはカメラの左右の動作などがありません。
映画の全体的なリズムは、人間の思考の作用を念頭に置いて慎重に作られました。この映画が、観客の歩みをスローダウンさせ、新しい世界を体験して下さることを願っています。

■藤田一照のコメント
騒音の溢れる現代に、静寂への回帰を雄弁に勧める静かな映画。さあ、沈黙を迎え入れる稽古を始めよう。

■ピーター・バラカンのコメント
東京暮らしの一番のストレスは騒音の大攻撃。
一旦気づいたら余計なノイズを排除しよう!

■清水ハン栄治のコメント
詩人たちの瑞々しい感性っていいなぁ。ボクら一般人には見えない色が見え、表現できない情動や触感さえも伝播できる。彼らの秘訣って何だか分かる?
奴らは沈黙を聞いている。
この映画は詩人になるコツに溢れている。
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