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風土は“風の人”と“土の人”が作る。村木厚子さんがおじさんばかりの組織でやってきたこと

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2018年09月26日 21:02  ウートピ

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ウートピ

写真村木厚子さんがおじさんばかりの組織でやってきたこと
村木厚子さんがおじさんばかりの組織でやってきたこと

2009年に起きた郵政不正事件で検察による冤罪に巻き込まれながらも、その後、官僚のトップである厚生労働事務次官まで務め上げた村木厚子さん(63)が8月に『日本型組織の病を考える』(角川新書)を上梓しました。

2015年に、37年間務めた厚生労働省を退官した村木さんが、改めて冤罪事件を振り返るとともに、公文書改ざん問題やセクハラ事件など昨今の不祥事を重ね合わせて「日本型組織の病」について考えた内容です。

同書では、村木さんが「ずっと仕事をし続けていきたい」と思っていた原点や女性が圧倒的に少ない職場でどのような思いを抱きながら働いてきたかもつづられています。

大学卒業後、国家公務員となり当時の労働省に入省。日本初のセクハラ研究会を作り、男女雇用機会均等法をいかに根付かせるかなど、「女性政策」に取り組んできた村木さん。女性たちが働きやすくなるためのレールを敷いてくれた”先輩”でもある村木さんにお話を伺いました。

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風の人と土の人

——村木さんは大学を卒業されてからずっと公務員で37年半務めたのですね。あくまでも外からのイメージなのですが、官公庁と言うとなかなか変わろうとしない「おじさん」ばかりの組織というイメージがあります。今回のご著書のタイトルにあるまさに「日本型組織」だなと。

村木:そうですよね(苦笑)。すごく同質の人だけ集まって、同じメンバーでずっといるので。

でもね、この間、鹿児島県の甑島(こしきしま)という島に行ったときにとてもいい言葉を教わったんです。甑島は自分たちでいろいろな新しいことをちゃんとやっていく風土ができているんですが、年配の女の人たちが「でも、私は外からお嫁に来た人なんですよ」っておっしゃったんです。

そこで私は「そうか、外からお嫁に来て、島の風土は外から来た人が変えるのですね」と言ったんですよ。地域創生は「よそ者」「若者」「馬鹿者」が担うと言われているので、やっぱりよその人が変えるのかなと思ったら、彼女は「私たちはこう教わった。『風土』というのは、“風の人”と“土の人”が作るんだ。私は外から来た“風の人”だけど、ここで育った本当によい“土の人”がいなかったら、こういうことはできなかった」っておっしゃって。“風の人”と“土の人”ってすごくいいなと思って。ぐっとくるよね?

——きます。

村木:だから、役所だったら、外の風が入ってくる、例えば民間からニューカマーが入ってきて、元からいた“土の人”との相乗作用で新しい風土を作っていくと言われるといいなと思いました。壊せばいいというよりは、どんどん外の風を入れながら、元々あるものを大事にして一緒に変わっていく、というような。そういう変わり方のほうが日本の文化に合っているんじゃないかな。

——そうですね。混ざり合いながらというのはいいですね。

村木:企業や官庁という組織の中での女の人の役割って、やっぱり“風の人”になるべきだし。でも、おじさんたちは“土の人”として頑張ってもらわないと。

——そこで「女性VSおじさん」という構図になってしまっては何も変わらないですもんね。

村木:“風の人”と“土の人”で新しい組織文化を作って、女の人が自分の力を十二分に発揮して働いたり、男の人が育休取っても白い目で見られたりしないような、みんなで働き方を変えていくのは大切だと思います。

おじさんばかりの組織だからできること

——そういう意味でも多様性というのはすごく大事だなと思っています。

村木:多様性はすごく大事ですよ。風通しのよさとかね。不祥事も小さいものから大きいものまで、役所では必ず起こるじゃないですか。中でいろいろな議論をしたときに、よく最後に対策として出てくるのが、風通しのよさなんですね。

セクハラでもパワハラでも、「あれ? おかしいよね」とすぐに言える空気。「あれはどうなんでしょう?」「あの先輩、あんなことやっているけれど、ちょっと注意してくださいよ」と言える風通しのよさはすごく大事ですね。でも、それは同じメンバーで同じ価値観でずっとやっているとなかなかそういうふうになりにくいから、そういう意味でもダイバーシティが大事になってくると思います。

——ただ、やっぱり組織が大きすぎると「どうせ変わらない」と思ってしまうこともあると思うのですが、村木さんはどのように働いてきたのですか?

村木:そういう意味では、私はすごくラクをしたんだと思います。なぜかというと、女性の採用に熱心な労働省でさえ、私より上の人になると女性は年に一人くらいしか入ってこなかったんです。そうなると縦がものすごく協力し合うんですよ。少ないからこそ協力しあってネットワークを組む。

「あけぼの会」というグループがあったのですが、例えば「今年は人事課長をお呼びしましょうか?」と勉強のために男性の幹部を呼んで「女性をちゃんと使ってね」とプレッシャーをかけるんです。男性はみんな怖がって、密かに「バケモノ会」と呼んでいたようです。

やっぱり自分で「私を昇進させてください」とか「私をなんとかしてください」と言うのは大変。そうすると「あの子ちょっと遅れているんじゃないの?」「あの子、あんなにしっかりやっているのにまだ昇進してないの?」と女性の先輩がおじさんたちに言ってくれるんです。

——先輩が引き上げてくれるんですね。

村木:そうなんです。少数派って不利って思われがちなんだけれど、得することもあるんですよね。こっちはおじさんの名前はなかなか覚えられないけど、おじさんはこちらの名前を覚えてくれる。

だから、少数は少数でメリットがあるし、それをちゃんと大事にしてくれる女性の先輩や男性の先輩がいるので、その人たちを上手に頼りながら、ちょっとずつ足場を固めていく。そしてやってもらったことは、後輩に返してあげる。そうやっていると、だんだんポジションが、立ち位置が作られてくるんですよね。

——一気に何かを変えることは難しくても、手持ちのカードでよいところを見つけたり、うまくカードを組み合わせたりしながらちょっとずつ足場を固めていくのですね。それならまだまだやれることはありそうですね。

※次回は10月3日(水)掲載です。

(取材・文:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘/HEADS)

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  • 男性を「おじさん」と一括りにするのはセクハラではないんだね!やったね!
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