藤田ニコル、ギャルタレントからオトナに転身成功も……「真面目で親孝行」な一面に募る不安

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2018年11月02日 00:02  サイゾーウーマン

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羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「別次元すぎて……」藤田ニコル
『おしゃれイズム』(日本テレビ系、10月28日)

 芸能界には、“ギャルタレント枠”というものが存在する。年齢は10代後半で見た目は派手、常識がなくぶっ飛んでいる、もしくはおバカ発言を連発するタレントのことを指す。収録という限られた時間の中で、制作側が求める面白いことを言えるのは、相当頭が良くなくては無理だと思うが、それはさておき、ギャルタレントは、ギャルと呼ばれる年齢を脱した時に行き詰まるという宿命があるのではないか。

 しかし、そこからうまいこと抜けた感があるのが、モデル・藤田ニコルである。「Popteen」(角川春樹事務所)のギャルモデルから、おバカタレント枠としてテレビ進出し、人気を博すことに。現在は「ViVi」(講談社)の専属モデルとなり、アパレルブランド「Nicoron」のプロデューサーを務め、『サンデー・ジャポン』(TBS系)にコメンテーターとして出演するなど、“オトナ”への転身に成功している。

 大御所に気に入られることは、脱ギャルタレントの王道かもしれない。「若い女性を口説いたら、娘の友達だった」といった具合に、“浮気は男の甲斐性”を掲げる俳優・梅沢富美男が、『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)でニコルを「礼儀正しい」「頭が良い」と絶賛していた。その時は、昭和のおじさんがニコル人気に乗っかろうとしているのかと思ったが、10月28日放送の『おしゃれイズム』(同)を見て、ニコル側が、おじさんというか昭和世代をわかっているなぁと感じた。

 ギャルタレントや若い女性芸能人は、大御所を「知らない」と言うなど、無礼な発言をすることを求められることがある。しかし、無礼な発言をしっぱなしでは、収録で笑いが起きても、その後、自分の首が締まる。となると、ギャルタレントは「失礼なことをしつつ、それをこっそり挽回する」必要があるのではないか。その時に指針となるのが、常識とか社会的階級の上下を読む感覚である。

 例えば、『おしゃれイズム』のパーソナリティー・森泉は、ニコルの事務所の先輩である。くりぃむしちゅ〜・上田晋也に「森泉に対して、あこがれやリスペクトはあるか?」と聞かれたニコルは「ないですけど」と即答して周囲を笑わせた後、「別次元すぎて」とフォローするのだ。泉の祖母は世界的デザイナーの森英恵であり、泉はパリの社交界名簿に名前が載っているほどのセレブリティー。ニコルの「別次元すぎてあこがれない」という発言は、「私のような者が、あまりにも違うあなたにあこがれるなんて、恐れ多くてできない」と言っているに等しく、相手に対して謙譲の精神を発揮していることになる。梅沢が「礼儀正しい」と言うのは、このあたりのセンスを評価しているのではないだろうか。こういったバランス感覚があると、若者だけでなく年寄りも、双方に受けるコメントをすることができるだろう。

 そんなテレビでさらなる活躍が期待できそうなニコルだが、不安要素を感じることもある。彼女が明るい色の服やメイクをしていても、なぜか暗さのようなものを私は感じるのだ。

 ニコルは両親の離婚や生活苦、母の再婚と離婚、DV、借金、浮気癖を持つ母の恋人との同居を何度も経験するなど、子ども時代には苦労が絶えなかったらしい。しかし、今や仕事は好調で『サンデー・ジャポン』では「車は去年買った」「ママと住める家を買おうかな」と発言するなど、財布は潤っている様子。

 貧しい家庭に育った子どもが芸能界で売れて、親のために家を建ててあげる。日本人好みの美談だが、こういう時に思い出すのが、その昔、工藤静香が「ViVi」(講談社)で語っていた人生哲学なのである。静香は高級住宅地に二世帯住宅を建て、母親の闘病をきっかけに両親と暮らし始めた。絵に描いたような親孝行だが、その一方で「金銭管理は親にさせない、それで揉めてきた人をいっぱい見たから」とも語っていた。

 カネを前にすると、実の親子でも揉めることがある。となると、あの若さで同世代に比べて格段に稼ぐニコルは、家族崩壊の火種を持っているとも言える。かつて、中森明菜は自殺未遂の原因の1つに、家族に金銭的にたかられていたことがあると「マルコポーロ」(文藝春秋)で告白していたが、女性芸能人にとってカネをめぐる家族との不和は、芸能人人生を縮めかねない大きな問題なのではないか。

 『情熱大陸』(TBS系)に出演したニコルの母によると、ニコルは「自分に仕事があるうちは、家賃を払ってあげる」と母親(とほかの家族)の住む家の家賃を負担しているそうだ。「みんなにうらやましいって言われる」「どうしたらそういう子になるの? って聞かれる」とニコルの母は言っていた。「そんなの知らないよ」と答えるそうだが、「ありがとう」とか「つらい思いをさせて悪かった」いうような感謝や謝罪の言葉がないことがひっかかった。

 『おしゃれイズム』で、ニコルの理想の結婚相手について聞かれたニコル母は、「親も大切にする人」を挙げていた。ここでいう親とは、男性側の親(ニコルから見て姑舅)なのか、それともニコル母のことなのか。もしニコル母を指すのなら、何をもって「親を大切にする」というのか。

 『情熱大陸』で、自分について「真面目で、ママと正反対」と語ったニコル。親孝行は結構なことだが、そもそも、自分の稼いだカネは自分のもの(親のものではない)って知ってる? と聞きたい気持ちになる。親に応援してもらうことで、芸能活動のモチベーションをあげつつ、越えてはいけない一線も守る。家族との距離をうまく管理することも、売れている芸能人の大事な仕事なのだから。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
ブログ「もさ子の女たるもの

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