ポケモン、モンスターハンター、DDR……日本のゲーム×ハリウッド映画への期待

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2018年11月18日 07:02  リアルサウンド

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リアルサウンド

 少し前のことになるが、日本のゲーム『ダンス・ダンス・レボリューション』をハリウッドで実写化するという狂ったニュースが入ってきた。まだ企画を練っている段階のようだが、世界の破滅をダンスで救う話になるらしい。どんな映画だと疑問は湧くが、それはそれとして、観てみたいのも事実だ。


 他にも、つい先日『名探偵ピカチュウ』の非常に期待できる予告が公開された。“ポケモン”というデフォルメされたキャラクターをどう実写にするか? この命題を「ぬいぐるみと生き物の中間くらいのリアリティで描く」というアプローチで解決しているのは感心した。ちゃんとゲームのテイストを再現しつつ、1本の映画として面白そうになっている。「ゲーム映画もここまで来たか……」と感慨深い。他にも日本の人気ゲームの実写化企画が次々と動いている昨今、何か時代が動いている感があるので、この機会にゲーム映画の未来について書いておきたい。


【動画】POKÉMON Detective Pikachu – Official Trailer #1


 ーーと、意気込みを語ったところで早々に躓くが、ゲームの実写化と聞くと、ぶっちゃけ、私はまだ不安に思ってしまうタイプだ。そもそも映画とゲームは面白さの方向性が違う。遊ぶのがゲームであり、映画は見るだけだ。付け加えると、私は三十路なので実際にアレなことになった事例を目撃している。マリオがハリウッドを本気にさせちゃった『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』(93年)や、ヴァン・ダムに「見に来てね!」と力強く訴えかけられた『ストリートファイター』(94年)、逆に日本からハリウッド映画に殴り込んだ『ファイナルファンタジー』(01年)も印象深い。“あのゲームがどんな風に映像化されているのだろう?”そう期待に胸を膨らませたクラスの同級生A君やB君と、「あれは何だったんだろう?」「ゲームと全然違う……」「ハラキリ!」「東洋の神秘、思い知ったか!」などと困惑したのは今も鮮明に覚えている。


 しかし、こういった事例は、もはや遠い昔の出来事だ(90年代って30年くらい前なんですよ。ゾッとしますね……)。最近は『アサシン クリード』(16年)、『トゥームレイダー ファースト・ミッション』(18年)など、原作をなるべく尊重し、あの頃にA君やB君が期待したような「ゲームの再現」に力を入れている作品も増えている。こうした作り手側の意識の変化と共に、特殊効果やアクション設計など、技術面の向上も頼もしい。ゲームの再現だけではなく、映画としての面白さもドンドン上がっている。ゲーム映画は――もちろん全てが成功しているわけではないが――昔よりは確実に良い方向に向かっていると言えるだろう。最初に触れた『名探偵ピカチュウ』はゲーム映画の一つのターニングポイントになりそうな気もしている。また、私が個人的に注目しているのが、『モンスターハンター』の実写版だ。


 今のところ判明している実写版『モンスターハンター』の粗筋は、「国連軍の部隊がモンハンの世界に飛ばされ、モンスターと戦うことになる」というもの。公開されている撮影風景は普通の軍隊であり、肝心のモンスターのビジュアルも出ておらず、現時点ではモンハン感はあまり感じられない。しかし、私はこの映画に大きな期待を寄せている。何故なら揃っている面子が信頼できるからだ。まず監督はポール・W・S・アンダーソン、そして主演はミラ・ジョヴォヴィッチ。言わずと知れた『バイオハザード』シリーズのコンビである。『1』はゲーム映画の一つの金字塔であり、同時に現在まで続くゾンビ映画ブームのキッカケとなった1本だ。ちなみにポールもミラもゲーム好きであり、同作に向けて並々ならぬ気合が入っているらしい。モンハン感の無さを指摘されるや、速攻でゲームに登場する武器「スリンガー」の写真をアップするなど、ファンの気持ちも考えているようだ。


 そして何より『マッハ!』シリーズで知られるムエタイ超人、トニー・ジャーがキャスティングされている点が重要だ。今回の彼は、もう一人の主人公と位置付けられており、モンハンの世界のハンターとして暴れ回るらしい。彼のTwitterは「#MonsterHunte」というハッシュタグと共に、アクロバットな自撮りがアップされており、“モンハン世界の住人”として順調に仕上がっているようだ。今から映画のシーンが目に浮かぶようである。モンスターを前に成す術なく壊滅していく国連軍。そこに「イイヤァァーー!」と雄叫びを上げながら飛び膝で突っ込んでくるトニー・ジャー。そのまま目にも止まらぬ動きでモンスターを解体するトニー・ジャー。そしてミラジョヴォたちに頼まれ、肉を上手に焼きながら国連軍に修行をつけるトニー・ジャー。これだけでも映画代を払いたい気持ちになってくる。他にも『ヘルボーイ』シリーズに主演した怪優ロン・パールマン、“キング・オブ・ザ・サウス”を自称する人気ラッパーにして、『アントマン』シリーズの愛すべき3バカのひとり、T.I.の参戦も決まっている。愛妻、ムエタイ超人、怪優、キング・オブ・ザ・サウスと、ポール監督史上最高にアクの強い人たちが大集合しているので、本作が化ける可能性は大いにあるだろう。


 ゲームの映画化ーーそれはまだ「不安」が混ざる挑戦である。しかし、ゲーム映画を作る人間の技術も意識も変わってきている。アメコミ映画の扱いが変わったように、ゲーム映画も変わる可能性が高い。そして、その変化は、恐らくこれから数年の間に起きるだろう。『名探偵ピカチュウ』や『モンスターハンター』がその起爆剤となることを願うばかりである。最後になったが、本当に個人的な希望を言うと『ザ・レイド』組やドニー・イェン、そしてロック様ことドウェイン・ジョンソンを集めて、『ファイナルファイト』の実写版をやってほしいものである。絶対に面白いと思う。


(加藤よしき)


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  • 『国連軍の部隊がモンハンの世界に飛ばされる』って所で『戦国自衛隊』を思い出した…
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