上沼恵美子への暴言騒動で浮き彫りになった、芸人とマスコミにまかり通る「女性蔑視」

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2018年12月12日 00:03  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

「女性自身」12月25日号(光文社)

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

 女性週刊誌の部数が堅調だ。中でも「女性セブン」(小学館)は時には「週刊文春」(文藝春秋)に次ぐ部数のときもあるらしい。確かにここ数年、一般週刊誌よりも真っ当な社会記事も多く、皇室スクープや芸能ネタも安定している。頑張れ! 女性週刊誌!

第440回(12/6〜12/11発売号より)
1位「上沼恵美子 『怒ってはいません…でも更年期おばはんは無礼やろ!』(「女性自身」12月25日号)
以下、アトランダムに
「赤川次郎 三毛猫ホームズが開く 明日への窓 第9回」(「女性自身」12月25日号)
「シリーズ人間 ロバート・キャンベル『20年間ずっと、彼は私の人生の杖でした』」(「女性自身」12月25日号)
「香取慎吾 4億! 稲垣吾郎も『不動産王になる!』(「女性セブン」12月20日号)
「米倉涼子 女王はスピーチで感涙…『チームの絆』に『自腹で合計100万円贈呈!』(「女性自身」12月25日号)

 大阪の女王・上沼恵美子をめぐり、とんでもない騒動が勃発している。12月2日放送の『M-1グランプリ2018』(テレビ朝日系)で審査員を務めた上沼に、とろサーモンの久保田かずのぶとスーパーマラドーナの武智正剛が「おばはんにはうんざり」「更年期障害かと思いますよね」といった暴言を放ったのだ。

 今週の「女性自身」はわざわざ大阪まで行って上沼本人を直撃しているのだから、この騒動の衝撃が窺い知れる。「自身」の直撃に上沼は応じて、こんなことを語っている。

「天下取ったらいいんですよ」「ダウンタウンのようになったら何言おうが失言になりませんからね」

 さすがの貫禄である。しかし、上沼もそして「自身」も触れていない本質がある。それが今回の発言は、決して上沼だけの問題ではなく、日本社会が持つ女性軽視、蔑視の表れではないかということだ。

 そもそも上沼も“ダウンタウンだったら許される“などと言っているが、いやいや、違うでしょ。しかも、そのダウンタウンの松本人志は今回の騒動を受け、『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、「彼らは勉強不足ですよね。上沼さんという人がどれだけの人か、本当にわかっていない」などと発言したが、これにも唖然。つまり、両者とも今回の問題が“下っ端”の人間が“大御所”に暴言を吐いたことを問題にしているだけだから。つまり久保田や武智がダウンタウンのような大物だったら問題なし、さらに下っ端でも暴言を向ける対象が大御所の上沼でなく、たとえば一般人だったらいいと言っているに等しい。

 今回の騒動を取り上げたワイドショーも同様だ。「上沼さんという大物に何を言う!」とか、「酒を飲んで愚痴を言うまではいいが、それをネットで晒すなんて非常識!」という論調ばかり。

 違うだろ。女性、特に更年期世代はもっと怒ったほうがいい。上沼じゃなくても、こんなことを言われたら(それが陰口でも)許せないでしょ。天下を取っても、こんな暴言を吐く男はダメ。大御所女性じゃなくて、女性全般に対しても、もちろんダメ。

 そもそも日本の芸人の世界は女性蔑視がまかり通っている世界でもある。今回、芸人たちも一斉に上沼に謝罪するような動きを見せているが、それは上沼が自分たちに直接影響を持つ大御所だから。なにしろ、上沼から名前の上がったダウンタウンの松本は女性蔑視発言の常連、最高峰だしね。

 しかし、今回の騒動を取り上げるメディアに、そうした視点はあまり見受けられない。今後、女性週刊誌におかれては、これを単なる芸能ネタではなく、日本社会の女性蔑視という視点でぜひ特集を組んでほしい。

 追記。「自身」の直撃に上沼は更年期について「私はもう63歳なので、ないです」などと答えてもいるのだが、いやいや、そういう問題でもないから(トホ)。

 今週の女性週刊誌はちょこちょこと面白い記事が多い(特に「自身」)。ということで2位以下、アトランダムに紹介したい。

 「自身」の赤川次郎による不定期連載「三毛猫ホームズが開く 明日への窓」。そのまっとうな目線、論考、フェミ的視線が素敵だと以前にも紹介したが、今回も素晴らしい。写真月刊誌「DAYS JAPAN」(デイズジャパン)の休刊を惜しみ、ジャーナリズムの必要性、大手メディアの問題に言及している。

「(戦争や企業の暴走の犠牲になっている人々の)悲惨な現実を見るのは私たちの子や孫の世代のためなのだ」と。

 赤川は、作家は政治的な発言をするべきではないとの考えを長らく持っていたが、しかし15年安保法制、安倍政権の暴走を見て、「あまりにも状況がひどすぎるので、黙っていられなくなった」(「すばる」15年8月号/集英社)として、政治的発言を積極的に行っている。もっと早くから赤川先生のこうした発言を聞きたかった。そして、この連載はぜひ書籍化してほしいと思う。

 もう1本、「自身」に骨太のルポが。「シリーズ人間」が取り上げたのが日本文学者でテレビコメンテーターのロバート・キャンベルだ。今年7月の自民党・杉田水脈議員のLGBT生産性発言を機に、20 年来の同性パートナーの存在を明かしたキャンベルだが、その生き様やLGBT、そして理解ある友人や家族について語っている。

「日本という社会は、LGBTをやんわり遠巻きに見ていて、表立っては公認しない」

 記事には「日本の社会全体が、キャンベルさんを取り巻く環境のようになれば、LGBTへの無知をさらす議員など、きっといなくなるだろう」と指摘もしている。必読のルポだと思う。

  「女性セブン」がジャニーズから独立した香取慎吾と稲垣吾郎が複数の不動産を所有していることを報じている。投資用らしく、なかなか優良物件揃いらしい。なにしろジャニーズ事務所も都内の超一等地不動産を買い漁っているから、古巣に学んだのか。「新しい地図」もなかなかしたたかである。

 米倉涼子主演『リーガルV〜元弁護士・小鳥遊翔子〜』(テレビ朝日系)の打ち上げのビンゴ景品の豪華さを「自身」が報じている。出演者の提供した景品は小日向文世、叙々苑15万円分お食事券。高橋英樹、商品券30万円分。向井理、商品券15万円分プラス現金5万円。そして米倉は商品券25万円分を2つに、スタッフジャンバー代50万円で計100万円なり! 太っ腹とは思うが、筆者があるドラマの打ち上げに参加した際に、こんなことを耳打ちされた。打ち上げでは、下請けのADなどに商品が渡るようにするのが慣例だ、と。だから金持ちの俳優や幹部スタッフは当たっても名乗り出ないこともあるんだとか。今回の俳優陣の太っ腹エピソードをみて、ドラマの現場も、格差社会なんだとつくづく思った。

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  • とりあえず記事を書いた人間の頭が非常に残念だという事は理解した。
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