まるでヨーロッパ!? 全日本F3鈴鹿テスト参加の2チームに外国人ドライバー/スタッフが多数

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2018年12月21日 14:51  AUTOSPORT web

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カーリンで使用されていたマシン、そしてスタッフがOIRC Team YTBのピットに登場した
12月20〜21日、鈴鹿サーキットで開催されている全日本F3選手権の合同テスト。今回は17台・23名のドライバーがエントリーしているが、まるでヨーロッパのチームかのような雰囲気を漂わせ、これまでの全日本F3にはなかったような光景となっているのが2チームある。B-MAX RACING TEAMと、OIRC Team YTBだ。

■3人の有力外国人、そして笹原&藤波。B-MAXの狙いは
 これまで全日本F3で数多くのタイトルを獲得してきたB-MAX RACING TEAMは、今回のテストで4台を登録した。11月のマカオGPでは、ヨーロッパの強豪であるモトパークとのコラボレーションを発表しており、そのうち3台は『B-MAX RACING AND MOTOPARK F3』という車名で登録されている。

 そのうち50号車と51号車には、12月5〜6日に全日本スーパーフォーミュラ選手権のテストに参加したルーカス・アウアーとハリソン・ニューウェイが乗車。そして1号車には、マカオGPで3位表彰台を獲得したサッシャ・フェネストラズが乗車している。ヨーロッパのドライバーが並んで3台に乗り込む様は、最近の全日本F3では見なかった光景だ。ピットにはコラボしているモトパークのスタッフもいるので、余計に欧州のような雰囲気がある。

 DRAGONとして今回30号車をドライブする組田龍司代表に、3人の外国人ドライバー起用の理由を聞くと、こう教えてくれた。

「皆さんご推察のとおり、ハリソン(ニューウェイ)とルーカス(アウアー)については習熟が目的です。彼らがF3に出ることはないので、くだらない隠しごとはしません(笑)」と組田代表。

 アウアーとニューウェイは、スーパーフォーミュラのテストで鈴鹿を走行したものの、やはり絶対的な経験が不足している。F3はスピード域としても練習には最適で、日本人ドライバーでも多くのGT500ドライバーが練習に使っているほどだ。

 一方弱冠19歳のフェネストラズについては、「今回の結果で本人がどう思うかは分かりませんが、2019年の全日本F3選手権フル参戦を前提としたテストです」というからファンとしては要注目だ。今回のテストでも初の鈴鹿ながら、全日本F3を戦ってきたドライバーたちと遜色ないタイムをマークしている。

 そして30号車には、ふたりの日本人がDRAGONとシェアするかたちで乗り込んでいる。ひとりは2018年にThreeBond Racingから参戦していた笹原右京、そしてもうひとりは、スポット参戦して好走をみせていた藤波清斗だ。

 ふたりについて組田代表は「今までどおり、才能のある若いドライバーにチャンスを与えてあげたいという思いからやっています。もちろん他の候補者もいますし、物理的に何人も乗せるわけにはいかないので『ちょっと力を見せてみて』と乗ってもらっています」という。

 今回の乗車のいきさつについて笹原は「自分が組田さんに直接交渉して、テストに乗せて欲しいとお願いした結果、こうして乗ることができました。そういった機会を与えてくださった組田さん、そしてB-MAX RACING TEAMの皆さんに感謝しています」と語った。

 期待に応え、笹原は初日午前のセッション1で2番手タイムをマーク。また、当日朝に急遽エントリーした藤波もセッション2で4番手につけるなど、期待に応えている。ちなみに笹原は、ニューウェイとは「僕がフォーミュラ・ルノーやF3をテストしたときにチームメイトだったんです。その時にお父さん(エイドリアン・ニューウェイ)もいて良く知っています」という間柄。今回はひさびさの“チームメイト”となった。

■名門が日本上陸!? OIRC Team YTBのピットはまるでヨーロッパ
 一方、今回のテストでライバル勢も驚いたピットとなったのは、OIRC Team YTBだ。ピットボックスに収まっていたのは、マカオでカラム・アイロットとユアン・ダルバラがドライブしていたイギリスの名門カーリンのマシンそのもの。さらに、ピット内にはカーリンのブルーのウェアを着た外国人スタッフが中心となってメンテナンスを行っているのだ。

 今回、片山義章がアイロットがドライブしていた8号車に乗り込み、アイロットとイギリス人ドライバーのジェームス・プルが7号車をシェアしている。ちなみにプルも、イギリスでF4を戦っていた頃はカーリンに所属していた。

 これはB-MAX RACING TEAMとモトパークの関係のように、カーリンと提携関係を結んだのだろうか……!? と片山義規代表に聞くと、実はまだそういう訳ではないようだ。

 2018年、全日本F3選手権において片山義章は新車のF318を投入して戦っていたが、最終戦の富士でクラッシュしレースを終えた。この際、クラッシュの衝撃でモノコックにダメージを受け、そのため新車の投入に迫られていたという。

 そこでマカオGPで片山が所属したカーリンと交渉。マシン2台を購入することになり、その流れで今回スタッフが登場することになったのだ。なおアイロットはセッティング等のためのテスト参加の様子。

 今後のカーリンとの関係について片山代表は「まだちゃんと話をしていないんですよ。今どうしようか……という状況です」という。ちなみに今回の一連の流れは、今季片山のアドバイザーを務めていたリチャード・ライアンが橋渡し役となった。

 2019年に向けて、OIRC Team YTBは2台体制を目指しているよう。1台は片山で、もうひとりは「ドライバーは今回テストしているのも含めて、他の人になるかもしれません」という。片山代表の狙いは、ドライバー片山義章も含めて、「モータースポーツを盛り上げたい」ということだ。

「僕のもともとの勤めが、モータースポーツを盛り上げて最終的に集客をする……というところにあります。僕はあくまでオーガナイザーですから」と岡山国際サーキットの社長でもある片山代表は語る。

 今後OIRC Team YTBとカーリンはどういった関係になるのか、ジュニアフォーミュラ界にとってはB-MAX RACING TEAMとOIRC Team YTBの2チームは注目の存在となりそうだ。

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