ペドロサがMotoGPで歩んだ軌跡【3】そして引退へ……リトルサムライが送った最後のシーズン

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2018年12月23日 12:21  AUTOSPORT web

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ペドロサがMotoGPで歩んだ軌跡【3】そして引退へ……リトルサムライが送った最後のシーズン
2018年シーズンをもって18年間のロードレース世界選手権参戦に終止符を打ったMotoGPライダー、ダニ・ペドロサ。2013年から2018年の間には、レギュレーションやタイヤサプライヤーの変更など、状況も大きく変わっていった。『ペドロサがMotoGPで歩んだ軌跡【2】』に続くペドロサのMotoGPヒストリーをつづる第3回。2013年から2018年の引退までのペドロサを描く。

 2013年、ペドロサは新たなチームメイトを迎えた。Moto2クラスチャンピオンの称号とともにMotoGPクラスに乗り込んできた、マルケスである。新しいチームメイトとともに挑んだ2013年シーズン、ペドロサは第2戦アメリカズGPから5戦連続で表彰台を獲得。しかし第8戦ドイツGPの2日目フリー走行で転倒し左鎖骨を負傷し、ドイツGP決勝レースを欠場。第9戦アメリカGPから復帰した。

 この年、ペドロサは第3戦スペインGP、第4戦フランスGPと連勝し、シーズン後半の第15戦マレーシアGPでも優勝してシーズン3勝を挙げランキング3位を獲得している。チャンピオンはチームメイトでありMotoGPクラスのルーキーでもあった、マルケスだった。

 ペドロサが、長く二人三脚で歩んできたマネージャーのアルベルト・プーチと離別したのは、この2013年シーズン終了後だった。ふたりが別々の道を歩むことになった理由を、プーチは『“小さな巨人”ペドロサ「MotoGPマシンに乗るのは無理だと思っていたが……」/特別インタビュー後編』のなかで明かしている。

 2014年はマルケスが開幕戦から10連勝を挙げて、シーズンを席巻する。破竹の勢いで優勝を積み上げるマルケスを止めたのが、ペドロサだった。第11戦チェコGPで表彰台の頂点に立ったペドロサはシーズン通算10度の表彰台を獲得し、ランキング4位で2014年を締めくくっている。

 この年はCRT(クレーミング・ルール・チーム)に替わるレギュレーションが導入されたシーズンでもあった。MotoGPのプロモーター、ドルナスポーツが供給する共通ECUの使用が義務付けられ、そのECUの使用方法によって『オープンカテゴリー』と『ファクトリーオプション』とに分類された。

 これまでにケガを負うことが多かったペドロサだが、彼の手術が大きく取りざたされたことがある。それが2015年。ペドロサにとってMotoGPクラス10年目のシーズンだった。

■2015年シーズンには開幕戦後に手術決断も……
 開幕戦を終えたペドロサが、右腕の腕上がりの手術を受けると発表したのだ。シーズン中に負ったケガによるものでない限り、ライダーが体にメスを入れるとすれば通常はオフシーズン。シーズン中、しかも開幕戦を終えたタイミングでの手術に、注目を集めたことは言うまでもない。

 開幕戦後に手術を受けたペドロサはシーズン序盤の3戦を欠場すると、第5戦フランスGPで復帰。シーズン終盤には調子を取り戻し、第14戦アラゴンGPで2位表彰台を獲得した。続く第15戦日本GPではウエットからドライに変わる難しいコンディションのレースを見事に制し、シーズン初勝利を挙げている。シーズン中の手術からカムバックを果たしたペドロサは第17戦マレーシアGPでも優勝し、ランキング4位を獲得した。

 レギュレーション面で大きく変わった2016年。この年はファクトリーオプションとオープンカテゴリーに分かれていたクラスが統一されたほか、共通ECUの導入、タイヤサプライヤーがブリヂストンからミシュランに変更となった。共通ECUは2014年からハードウエアがマニエッティ・マレリ製で共通だったが、ファクトリーに関しては独自のソフトウエアを使用していた。これがハード・ソフトともに共通となったのだ。

 そんな2016年シーズン、ペドロサは日本GPで負った右鎖骨骨折によるシーズン後半3戦の欠場が響き、優勝はサンマリノGPでの1勝。ランキング6位にとどまった。

 2017年シーズン、ペドロサは第4戦スペインGP、最終戦バレンシアGPでの2勝を含む9度表彰台に上り、ランキング4位を獲得した。この年の最終戦バレンシアGPが、ペドロサにとって現役引退前の最後の勝利となる。

 そして2018年シーズン、6月にはHRCがペドロサとの契約を今季限りとすることを発表。その後、第9戦ドイツGPで、ペドロサは現役引退を明らかにした。

 最後のシーズン、ペドロサは第2戦アルゼンチンGPでの転倒により右手首を骨折。手術を余儀なくされた。第4戦スペインGPではホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ)やアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)とともに2位争いを展開中、3台が交錯し転倒リタイアを喫するなど不運も重なった。

 ラストイヤーのランキングは5位。MotoGPクラスで初めて、ペドロサが優勝も表彰台獲得もせずに終わったシーズンでもあった。

 ペドロサがMotoGPクラスで挙げた優勝回数は、31勝。表彰台獲得数は112回にのぼる。また、これまでの功績を鑑み、ペドロサは史上29人目となるMotoGP殿堂入りを果たした。最終戦バレンシアGPレースウイーク前には授賞式が行われている。

 ロードレース世界選手権に参戦して18年。MotoGPクラスで戦い続けて13年。ペドロサのMotoGPライダーとしての歩みは終着点を迎えた。ケガや不運も絡み合いタイトルに手が届くことはなかったが、小柄な体でMotoGPマシンを操り、そのライディングでファンを魅了し続けたライダーであったことは間違いない。

 ペドロサは2019年と2020年、KTMのテストライダーを担うことが発表されている。ペドロサは新しい形でロードレース世界選手権に貢献していくことになるのだろう。

ダニ・ペドロサ 2013年〜2018年リザルト
シーズンクラス参戦GP数優勝2位3位表彰台獲得数ポールバイクポイントランキング2013MotoGP17373132Honda30032014MotoGP18136101Honda24642015MotoGP1522261Honda20642016MotoGP1510230Honda15562017MotoGP1822593Honda21042018MotoGP1800000Honda11711

ダニ・ペドロサ 通算リザルト
MotoGP250cc125cc合計勝利数31158542位4084523位411547表彰台獲得数1122417153ポールポジション319949ファステストラップ4415564チャンピオン獲得数0213

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