『ボヘミアン・ラプソディ』がゴールデングローブ賞作品賞&主演男優賞

1

2019年01月07日 19:31  CINRA.NET

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

CINRA.NET

『ボヘミアン・ラプソディ』 ©2018 Twentieth Century Fox
『第76回ゴールデングローブ賞』の授賞式がアメリカの現地時間1月6日に行なわれ、受賞作品が発表された。

映画部門で作品賞に輝いたのは、『ボヘミアン・ラプソディ』(ドラマ部門)と『グリーンブック』(ミュージカル/コメディー部門)。監督賞は昨年12月にNetflixで配信がスタートした『ROMA / ローマ』のアルフォンソ・キュアロンが受賞した。

主演男優賞は『ボヘミアン・ラプソディ』でフレディ・マーキュリー役を演じたラミ・マレック(ドラマ部門)と、『バイス』でジョージ・W・ブッシュ政権下の副大統領ディック・チェイニー役を演じたクリスチャン・ベール(ミュージカル/コメディー部門)が受賞。主演女優賞には『天才作家の妻 -40年目の真実-』で世界的作家を支える妻を演じたグレン・クローズ(ドラマ部門)、『女王陛下のお気に入り』で主人公のアン女王を演じたオリヴィア・コールマン(ミュージカル/コメディー部門)が輝いた。

助演女優賞は『ビール・ストリートの恋人たち』のレジーナ・キング、助演男優賞は『グリーンブック』のマハーシャラ・アリ。『グリーンブック』は作品賞、助演男優賞、脚本賞の3部門、『ボヘミアン・ラプソディ』は作品賞、主演男優賞の2部門受賞となった。

レディー・ガガが主演女優賞にノミネートされるなど、主要5部門の候補に挙がっていた『アリー/ スター誕生』は、主題歌賞(“Shallow”)を受賞。ガガは同曲を共作したマーク・ロンソンらと共にトロフィーを受け取った。

外国語映画賞はキュアロン監督の『ROMA / ローマ』、アニメーション映画賞は『スパイダーマン:スパイダーバース』。外国語映画賞にノミネートしていた是枝裕和監督の『万引き家族』、アニメーション映画賞にノミネートしていた細田守監督の『未来のミライ』はいずれも受賞を逃した。

■日本でも記録的人気の『ボヘミアン・ラプソディ』。ラミ・マレックは天国のフレディに感謝

QUEENのボーカリストであるフレディ・マーキュリーの生き様を描いた『ボヘミアン・ラプソディ』。同作は日本での興行収入が84億円を突破し、QUEENの母国であるイギリス、動員900万人を超えた韓国を抜いて、日本が世界ナンバーワンの興行収入を記録している。

主演男優賞に輝いたラミ・マレックは「ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、クイーンは、私たちに、世界に、音楽業界に、多様性を受け入れること、ありのままでいることの大切さを教えてくれたことに感謝しています。そして、フレディ、人生で最高の時間をありがとう。あなたのことを心から尊敬しています。あなたは本当に美しく、素晴らしい人です。僕がこの賞を受賞出来たのはあなたのおかげです。この賞をあなたに捧げます」とスピーチで述べた。授賞式には映画の音楽総指揮を務めたブライアン・メイ、ロジャー・テイラーも出席した。

■『グリーンブック』は最多3部門。実在ピアニスト演じたマハーシャラ・アリが助演男優賞に

最多3部門に輝いた『グリーンブック』は、1962年のアメリカを舞台にした作品。人種差別が根強く残る南部でのコンサートツアーを計画する黒人の天才ジャズピアニストのドクター・シャーリーが、用心棒兼運転手として雇ったイタリア系のトニー・リップと共に、当時の黒人が安全に旅をするために欠かせないガイドブック「グリーンブック」をたよりに旅立つというあらすじだ。

ピアニストのシャーリー役を演じ、助演男優賞に輝いたマハーシャラ・アリは受賞スピーチで「ドクター・シャーリーは素晴らしい方です。彼の情熱、才能、尊厳が彼を築き上げ、それが僕を後押ししてくれたことに感謝いたします」と自身が演じたミュージシャンのドン・シャーリーへの想いを明かし、監督のピーター・ファレリーや、相棒のトニー役を演じたヴィゴ・モーテンセンへの感謝を述べた。

・マハーシャラ・アリの受賞スピーチ
皆さん、ありがとうございます。グリーンブックの仲間にも感謝申し上げます。 ご存じのとおり、ドクター・シャーリーは素晴らしい方です。彼の情熱、才能、尊厳が彼を築き上げ、それが僕を後押ししてくれたことに感謝いたします。 ピーター・ファレリー監督、このような機会をくれてありがとうございます。一緒に仕事ができて心から感謝申し上げます。
あなたは、本当に辛抱強いですよね、というのも、僕とヴィゴ双方から深夜2時とかにメールが飛び交っても受け入れ、僕たちを導いてくれた。ヴィゴ、君も最高の共演者だよ、僕を毎日励ましてくれた。一日も休まずにね。そう、撮休ですら。本当に感謝するよ。大好きだ。
リンダ、少ししか過ごすことができなかったけど、あなたと仕事ができたことは素晴らしい経験だ。あなたはまさに本作の核、本当に美しい人だ。ユニバーサル、ジョナサン・キング、パーティシエント、ジム・ブリューク、ニック・バレロンガ、ブライアン・キャリー、みんなありがとう。ここにいれて最高だ。最後に、僕の妻、母、祖母にありがとう。

■主演女優賞のグレン・クローズ「私達女性は夢を追いかけるべきです」

レディー・ガガらを抑えて主演女優賞のトロフィーを手にしたグレン・クローズ。

1月26日から日本公開される『天才作家の妻 -40年目の真実-』(原題『The Wife』)は、世界的作家の夫と、彼を慎ましく支えきた妻の関係が、夫の『ノーベル賞』受賞をきっかけに揺らぎ、静かに壊れ始めるというあらすじだ。

夫への愛と憎しみの狭間に引き裂かれる妻を演じたグレン・クローズは、「The Wife」という原題にちなみ、「女性は子供を産み、良い伴侶を得ることを期待されるけれども、私達女性は、自分たちで満足できる人生を見つける必要がある。夢を追いかけるべきです。私達には、それが出来ると言うべきです」と感情を込めて力強いスピーチを行なった。

・グレン・クローズの受賞スピーチ
ハリウッド外国人映画記者協会の皆さん、本当にありがとうございます。 この作品を造り上げるのに、14年かかりました。「The Wife」(妻)というタイトルだから、そんなにかかったんだと思うわ(笑)。 私の母のことを思っています。母は父のために、彼女の人生の総てを捧げていました。母は80歳の時に私に「私は何も達成していない気がするの」と言ったわ。 でもそれは間違っている。女性は子供を産み、良い伴侶を得ることを期待されるけれども、私達女性は、自分たちで満足できる人生を見つける必要がある。夢を追いかけるべきです。私達には、それが出来ると言うべきです。

■『女王陛下のお気に入り』のオリヴィア・コールマンも主演女優賞。クリスチャン・ベールは『バイス』で主演男優賞

ミュージカル/コメディー部門の主演女優賞に輝いたオリヴィア・コールマンは、18世紀初頭のイングランドで王位に就いている病身で気まぐれな女王を演じた。ヨルゴス・ランティモス監督の『女王陛下のお気に入り』は、『ゴールデングローブ賞』で4部門5ノミネートを果たしていたほか、昨年の『ヴェネチア国際映画祭』で銀獅子賞、女優賞のダブル受賞。今回の『ゴールデングローブ賞』を含め、これまでに73受賞、219ノミネートと高い評価を獲得している。

『バイス』でミュージカル/コメディー部門の主演男優賞を受賞したクリスチャン・ベールは、権力を手にアメリカで成り上がったディック・チェイニー副大統領の20代から70代までを演じるにあたり、体重を約20キロ増減し、髪を剃って眉毛を脱色するなどの役作りを行なったという。

授賞式のスピーチでは「カリスマ性に乏しく、みんなが非難するような人物を探していた彼が、『ベールにしよう』と言ったんです。この役のインスピレーションは悪魔に授けてもらったんだ、ありがとう」と監督のアダム・マッケイに感謝を述べた。

・クリスチャン・ベールの受賞スピーチ
私の美しい妻と子供たちに感謝します。
ありがとう、アダム。カリスマ性に乏しく、みんなが非難するような人物を探していた彼が、「ベールにしよう」と言ったんです。
この役のインスピレーションは悪魔に授けてもらったんだ、ありがとう。
この場にいる皆さんの作品はどれも素晴らしく、本当に映画を愛している。
エイミー、スティーヴ、サム、キャストのみんな、ありがとう。
そしてグレッグ・キャノンとクリス・ガラハ、彼らの素晴らしいメイクがなければこの場にはいなかったでしょう。この賞をスタッフ全員と共有します。本当にありがとう。

レジーナ・キングが助演女優賞を受賞した『ビール・ストリートの恋人たち』は、『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督の新作。1970年代のアメリカ・ニューヨークのハーレムを舞台に、幼い頃から共に育ち、強い絆で結ばれた19歳のティッシュと22歳のファニーの愛と信念を描く。

・レジーナ・キングのコメント
バリー・ジェンキンス、心から愛しています。 この素晴らしい物語を伝えてくれて、本当にありがとう。 本作のことを本当に誇りに思っています。

『第76回ゴールデングローブ賞』映画部門の受賞結果は下記の通り。

『第76回ゴールデングローブ賞』映画部門受賞結果
作品賞(ドラマ部門)
『ボヘミアン・ラプソディ』

作品賞(ミュージカル/コメディー部門)
『グリーンブック』

監督賞
アルフォンソ・キュアロン(『ROMA / ローマ』)

主演女優賞(ドラマ部門)
グレン・クローズ(『天才作家の妻 -40年目の真実-』)

主演男優賞(ドラマ部門)
ラミ・マレック(『ボヘミアン・ラプソディ』)

主演女優賞(ミュージカル/コメディー部門)
オリヴィア・コールマン(『女王陛下のお気に入り』)

主演男優賞(ミュージカル/コメディー部門)
クリスチャン・ベール(『バイス』)

助演女優賞
レジーナ・キング(『ビール・ストリートの恋人たち』)

助演男優賞
マハーシャラ・アリ(『グリーンブック』)

脚本賞
ピーター・ファレリー、ニック・バレロンガ、ブライアン・カーリー(『グリーンブック』)

アニメーション映画賞
『スパイダーマン:スパイダーバース』

外国語映画賞
『ROMA / ローマ』

作曲賞
『ファースト・マン』

主題歌賞
“Shallow”(『アリー/ スター誕生』)
    ニュース設定