ウクライナ発のムーングースは、過去に伊藤忠とも取引があった1946年創業の工場「The First Kiev Down Products Factory」が2017年に立ち上げたダウンブランドで、2018年の秋冬シーズンに5型から展開を開始。フィルパワー700で高品質のホワイトグースを使用しており、岩城取締役はブランドの強みについて「一貫した生産体制と素材の良さ。市場にはアウトドアから派生したダウンが多い中、ファクトリー発のファッションアイテムとして打ち出す新鮮さも兼ね備えている」と話している。松井代表は「モードなダウンブランドとして展開していきたい。ピンクやパープルなど独自のカラーリングも魅力の1つ」とし、バイヤー向けに行った展示会では大手のセレクトショップをはじめ好評だったことから手応えを得たという。
2019年秋冬コレクションでは、ショート丈のジャケットやロングコートなどウィメンズ11型、メンズ6型を用意。ダウン(90%)と、形を維持するためのフェザー(10%)を使用しており、ユニセックスで着られるコートはマイナス40℃でも耐えられる。また「月まで届くくらい軽い」という思いを込めたブランド名の通り、アイテム平均で約400gと軽さを追求。デザイン面では、これまで表側にブランドロゴなどを施していなかったが、ワンオーのアドバイスにより2019年秋冬コレクションから左腕部分に鵞鳥の足モチーフのワッペンを配した。価格帯は4万9,000円〜13万5,000円と、市場の中から高価格帯に位置する。
プロモーション施策として、9月上旬からスタートする店頭販売のタイミングでポップアップショップを出店する予定。将来的に、タイや韓国にも提携先を持つワンオーの強みを活かして、アジア市場における独占輸入販売権の取得も視野に入れる。
ワンオーはこれまで松井代表の意向もあって、PRの側面から新進デザイナーを支えることに注力してきたが、ブランドのインキュベーションをさらに強化するために商業施設の開発などのディレクションに携わる事業部「ブルーペッパー」をはじめとした新規事業に力を入れている。「ブランドに対してPRとしてできることと言えば、ブランドから貰ったネタを膨らませることくらいだった。でもバイヤーやプレスだけではなく、ディベロッパーや経営者とも繋がることで、さらに良い提案ができるようになるはず」と松井代表。実際にPRを担当している「アキコアオキ(AKIKOAOKI)」を大手企業と引き合わせたり、海外営業の相談に乗ったりと、事業拡大によって得られた知見や人脈を活かしてブランドのインキュベーションに繋げていて、卸事業についても同様の思いがあるという。