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【映画コラム】シリーズを見続けてきた者にはたまらない『クリード 炎の宿敵』

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2019年01月12日 18:01  エンタメOVO

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エンタメOVO

写真(C)2018 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
(C)2018 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

 前作『クリード チャンプを継ぐ男』(15)で新章に突入した『ロッキー』シリーズの最新作『クリード 炎の宿敵』が公開された。




 前作でのアポロの息子アドニス・クリード(マイケル・B・ジョーダン)の登場に続いて、今回は『ロッキー4/炎の友情』(85)のロシア人ボクサー、イワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)と息子のビクター(フロリアン・ムンテアヌ)が現れ、親子2代にわたる、息子同士の宿命の戦いが描かれる。

 と、ここで『ロッキー』シリーズの流れを振り返ってみよう。三流ボクサーのロッキー・バルボア(シルベスター・スタローン)が無敵の世界チャンピオン、アポロ・クリード(カール・ウェザース)に挑む姿を描いた『ロッキー』(76)は、アメリカ建国200年の年に公開され、大ヒットを記録。当時、売れない俳優だった若きスタローンの出世作ともなり、「やったらやれる」「諦めるな」というアメリカンドリームの象徴とされた。

 以後シリーズ化され、『ロッキー2』(79)ではアポロを破り、ロッキーは世界チャンピオンになる。だが、『ロッキー4/炎の友情』では、ライバルから親友となったアポロを死なせ、モスクワに遠征したロッキーは、レーガン政権下の“力による平和”を主張するアメリカの象徴へと変化した。スターとなったスタローン自身も、『ランボー』シリーズの影響もあり、筋骨隆々の肉体を誇示。共演したブリジット・ニールセンと再婚した。

 そんな元気だったロッキーも、『ロッキー・ザ・ファイナル』(06)では愛妻エイドリアン(タリア・シャイア)を亡くし、息子にも離反され孤独に陥る。そして前作では、孤独と老いに加えて病まで得た。その間、スタローン自身も浮き沈みの激しい俳優人生を送ったが、前作では脇役としてなかなかいい味を出した。

 つまり、ロッキーというキャラクターの変容は、スタローン自身はもとより、ひいては人間の一生、アメリカという国の現代史とも重なるところがある。だからこそ人々はロッキーというキャラクターに共感を覚えるのだ。

 さて、話を本作に戻すと、前作に続いてプロデューサー兼トレーナー役で助演するスタローンのカードの切り方は、もはや何でもありの様相を呈している。今回は、ドラゴ親子もさることながら、彼らを捨てた女性役で、何と元妻のニールセンまでもが出てきたのには驚いた。

 監督は前作のライアン・クーグラーに代わって、新人のスティーブン・ケイプル・Jr.が起用されたが、ボクシングを通した家族の話として、あるいは見る側が望む通りに展開する予定調和の話として、達者な演出を披露する。

 また、ラングレンが「この映画の主要なテーマの一つは時間の経過だ。スタローンの人生とロッキーの人生、私の人生とイワンの人生には通じるものがある」と語るように、最初の『ロッキー』から40数年、『ロッキー4〜』からも30数年、という時の流れが、見る側にとっても、この映画を感慨深いものにしている。

 例えば、アドニスが一度ロッキーから離反するシーンは、かつての老トレーナー、ミッキー(バージェス・メレディス)とロッキーのそれと重なるし、前作にも増してビル・コンティ作曲のオリジナルの音楽が流れることも、涙腺を刺激する。

 今回も、練習や試合の場面も含めて、「やったらやれる」「諦めるな」「何度倒されても立ち上がれ」という熱き“ロッキー魂”が、前作にも増してアドニスへ継承されているところがうれしい。ジョーダンとムンテアヌが体現したリアルなファイトシーンにも拍手を送りたい。(田中雄二)

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