米津玄師、Suchmos、木村拓哉……アーティストたちが「微博(Weibo)」に参入している狙いとは?

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2019年01月23日 07:01  リアルサウンド

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 今や、アーティストたちのプロモーションに欠かせない存在となったSNS。TwitterやInstagramはもちろん、LINE、YouTubeと様々なSNSが活用されている。その中の一つとして、昨今多くの日本人アーティストが利用するようになったのが、中国最大のSNS「微博(Weibo)」だ。


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 「微博(Weibo)」は、“中国版Twitter”とも言われている中国最大のSNS。多くの中国人が様々な方法で活用しており、マーケティングツールの一つとして地位を確立している。公式HPによると、個人アカウント数は7.2億人、公式アカウント数は291万件、企業公式アカウント数は137万件、日本企業公式アカウント数は2556件。全ユーザー数3億3500万人、日本国内のアクティブユーザー数4500万人であるTwitterよりも、圧倒的に多くの人々・企業が利用していることが分かる。


 中国は口コミ大国と言われているのをご存知だろうか。昨今急速にインターネットが普及した中国では、モバイル端末で情報を収取したり、SNSを使ってコミュニケーションを取って情報を得ることが非常に多い。つまり、急成長を遂げ50兆円と言われている中国のエンタメ市場にアプローチしていくことを考えると、「微博(Weibo)」の活用は欠かせないのである。実際、多くの日本人アーティストが「微博(Weibo)」を利用している。例えば、米津玄師、Suchmos、木村拓哉、SEKAI NO OWARI、きゃりーぱみゅぱみゅ、渡辺直美……。昨年、初の日本人アーティストとして、中国最大のポップミュージックアワード『The 25th CHINESE TOP10 MUSIC AWARD』のライブイベントに招聘出演した倉木麻衣もその一人だ。


 では、なぜ日本人アーティストが中国を次なる舞台としてとらえているのだろうか。2017年の日本国内音楽ソフト総生産を見ると、前年比95%と減少傾向。純粋な音源というプロダクトは国内需要が減少しているのである。かつて、エイベックスは「単なるレコード会社ではなく、総合エンタテインメント企業へ」と銘打ち、V字回復を遂げたことがあった。つまり、現在の日本国内で収益を挙げていくためにはコンサートやマーチャンダイジングなどを積極的に行なっていかなければならないのである。とはいえ、内需に頼るのにも限界がある。そこで、急成長を遂げている中国市場へ目を向けるアーティストが多いのではないかと考えられる。


 例えば、現在日本でも人気の米津玄師。大ヒットしたシングル『Lemon』は海外iTunesでもリリースされており、台湾と香港ではiTunes総合チャートで1位を獲得。シングルCDも発売された。昨年12月26日には「微博(Weibo)」のアカウントを開設し、すでに約30万人のフォロワーがいるほど人気を博しており、2019年3月19日には上海で初の海外公演も決定した。YouTubeでも海外からのコメントが増加しており、着実に活躍の場を広げていっていると言えよう。


 そんな米津玄師より一足先に中国市場に参入したのは、Suchmos。昨年9月15日、16日に上海で開催された音楽フェス『Concrete & Grass 2018』に出演、同時に「微博(Weibo)」のアカウントも開設した。Suchmosのマネージャー金子悟氏が「海外に向けた準備も進めたいと思っています」(参照)と語っていたことがあったが、今後も対中国向けのプロモーションが増えていくのかもしれない。


 さらに、昨年12月22日は木村拓哉も「微博(Weibo)」アカウントを開設。そもそもジャニーズはSNS禁止というルールがあったことから、ファンのみならず多くの人々を驚かせた。昨今、枠にとらわれない幅広い活動を見せる木村は、昨年12月1日台湾で開催された『ASIA FASHION AWARD 2018 in TAIPEI』にもアンバサダーとして出席し、続けて『JUDGE EYES:死神の遺言』発売記念イベントにも参加している。もともと、SMAP時代に北京でコンサートをしていたこともあり、中国でも人気が高い木村。「微博(Weibo)」の更新頻度も高く、中国語と共に写真も多々アップしている。この動きを見ると、今後中国での活動も急速に増えていくかもしれない。


 エンタメ業界にとって、無視できない存在となった中国市場。進出の第一歩的存在の「微博(Weibo)」には、今後も人気の日本人アーティスト、俳優、タレントなどがアカウントを開設していくのだろう。国内の人気SNSと併せて、「微博(Weibo)」のチェックも欠かせなくなりそうである。(高橋梓)


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