深川麻衣、『まんぷく』に“あっさり”と登場 実力派俳優陣の中に溶け込むフレキシブルな存在感

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2019年01月23日 07:12  リアルサウンド

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 回を重ねるごとに賑やかさを増しているNHKの連続テレビ小説『まんぷく』で、あまりにも“あっさり”と登場を果たした深川麻衣。今か今かと彼女の登場を待ちわびていた私たちの中には、思わず肩透かしを食らった方もいるのではないだろうか。かといって、取るに足らぬ役どころなどというのではもちろんない。彼女のその存在、立ち居振る舞いが、あまりに自然なのである。


 深川の朝ドラへの出演は、この『まんぷく』が初めて。2016年に古巣であった乃木坂46から飛び立ち、以来、女優として着実に歩を進めつつある。そんな彼女なだけに、本作への登場のタイミングを誰もが心待ちにしていたことと思うが、初登場シーンでも派手に扱われることはなく、気がつけばあっさりと物語に溶け込んでいるのだ。


参考:深川麻衣が振り返る、初主演映画での経験と思いの変化


 深川が演じているのは、本作ヒロイン・福子(安藤サクラ)の姉夫婦である、克子(松下奈緒)と忠彦(要潤)の4人の子どもたちの次女・香田吉乃だ。積極的で溌剌とした性格の姉・タカ(岸井ゆきの)とは異なり、吉乃はおっとりとしたマイペース派。たおやかなその佇まいは、賑やかな『まんぷく』に“しっとり”と馴染んでいる。


 彼女がどんなはたらきを見せるのか期待していた者として、どこか物足りなさを感じてしまうことは否めないが、深川は本作に対して後からの合流組である。物語も後半戦に突入し、福子を演じる安藤や長谷川博己、さらには松坂慶子らが積み上げてきた時間と世界観は大きく、深く、強固なものだろう。そこに深川は、淡々と、かつフレキシブルな演技で、見事に溶け込んできたのだ。クラシカルな装いもとても良く似合い、いまやすっかり、『まんぷく』の日常の一員である。また『まんぷく』公式ホームページの吉乃の紹介欄には、「元たちばな塩業のあるメンバーとふとしたきっかけで出会い、複雑な恋模様が…!?」と記されている。待望の“塩軍団”再登場も楽しみだが、そのお相手とは誰なのか。心待ちにしていたいところだ。


 さて、既婚者である姉のタカに対し、どこか姑めいた言葉も投げかける吉乃。性格が対照的なように、物事に対する価値観もどうやら違うようだ。タカを演じる岸井ゆきのと深川は、この春に公開される『愛がなんだ』でも共演。岸井が主人公を演じ、深川がその友人役に扮している。タイトルにある通り、本作は「愛」に関する物語であり、2人がそれぞれ展開させる、恋愛論・恋愛哲学のぶつけ合いは必見だ。


 また、この『愛がなんだ』を手がけた今泉力哉監督といえば、深川が映画初出演にして主演を務めた『パンとバスと2度目のハツコイ』(2018)の監督でもある。“そこに立っているだけで絵になる”彼女のフォトジェニーとしての魅力を捉えながら、女優として追い込まれていく瞬間も見て取れる作品であり、深川は第10回TAMA映画賞最優秀新進女優賞にも輝いた。同じ作り手からの続けての起用は、彼女の女優としての頼もしさを物語るものでもあるだろう。さらに今後は、豪華キャスト陣が一堂に会する『空母いぶき』の公開も控えている。徐々に彼女が切り拓いていく女優の道を、ともにたどっていきたいものである。


 そして、深川が地上波連続ドラマで初主演を務める『日本ボロ宿紀行』(テレビ東京)が、まもなく放送開始。こちらでの彼女は、売れない歌手のマネージャーに扮し、2人で地方巡業に繰り出し、各地の“ボロ宿”をめぐっていくのだという。相手役の歌手を演じるのはバイプレーヤー・高橋和也であり、まさに二人三脚での奮闘を見せてくれそうだ。そして本作での彼女の奮闘は、今後の『まんぷく』での活躍にも必ずや反映されるであろうから、あわせて楽しみたいところである。


(折田侑駿)


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