B’z、トップランナーであり続ける理由 サマソニヘッドライナー、サポートメンバー一新などから考察

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2019年02月16日 08:01  リアルサウンド

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 2019年の『SUMMER SONIC』のヘッドライナーとして、Red Hot Chili PeppersとThe Chainsmokersとともに、B’zの出演が決定。日本人がヘッドライナーを務めるのは、今年20周年を迎える『SUMMER SONIC』の歴史において初の出来事であり、非常に大きな反響を呼んだ。


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 B’zは2017年に『ROCK IN JAPAN FESTIVALと『RISING SUN ROCK FESTIVAL』に出演し、いわゆる「邦ロック」の野外フェスに初めて登場したが、『SUMMER SONIC』には2007年と2009年に出演し、2013年にはAerosmithをメインアクトに据えた『AEROSONIC』にも出演するなど縁が深く、その歴史も踏まえた上でのヘッドライナー抜擢だと考えられる。


 それにしても、近年のB’zの活動は非常に意欲的だ。2017年は夏フェスへの出演を経て、11月に20枚目のオリジナルアルバム『DINOSAUR』を発表すると、12月から『B’z LIVE-GYM 2017-2018“LIVE DINOSAUR”』がスタート。12月28日に出演した『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2017』において、稲葉浩志(Vo)の喉の不調によりライブが中断・短縮となるアクシデントがあったものの、ツアーは続行。そのままデビュー30周年イヤーとなる2018年に突入し、8会場18公演を完遂した。


 ツアーファイナルとなった2月4日の京セラドーム大阪では、『B’z LIVE-GYM Pleasure 2018 -HINOTORI-』の開催を発表。「Pleasure」とは近年5年に一度のペースで行われているベスト選曲のツアーであり、7月から9月まで12会場23公演を実施。さすがにここで一休みかと思いきや、9月22日のツアーファイナル後すぐにオフィシャルサイトで2019年のアルバムリリースとツアーが告知され、ファンを大いに驚かせた。すでに6月8日の鹿児島アリーナから、9月10日のマリンメッセ福岡まで、16会場36公演が発表されていて、『SUMMER SONIC』はツアーの後半、脂の乗った状態での登場となる。


 そして、ファンにとってはツアーの告知以上に驚きの発表となったのが、サポートメンバーの一新である。キーボードの増田隆宣、ベースのバリー・スパークス、ドラムのシェーン・ガラース、ギターの大賀好修はそれぞれB’zとの長い活動歴を誇り、2011年以降はこの4人で鉄壁の布陣を築き上げていただけに、大きな決断だったと言って間違いない。


 もちろん、B’zのオリジナルメンバーは松本孝弘と稲葉浩志の2人であって、これまでも幾度となくサポートメンバーの交代が行われてきた(ちなみに、今年の『SUMMER SONIC』の別日でヘッドライナーを務めるRed Hot Chili Peppersのドラマー、チャド・スミスがレコーディングで叩いたことも)。デビュー30周年という区切りを迎えたことに加え、『DINOSAUR』以降に発表した新曲「マジェスティック」や「WOLF」には、ベースで亀田誠治、ドラムで玉田豊夢と、これまでと違うプレイヤーが参加していたこともあり、今にして思えば予兆もあったと言えるが、やはり驚きは相当なものだった。


 ただ、これまでのメンバーとしばしの別れとなることに寂しさを覚えつつも、新たなラインナップは興奮を禁じ得ないものだった。まず注目が今回唯一の日本人となるギターのYukihide“YT”Takiyama。B’zはサポートメンバー同様に、アレンジャーも時期ごとに変えてきたが、YTは『DINOSAUR』からメインアレンジャーとして加わり、数曲でコーラスにも参加するなどしていただけに、納得の人選だと言える。また、YTは2016年の『LAST GIGS』で活動を終了した氷室京介の片腕だった人物であり、B’zへの参加も氷室が松本に彼を紹介したことがきっかけ。これは日本のロック史における重要なリレーだと言えよう。


 ドラムのブライアン・ティッシーは過去にもB’zのレコーディングに参加経験があり、松本孝弘のTMGにも参加するなど、ファンの中では知られた人物。それ以外の経歴を見ても、Whitesnake、オジー・オズボーン、Slash’s Snakepit、スティーヴィー・サラスなど、B’zにも通じる、あるいは直接関わりのあるアーティストと仕事をしてきていて、こちらも納得の人選だ。


 一方、20代の若手アーティストの抜擢は意外性があった。キーボードのサム・ポマンティは、稲葉とスティーヴィー・サラスのユニットINABA / SALASの『CHUBBY GROOVE』に参加していたキーボーディストであるルー・ポマンティの息子。『DINOSAUR』にもコーラスで参加と、すでに接点はあったものの、過去のサポートメンバーの中でもとりわけ長い間ツアーに貢献してきた増田隆宣の後任として、どんな役割を果たすか見ものである。


 さらに驚かされたのが、インド人の女性ベーシスト、モヒニ・デイの参加だ。5弦ベースを用い、タッピングやスラップを駆使したテクニカルなプレイを持ち味として、ジャコ・パストリアスをカバーした動画などが話題となった彼女の参加は、大きなインパクトを与えるはず。B’zとの接点に関しては、交流のあるスティーヴ・ヴァイが彼女の動画を見て、自身の作品やライブに招いているので、そのあたりの繋がりと考えられる。バークリー音大のアレンジ&オーケストレーション科出身であるYTとの相性も考えて、ジャズやフュージョンの素養を持つ彼女の起用に繋がったという部分もあるかもれしれない。


 新たなサポートメンバーと、『SUMMER SONIC』での日本人初のヘッドライナー。B’zの31年目は、またしても大きなチャレンジの年となりそうだ。2人が常々口にしているのは、「僕らはCDを作り、ライブをするだけ」ということだが、それは決して「同じことを繰り返す」というわけではない。音源の形はCDからデータへと変わり、フェスの存在が大きくなるなど、時代は常に移り変わっていく。そんな中にあって、B’zはチャレンジ精神を持って変わり続け、常に新鮮な気持ちで楽曲制作やライブと向き合ってきたからこそ、今も変わることなくトップランナーとして走り続けることができているのだ。ラグビー日本代表の応援ソングでもある新曲「兵、走る」の〈ゴールはここじゃない まだ終わりじゃない〉〈追いつきたいなら 今はトライ〉という歌詞は、B’zの精神性の表れでもある。(金子厚武)


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