『3年A組』澪奈の死にまつわる真相が徐々に明らかに 菅田将暉が生徒たちに説く“将来の選び方”

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2019年02月18日 11:41  リアルサウンド

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 澪奈(上白石萌歌)を死に追いやったフェイク動画を半グレ集団ベルムズに依頼した犯人として、柊(菅田将暉)が名指ししたのはテレビ番組でも活躍する人気者の武智(田辺誠一)だった。たちまちSNSやテレビではその話題が取り沙汰される中、濡れ衣だと主張しつづける武智に柊は「すべての罪を自白してください」と要求。タイムリミットである20時に間に合わなければ「もっとも大切にしているものを奪う」と宣告するのだ。


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 澪奈の死にまつわる真相が、徐々に明らかになり始めてきた『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)。フェイク動画の投稿者、撮影者、加工した人物、そして依頼した人物。それらが順を追って解き明かされていく中で、柊とA組の29名の生徒たちとの関係性も変化してきた。そして2月17日に放送された第7話では、「柊vs武智」という図式の中で、生徒はこの物語上で初めて矢面に立たされることはなく、しかしながら、その分彼ら自身の中にある様々な、より現実的な葛藤と向き合うことを余儀なくされたのだ。


 それは武智の口利き(大学関係者と内通し、大学の知名度を上げるような選手を推薦入学させる代わりに多額の金銭を受け取るという取引があったことが明らかになるわけだが)によって大学へのスポーツ推薦を得た瀬尾(望月歩)と魚住(富田望生)が、武智の事件への関与によって自分の将来が宙に浮いてしまうという不安に他ならない。武智の推薦によって過去に大学に入学した生徒の大半が1年足らずで退学していたということを知らされても「力がなきゃ生き残れないことぐらいわかってる」と強い覚悟を見せる瀬尾だが、柊からの「ゴールはどこだ?」という質問にはきっぱりとこう答える。「知らねえよ。目の前のことにいっぱいいっぱいで考えたこともない」。


 現代の社会のシステムとして、大学に入るために高校時代があり、就職するために大学に行くというきらいがある。けれど知識も経験も浅い高校時代に将来をどことなく見据えることができても、その先の先まで決定させることは決して簡単なことではない。瀬尾という生徒の姿にフィーチャーした今回のエピソードには、将来の目標を叶えるというゴールを持つ生徒でも、その手前にある大学入学がひとつのゴールのように掲げられてしまうシステムへの問題提起が込められているのだろう。


 それと同時に、より深く将来を見据えること、つまりは“選択肢”を信じることを提示しているようにも思える。大学に入ってつぶれてしまう生徒を「自己責任」という便利な言葉で片付ける武智に対し、柊が全身全霊を込めて語る「三歩先しか見えていない彼らに、長いレールを敷いてやる」ことが教師のすべきことだという言葉。長いレールとは闇雲に続く決められた一本のレールではなく、どこまでも続けることができる“選択肢”という複数のレールのことであり、生徒自身が選べる将来の可能性のことだ。それは必然的に、先週の柊の“教え”である「上辺だけで物事を見るな」とう言葉にも結びついているのかもしれない。(久保田和馬)


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