楠田亜衣奈は“ポジティブな空間”を創りだす天才 バースデーライブでファンに届けた幸せの魔法

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2019年02月19日 08:01  リアルサウンド

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 楠田亜衣奈が2月2日、ヒューリックホール東京にて『楠田亜衣奈さんくっすんBIRTHDAY 2019 〜The Little Witch〜 』を開催した。


参考:楠田亜衣奈は“最高の今”を更新していく 初のアコースティック編成で臨んだ3周年記念ライブ


 イベント前日の2月1日に誕生日を迎えた楠田。毎年恒例となったバースデーイベントも、今年で4回目に。昨年の『さんくっすんBIRTHDAY 2018 〜COLOR PALETTE SHOW〜』では、くっすん姫に扮した楠田が“カラフル王国”を舞台に、モノクロの世界で失われた“色”を取り戻していくものだった。今回のステージも昨年に引き続き、ライブと劇を組み合わせたエンターテインメントショーとして成立しており、楠田のパフォーマンスには、彼女が“ポジティブな空間”を創りだす天才だと改めて実感させられた。昼夜二部構成となった同公演より、本稿では夜の部の模様を振り返りたい。


 今回のライブでは、魔法の森の奥深くを舞台に、見習い魔法使いのくっすんが一人前の魔女になるための認定試験に挑戦。魔法使いとして一人立ちするためには、様々な試練を乗り越え、7つのマジックハートストーンを集めることが必要だという。楠田は各試練のたびに、魔法の呪文として彼女の楽曲タイトルを詠唱。その時々のシチュエーションにマッチした楽曲を披露していった。なお、時折に挟まれる昔話テイストの映像ナレーションは、楠田と親交の深い南條愛乃が務めたことも記しておきたい。


 前述の設定紹介をするナレーションが終わると、楠田がステージに登場して「ハッピーシンキング!」を披露。曲中で披露される軽快なステップがとても心地よい。パフォーマンスを終えると、さっそく7つの試練を迎えることに。認定試験を前に、「緊張するなぁ、緊張しすぎてお腹痛いよう……」と不安げな様子だ。そんな彼女をサポートすべく、客席のくっすんサポーター(以下:くすサポ)は、森の妖精を務めた。楠田は手始めに、彼らに対して「森の妖精さんたち〜!」と呼びかけるも、そのレスポンスに「声が小さいな」と冗談交じりに一言。彼らの和やかな関係性は、どうやらこの日も健在なようだ。


 最初に迎えたのは「技の試練」。「油アルバムプレゼント」という難解な呪文を、3回唱えることとなった。安定した滑舌を要求される声優として、間違えられない場面だろう。ここでは見事に呪文詠唱を果たし、マジックハートストーンを獲得。幸先良い滑り出しに大きな喜びを示すも、同時に彼女の装着していたマイクセットが音を立てて切れる。そんなアクシデントを受けた楠田だったが、「マイクが切れたー!」と生声で叫び、客席を笑顔に変える。マイク復旧後は「心の試練」「知の試練」など次々と順調に試練をクリアしていきつつ、「ただいまを歌おう」や「進化系HEROINE」を披露していく。


 そんな彼女が初めてつまづいたのが「恋の試練」だ。この試練は、手元の薬草で恋の魔法薬を精製して、その効力を示すというもの。実際に“恋の魔法薬”を調合した後、くすサポを壇上に上げる。彼から精一杯の告白を受けて成功を確信するも、マジックハートストーンを獲得できず、少し落ち込む様子を見せた。そんな失敗も束の間、「ウェルカム・フューチャー」で、憂鬱な気持ちを吹き飛ばす。続けて「Melty Valentine♡」「magic」など、“恋愛”にまつわるポップナンバーも歌唱したところで、ようやく「恋の試練」を乗り越えた。


 そこからの「和の試練」では、くすサポが7色のサイリウムを用いて優雅なウェーブを生み出し、ステージに彩りを加えた。続く「動の試練」は、「JUMP UP」の曲中でくすサポと一緒にダンス。「和の試練」に続き、客席にこの日一番の一体感を生み出すことで、ラストスパートへの大きな弾みをつけた。


 「アイ・アム」歌唱後、最後に訪れたのは「愛の試練」。ここでは「愛の魔法力を示せ」という、アバウトな内容が要求された。楠田はわずかに頭を抱えながらも、悩んだ末にくすサポにピンク色のサイリウムを点灯してもらうことに。彼女曰く愛に溢れた“ピンクの森”を再現したところで、等身大の愛の歌「アイナンダ!!」を披露した。そこからの「Smileプラス」で、全てのマジックハートストーンを獲得。パフォーマンス後のナレーションでは、彼女が一人前の魔法使いになった後、魔法の力で人々に幸せを届け、世界中を幸せにしたことが語られた。


 一人前の魔法使いになった楠田は、新たな装いでステージに再登場し「まいにち誰かのハッピーデイ♡」「ラブリージーニアス」を歌唱。ここで、くすサポとの“次の約束”が交わされることに。今年6月に『さんくっすん祭り』開催、今夏に5thフルアルバム発売、さらには同作を携えた東名阪ツアーが行なわれることが一挙に明かされた。


 今後の活動への期待に胸の高鳴りも止まないなか、この日のラストナンバーとして「POWER FOR LIFE」が届けられる。同楽曲は、ベーシストとしても活動する山田高弘が作編曲を担当。楽曲全体を通して、日々の生活への背中を押すような、躍動感あるベースラインが敷き詰められている。そんな「POWER FOR LIFE」を楽しそうに歌う楠田を見て、彼女がベースラインで表現された幸せの階段を、何段飛ばしにも駆け上がる様子がふと頭をよぎった。楠田の音楽活動が今まさに“充実の季節”を迎えていることは、その時の笑顔を見れば誰もが納得するに違いない。


 終演前には「30代、負けずに頑張っていくよ!」と力強く語ってくれた楠田。次なるフルアルバムも、“ポジティブパワー”の滾る一枚になることだろう。そんな明るい展望を確信させられたところで、この日のステージに幕が降りた。


 振り返れば、一人前の魔女となった楠田が世界中を幸せにしたように、この日のイベントも、希望に満ちたバイブスが細部にまで行き届いていた印象だ。客席を練り歩く身近な距離感や、時にはアクシデントさえ大きな笑いに昇華していた場面は、その象徴といえる。そんな“ポジティブ請負人”の楠田と再び出会う日まで、毎日を“ハッピーシンキング”に過ごしていきたい。(青木皓太)


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