オスカー受賞ラミ・マレック、自身のルーツに触れた感動的なスピーチが共感呼ぶ

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2019年02月26日 12:22  Techinsight Japan

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アカデミー賞主演男優賞を獲得したラミ・マレック(画像は『The Academy 2019年2月25日付Instagram「The legacy of Freddie Mercury lives on.」』のスクリーンショット)
米時間24日、ロサンゼルスのドルビー・シアターにて、第91回アカデミー賞授賞式が開催された。移民の子であり、同性愛者であった「クイーン」のボーカリスト、フレディ・マーキュリーの生涯を描いた『ボヘミアン・ラプソディ』で主演男優賞を受賞したラミ・マレックは、自身のルーツと重ね合わせながら感動的なスピーチを披露、トランプ政権下で国内の分裂が深刻化するなかでの温かいメッセージが多くの人々の共感を集めた。

クリスチャン・ベールやブラッドリー・クーパーといった“強敵”を抑え、第91回アカデミー賞主演男優賞を受賞したラミ・マレック(37)。抜群の歌唱力はさることながら、自身の前歯に被せた巨大な義歯からステージ上での過激なパフォーマンスに至るまでフレディ・マーキュリーの“完コピ”ぶりが話題を集めたが、彼の血の滲むような努力が実を結び、晴れてオスカー像を手にした。

壇上で受賞スピーチを披露したラミは「僕はもともとフレディ役の第一候補ではなかったけれど、結果オーライでよかったです」とジョークを披露、続いて制作陣への感謝を述べた。

そして「こんな素晴らしい出来事が待ち受けているかもしれないことを、幼い頃の自分に伝えたとしたら…カーリーヘアの“リトル・ラミ”はビックリしたでしょうね。あの頃のラミは、自分のアイデンティティーに思い悩む少年でしたから」と自身のエピソードを披露した。

ラミは「今、自分自身のアイデンティティーに悩んでいる皆さん、私たちは今回、臆することなく自分らしさをとことん追求し続けた同性愛者、そして移民を主人公にした物語を作りました」と『ボヘミアン・ラプソディ』について言及、同作が世界中で受け入れられ、大きな反響を集めていることについて「それは人々が今、このような物語を渇望しているという証拠です」と力強く語った。

エジプトからの移民である両親のもとに米国で生まれたラミは、受賞後バックステージで行われた会見で「僕にはエジプト生まれの姉がいますが、子どもの頃、僕はそのことを隠さなくてはいけないと感じていました。周りにうまく馴染めず、自分は“よそ者”だと強く思っていたのです。成長するにつれ自分の素晴らしいルーツについて理解を深め、今では自分のルーツに誇りを持っています」と述べている。

また、「自分のような外見の俳優には、主役が回ってくるチャンスなんてないと思っていた」と打ち明けた。しかしフレディ・マーキュリーの本名が「ファルーク・バルサラ(Farrokh Bulsara)」だと知った瞬間、「(この役に)きっと自分も挑戦できるはず」と直感したという。

米国内で起こっている移民政策をめぐる分裂や、移民を犯罪やテロといったネガティブなイメージと直接的に結びつける報道があふれる中で、演じた役柄と自らの境遇を重ねたラミのスピーチは、“アメリカンドリーム”を追いかける多くの人々に勇気を与えたに違いない。

「決して平坦な道のりではなかったけれど、障害は乗り越えられるものなんだ。今、僕はこうしてバックステージに立ち、皆さんとこの受賞を祝福し合っている。それが何よりの証明になるはずだよ。」

ラミはこの会見を「この受賞の喜びは、夢を抱くすべての人達と分かち合いたい」と締めくくっている。

ゴールデングローブ賞に続き、アカデミー賞でも主演男優賞を受賞し、いよいよ名実ともに“Aリストセレブ”の仲間入りを果たしたラミ・マレック。今後どんな俳優へと変化を遂げて行くのか―彼の躍進には、人種や性的指向の垣根を越え、多くの人々から期待が寄せられている。

画像は『The Academy 2019年2月25日付Instagram「The legacy of Freddie Mercury lives on.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 c.emma)
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