『トレース〜科捜研の男〜』錦戸亮の哀しみの涙 事件の鍵を握るのは千原ジュニア&萩原聖人?

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2019年03月12日 06:01  リアルサウンド

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『トレース〜科捜研の男〜』(フジテレビ系)が、3月18日の放送で最終回を迎える。


参考:錦戸亮の涙


 第10話では、真野礼二(錦戸亮)の家族が殺された「武蔵野一家殺人事件」について“個人的に”真相を突き止めたいという虎丸良平(船越英一郎)と、真野に好意を寄せ“信じてくれる人間”として虎丸が彼のそばに近づけた沢口ノンナ(新木優子)が、事件を究明していく。


 今回のストーリーで印象深いのは、真野の一つひとつの表情だ。虎丸から武蔵野一家殺人事件の話題が出ると真野の表情は一気に険しくなる。それはそばに沢口がいたからでもあり、巨大な何者かの圧力により捜査が打ち切りになっている危険な事件に沢口を巻き込みたくないという思いからの表情でもある。後に、沢口の必死な思いと虎丸の後押しもあり、沢口は事件の捜査に協力することになるが、彼女の不意に溢れる嬉しそうな笑みと、安堵する虎丸の微笑みもドラマを彩るワンポイントだ。


 第10話で描かれるテニスプレーヤーの事件は、隠蔽工作を引き金に起こった殺人。これまで扱われてきた事件は、真野の過去の事件と繋がる部分が必ずあった。今回は「隠蔽」。テニスプレーヤーから真相を隠蔽されると焦った虎丸に、「大丈夫です。隠蔽なんて絶対に許しませんよ」とつぶやく真野の顔は俯き虚ろな表情を浮かべている。ここで思い出されるのが第6話で、海塚律子(小雪)から真野に武蔵野一家殺人事件の真相が話された場面。科捜研は出どころの分からない場所から鑑定書の控えやメモ、事件に関する全ての資料を提出する命令が下されていた。そこで、海塚は科捜研の前科長・藤田が捜査資料を記していたノートを真野に差し出す。その時見せた怒りにも似た危うい表情は、第10話に繋がる片鱗でもあったように思える。真野の心の奥底に眠る「復讐心」と言ってもいい。


 そして今回のストーリーで最も心を揺さぶったのが、真野が見せる涙だろう。真野の姉は妊娠したまま殺害されていた。そのことが事件の真相の手がかりとされていたが、真野の両親と姉を殺害した人物は姉のお腹の中にいた子どもの父親ということがDNA鑑定から発覚する。真野はこれまで遺族に事件の真実を伝える際にも涙を見せていたが、武蔵野一家殺人事件で涙を見せたのは初めてだ。話す言葉までも震えるほどに哀しみの感情が溢れだす。『トレース』において、錦戸亮の演技は武蔵野一家殺人事件に関わるシーンでより本領を発揮すると言っても過言ではない。第6話のノートを受け取る場面が「怒り」だとすれば、今回のシーンは「哀しみ」に振り切れた演技だった。


 いよいよ迎える最終話で注目となるのが、「『武蔵野一家殺人事件』の犯人は誰か」という最大の謎だ。事件の打ち切りを命令しているのが警視庁刑事部長の壇浩輝(千原ジュニア)と考えるのが妥当であるが、それとは別に一家を殺した犯人として一人浮かんで来るのが早川尚文(萩原聖人)。河川敷で死体として発見されるホームレス男性・新妻大介の高校時代の担任として早川は第6話より登場し、真野の過去を知る人物として協力していくが、有力な証言はそこまでなく、言ってしまえば本当に安全な人物かも怪しい。最終話の予告では、広い廃墟のような場所で真野と何者かが2人でいるシーンが確認でき、「嘘だ!」と真野が叫ぶシーンが。第9話で「もしお前の大切な人を殺した犯人が見つかったら、復讐したいと思うか?」という虎丸からの問いに真野は何も答えなかった。不穏に垣間見せるその復讐心を真野はどこに解き放つのか。 (文=渡辺彰浩)


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