『グッドワイフ』常盤貴子、“普通の女性”を演じる強み 木村佳乃、米倉涼子ら同世代女優との違い

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2019年03月16日 06:11  リアルサウンド

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 『グッドワイフ』(TBS系)に主演している常盤貴子だが、TBS日曜劇場で主演を務めるのは、19年ぶりとのことだそうである。確かに、近年は単発ドラマの主演か、朝ドラ『まれ』(NHK総合)でヒロインの母親を演じていたという姿が思い浮かぶが、連ドラで見かけることは決して多くなかった。


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 常盤貴子といえば、『愛していると言ってくれ』『ビューティフルライフ』(ともにTBS系)など、タイトルを聞いただけでぱっとその映像の記憶が蘇るような代表作を持ち、今は亡き香港のスター、レスリー・チャンと香港映画 『もういちど逢いたくて -星月童話』に出演するなど、この世代でもトップの女優として活躍してきた。


 現在、常盤に限らず40代の女優たちは、広く活躍している。放送中の『後妻業』(カンテレ・フジテレビ系)では、木村佳乃と木村多江がバチバチにやりあっているし、WOWOWの『連続ドラマW それを愛とまちがえるから』では、稲森いずみが夫婦とは何かを問うストーリーで主演を務めている。


またドラマではないが、昨今は松たか子も、映画『来る』や『マスカレード・ホテル』で強烈な印象を残し、舞台『世界は一人』でも存在感を放っていた。


 現在のクールには出演していないが、『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日系)など人気シリーズを抱える米倉涼子もいれば、中谷美紀や篠原涼子なども連ドラ主演の常連だ。


 吉田羊(年齢非公表)や水野美紀、西田尚美、坂井真紀など、主演もバイプレイヤー的な立場でも活躍する人も入れれば、この世代の女優がバラエティ豊かに活躍していることがわかるだろう。


 こうした世代が活躍しているのは、仕事を主題にしたドラマでも、家庭を主題にしたドラマでも、自身の体験を重ね、リアリティを持って演じられる点にあるのではないだろうか。


 そんな中で、女優たちは、それぞれに独自の色を出さなければならない。昨今で言えば、『後妻業』の木村佳乃と木村多江などは、その色が確立した上でそこからまた新たな色を模索しているところではないだろうか。例えば、木村佳乃はバラエティでも活躍していて、そのからっとした明るさで、悪役なのに憎めないというところを『後妻業』でも発揮している。木村多江は、『あなたには帰る家がある』(TBS系)に代表されるような幸の薄そうな奪う側の女の役が多かったが、『後妻業』では、そのイメージを逆手にとり、今までにはない共感性の高いインテリ女性を演じている。そして、この2人がときに漫才のようにかけあう姿も楽しい。


 米倉涼子は、強い女という記号をためらわずに背負っているし、中谷美紀もコメディエンヌとしての躍進が目覚ましい。


 さて、そんな個性豊かなこの世代の女優たちの中にあって、連ドラへの出演が少なかっただけに、色がなかなか見えづらかったのが常盤貴子だと言ってもいいのかもしれない。


 しかし昨今は、『アンナチュラル』(TBS系)でも言われていたように、「ドジをしてもとにかく頑張る!」という際立ったキャラクター性で目立つヒロインではなく、ごく普通のテンションで、普通に生きている女性像というものが求められるようになっている。


 『グッドワイフ』で常盤が演じる蓮見杏子は、役を説明するときに、キャッチーな言葉で箇条書きができるようなキャラクターではない。だが、全話を通してみると、その性質や輪郭が、見ているものの中でしっかりと残る、そんな人物となっている。


 蓮見杏子はどの方向にもデフォルメされていない。強烈に強い女性でもなく、仕事の上で強引な手をつかってでも勝つ人でもなく、さまざまな出来事にちゃんと感情が揺れ、でも自分自身の倫理的な軸はしっかり持っている。キャラクターが独り歩きしがちな今だけに、そんな地に足の着いた姿を演じられる人は貴重なのではないだろうか。(西森路代)


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