人々を魅了する「水溜りボンド」という実験ーー『Quick Japan』特集に寄せて

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2019年03月17日 08:21  リアルサウンド

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 人気YouTuber、水溜りボンドが表紙を飾った『Quick Japan vol.142』が、大きな話題を呼んでいる。2月23日に発売されるやいなや、すぐに重版がかかり、3月1日には3刷が決定。発売から約1ヶ月が経とうとする現在もなお各社の売り上げランキング上位をキープしている。『Quick Japan』では重版出来に伴い、トークライブ、写真&握手会、コラボステッカーが当たる、スペシャル特典の応募締め切りを3月25日必着に延長。水溜りボンドの勢いを十分に示す結果となった。


(参考:人気YouTuber水溜りボンド、海外に見つかる 「巨大チャーハン」画像がTIMEに掲載


 50ページにも及ぶ特集は、ぜひ実際に手にとって確認していただきたいが、ひとことで言うなら、まさに「水溜りボンドが掴んだ“YouTubeドリーム“」。カンタとトミーにとって、憧れのダウンタウンが表紙を飾ったこともある『Quick Japan』は、いつか出てみたいと思っていた雑誌だ。


 1つの目標としていた雑誌に巻頭特集を組まれること。そして、カンタはUVERworldのTAKUYA∞と、トミーはロンドンブーツ1号2号の田村淳という、それぞれ会いたいと思っていた相手と対談できたこと。また、YouTuberという職種を開拓したHIKAKIN、はじめしゃちょー、SEIKIN、てつや(東海オンエア)、ワタナベマホト、そして鎌田和樹(UUUM社長)や鈴木おさむなど、縁のあるメンバーが自分たちの魅力を語ってくれること。そして、袋とじにはふだんなかなか伝えられない相方への手紙も。2015年1月から1日も休まずに動画投稿をし続けてきた水溜りボンドにとって、そのストイックな日々を称賛する勲章のような1冊だ。


 個人的に筆者が水溜りボンドを知ったのは、メントスコーラが流行していたころ。YouTube上には、多くの人がコーラのボトルにメントスを入れて噴出させる動画を投稿していた。その中で、水溜りボンドはメントスで器を作り、そこにコーラを入れるという動画『逆メントスコーラで大惨事』(https://www.youtube.com/watch?v=cjQKQulFxSk)をアップしていたのだ。他にはない逆転の発想力。予想外の展開を笑いに変える対応力。そして何よりもふたりの無邪気で仲睦まじい姿が好印象で、「他のネタも観たい」と、すぐにチャンネル登録をしたのを覚えている。


 彼らの動画は、いつだって実験的だ。日常で気になっていたことを「やってみた」動画はもちろん、でんじろう先生やその弟子である元気先生を迎えての本格的な科学実験動画然り、都市伝説を検証する動画も、「こんなことしたら相方がどんな反応をするのか」というドッキリ動画も、「生き残れるのか」という無人島でのサバイバル動画も……「こう行動すれば、こうなる」そんなわかりきった生活の真逆をいく動画ばかりだ。


 そもそも毎日投稿という試みも、共同生活を送ってほぼ毎日撮って出しをするという生活そのものも、その先が“どうなるかわからない実験の日々“といってもいい。“どうなるかわからない“未知の体験を楽しむということ。それは、誰もが先のわからない人生の楽しみ方そのものにも通じる。ふたりの『人生実験』という長い長い動画を、毎日区切って見ている……時折そんな気分にもなるのは、そのせいだろう。


 だからこそ、水溜りボンドのファンは、今回『Quick Japan』の表紙を飾るという大きな夢を叶えたふたりを誇らしく思うのだ。毎日、彼らの生活を観察し、ひとつの大きなつぼみが花開いたのを見届けたような気持ちになったことだろう。そして、花を咲かせた植物の生命力に惚れ惚れするように、改めてふたりの生きる力の眩しさを感じたのではないか。


 「YouTubeなら多くの人が気軽に笑ってもらえるのでは」と思い立って実行した、その行動力を。そうと決めたら決して途中で投げ出さない、有言実行の継続力を。そして、お互いに個性が違うからこそリスペクトし合う、唯一無二の信頼関係を。人生はどうなるか“わからない“を仲間と共に楽しみ続ける、擦れることのないピュアさを。


 水溜りボンドのチャンネル登録者数は、380万人を突破した。今日も毎日投稿という名の検証は続いている。全力で生きるふたりが人生をかけて見せてくれるエンターテインメント。水溜りボンドというYouTuberが、どんな存在になっていくのかという実験動画が、これからも更新されていくのを楽しみにしている。


(佐藤結衣)


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