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樹木希林さん、「夫には遺産遺さない」報道……彼女の「一筋縄ではいかない愛し方」を考える

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2019年03月29日 00:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

写真『一切なりゆき 樹木希林のことば』(文藝春秋)
『一切なりゆき 樹木希林のことば』(文藝春秋)

 羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「私が死んでも、夫に遺産は遺さない」樹木希林
「女性セブン」(小学館、3月27日号)

 一組の夫婦がいたとする。妻が夫に暴力を振るい、別居。そこで別の男性と交際するようになる(しかし、生活費は夫にもらっている)。妻が夫に内緒で離婚届を出し、離婚は成立した。しかし、夫は裁判を起こし、離婚は無効であると訴え、勝訴した。

 もしこんな話を聞かされたら、多くの人が「暴力を振るうなんてあり得ない」「生活の面倒を見てもらいながら、不貞を働くのはどういうことか」と妻をなじり、夫に離婚を勧めるだろう。それでも離婚しようとしない夫を「そこまで執着するなんて怖い」と見る人もいるかもしれない。

 しかし、これが男女逆だったらどうだろう。つまり、夫が暴力を振るい稼がずとも妻は生活費を出し、夫が不倫をしようとも妻は離婚しない。すると、なんだか懐の深い女になってしまわないだろうか。これは日本に「支えるオンナ、耐えるオンナは美しい」という価値観がそれだけ深く浸透しているからだろう。

 今、日本で一番「支えるオンナ」として扱われているのは、女優・樹木希林さんではないか。昨年の9月に亡くなった樹木希林さんの名言を集めた『一切なりゆき 樹木希林のことば』(文藝春秋)が売れに売れている。文藝春秋社によると、累計発行部数は100万部となり、平成最後のミリオンセラーとなるようだ。

 20代の頃から老け役をいとわず、第一線で活躍し続けた希林さんだが、気負わず、かといって「老け役なんです」などと自虐することもなく自分を語る希林さんと、恵まれているアピールが反感を買いやすい今の世相がマッチしたのだろうか、「モノを持たない」「求めすぎない」希林さんの生き方に支持が集まっている。成功から生まれる感謝と諦念を同じ量持ち合わせているかのような希林さんの言葉に、私も共感を得る一人だが、希林さんが夫にどれだけ振り回されても、ひたすら無償の愛で支え続けてきたという解釈のされ方には、個人的に腑に落ちないものがある。

 希林さんと、ミュージシャンである夫・内田裕也さんの結婚は、波乱含みだった。結婚してすぐに、内田さんの暴力が始まり、別居。その間、内田さんが女性問題を起こしたり、警察のお世話になったりもしたが、離婚はせずにマスコミに頭を下げ続けた。さらに、内田さんの生活費は希林さんが負担していたという報道もあった。ただ、内田さんがこっそり離婚届を提出したときは、すぐに裁判を起こして、勝訴している。60代になった希林さんが、がんを患い闘病を始めると、1カ月に一度は会い、共にハワイで過ごすような関係に戻ったが、同居することはなかったそうだ。

 晩年、希林さんはバラエティー番組で、はっきり不動産投資の話をするようになる。『ぴったんこカン・カン』(TBS系)では、不動産の出物があると、撮影をほっぽり出しても見に行ってしまったエピソードを暴露されたが、「いつ仕事がなくなるかわからない商売なんだから」と言い返していた。「女性セブン」(小学館)によると、希林さんは都内に8軒もの不動産を所有していたそうだ。物も欲も持つなと話していた希林さんが、不動産を多数所有することは矛盾しているようにも感じるが、内田さんのためと考えると、合点がいくのではないだろうか。

 希林さんが亡くなった後、娘の也哉子さんが荷物の整理をしていたら、結婚1年目に内田さんが希林さんに送ったとみられるラブレターを見つけたそうだ。そこには「祐也(自分)に経済力があれば、もっとトラブルも少なくなるでしょう。俺の夢とギャンブルで高価な代償を払わせていることは、よく自覚しています」とあり、はっきり金欠を認めている。しかし、同時に「メシ、この野郎、てめぇ(という態度を取ることもあるけれど)、でも本当に愛しています」としめくくられているのだ。要約すると、「カネがなくて態度も悪くてごめんね。でも愛してるよ」となるが、希林さんは惚れた弱みで、カネがないなら私が稼ぐとばかりに、仕事や不動産投資に励み、カネを渡したのではないだろうか。

 才能はあるけれど、世渡り下手で損ばかりしている男と、男の才能を信じて耐える妻というのは芸道小説の王道だが、献身妻の与えたものが「カネ」だと考えると、少し話が違ってくるのではないだろうか。親に養ってもらっているうちは、子どもは親に逆らいづらいのと同じように、カネをもらう側は立場が弱く、支配されることと紙一重な部分があるだろう。生活の面倒を見てもらっていたというだけに、内田さんはある程度、希林さんに気を使っていただろうし、実は頼りにしていたのではないだろうか。現在の希林ブームでは、「夫が外で何をしようと文句を言わず、耐えて愛し続けた妻」という扱いになっているが、希林さんを手放すと、生活に困ってしまうのは内田さんで、夫婦の力関係は「希林>内田」という部分があったのではないかと推測する。

 カネと言えば、「女性セブン」によると、希林さんの遺産は内田さんをスキップして、娘の也哉子さんや娘婿である本木雅弘、お孫さんに相続されているという。生前、希林さんは「私が死んでも、夫に遺産は遺さない」と語っていたそうだが、内田さんの経済感覚を信用していなかったこと、また二次相続で也哉子さんが相続税に悩まされないようにするために取った対策らしい。

 けれど、それだけだろうか?

 ここにきて、内田さんの身の回りの世話をし、闘病と最期を看取った女性マネジャーがいることを「女性自身」(光文社)が報じている。あまりの親密ぶりに内縁の妻と見る人もいるようだが、希林さんは仮に愛人でも構わず、感謝しているというスタンスだったそうだ。

 いつも女性に面倒を見てもらえるのは内田さんの魅力のなせる技だろうが、もし希林さんの遺産を相続した内田さんが、この女性と結婚すると言い出したら、相続で揉め事が起きるのは目に見えている。相続税対策として、也哉子さんに直接相続させたのが第一義ではあるものの、「カネはないが、オンナが放ってはおかない」という内田さんの長所と短所を知り尽くしているからこそ、トラブルを避けるためにも、「まとまった形で与えない」という選択をしたのではないだろうか。

 内田さんにあえて遺産を相続させなかったというのは、想像の域を出ないが、希林さんが死ぬまで内田さんを愛したことは事実だろう。人からどう思われようと自分の選んだ人を激しく愛し、そのためにひたすら稼いだようにも思える。菩薩のように内田さんを許す一方で、情が激しく冷静な面もある。希林さんのすごいところは、一筋縄ではいかない愛し方を私たちに見せたことではないかと、私は思っている。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

このニュースに関するつぶやき

  • 私にはできないなぁ。そこまで執着心がなくて��������
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  • 愛する夫を絶対離さず、手元に置きましたね。
    • イイネ!9
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