back numberはなぜ“名曲”を生み出し続ける? 「HAPPY BIRTHDAY」「大不正解」より考察

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2019年03月29日 14:21  リアルサウンド

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 back numberが本日3月29日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演。「HAPPY BIRTHDAY」と「大不正解」を披露する。


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 back numberらしい珠玉のラブソング「HAPPY BIRTHDAY」と、アッパーなロックチューン「大不正解」。どちらも毛色は違うものの新たな進化を遂げた良作だ。そこで本稿では、この2曲から改めて彼らの魅力について考えてみたい。


 幾度とラブソングを作ってきたback number。彼らのラブソングへのスタンスは不変的だが、どの曲も聴き手をしっかり惹きつける。その理由の一つには、清水依与吏(Vo/Gt)によるメロディメイクがあるのではないだろうか。「HAPPY BIRTHDAY」のサビでは、〈くだらない話は思い付くのに/君を抱き締めていい理由だけが見付からない〉〈ああそうか そうだよな〉というフレーズを、ファルセットとシャウトを行き来するメロディで叙情的に演出。聴いてると、嘆く主人公の様子が不思議と浮かんでくるのだ。聴き手の想像力をかきたてるようなメロディラインと、それをサラッと歌いこなす清水の歌唱力。それらが存分に発揮されている。また、アレンジ/プロデュースは彼らと何度もタッグを組んできた小林武史だ。同曲でもやはり両者の相性は抜群。エモーショナルなストリングスと畳み掛ける躍動的なピアノは、生々しい歌詞を瑞々しく輝かせ、聴き手の懐に入り込んでくる。聴き慣れた王道ポップスのようで、圧倒的に聴き手を惹きつける彼らの魅力が、同曲には凝縮されているのだ。


 一方「大不正解」は、熱量のあるロックサウンドに打ち込みやシンセを導入した、ハイブリッドな楽曲になっている。プロデュースは蔦谷好位置だ。これまでのラブソングとは異なる楽曲にチャレンジした彼ら。それは様々なタイアップやドームツアーの成功などによって、次のステージに進もうとする決意の表れであるようにも思う。また、ダンサブルなアレンジで音楽性を拡張しつつも、〈僕等は完全無欠じゃ無い〉〈原型を愛せるわけでもない〉といった彼ららしい“哀愁フレーズ”も含まれており、楽曲に良い歪さが生まれていることにもふれておきたい。


 先ほど小林武史や蔦谷好位置にもふれたが、back numberの魅力を語る上で、アレンジャーとの親和性は重要な要素のひとつだ。以前、彼らはインタビューでこのように述べていた。


「『ラブストーリー』(2014年3月発売の4thアルバム)を作ったときに「このバンドはこんな感じだな」ってわかっちゃった気がしたんですよ。『このままじゃダメだな』と思ったというか……だから小林武史さんにプロデュースをお願いできたのかなと思います。「バンドサウンドとかにこだわっている場合じゃない。とにかく『いい曲だ』って言ってもらえる曲を作ろう」という感じになってましたから」(参照:https://natalie.mu/music/pp/backnumber10/page/2)


 常に“いい曲”を生み出すための最良の手段を選択する。その柔軟な考え方は、彼らがJ-POPと真っ向から向き合っているからこそ。実際に、小林武史などのアレンジャー陣によって潜在していた魅力が掘り起こされたように思うし、近年の楽曲からはアレンジャーたちの良いところを吸収していることがうかがえる。きっと彼らは、プロデューサーの選定も的確なのだと思う。大きな変化を感じさせず、しかし確実に進化を遂げているback number。彼らが万人に聴かれ続けている理由はそこにあるのではないだろうか。(北村奈都樹)


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  • 個人的にはベタでつまらないバンドだと思うが、こういう王道のトゲのないバンドが好きな人が沢山いるのも事実
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