Mrs. GREEN APPLE、Czecho No Republic、集団行動……バンド発のポップミュージック

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2019年04月02日 07:11  リアルサウンド

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 エンターテインメント性に溢れた音楽性でバンドシーンの新たな潮流を生み出しているMrs. GREEN APPLE、海外のインディーロックと同期しつつ、独自のポップセンスを発揮しているCzecho No Republicなど、“バンド発のポップミュージック”を楽しめる新作を紹介。優れたポップネスと生々しいバンドサウンドの融合を堪能してほしい。


(関連:Mrs. GREEN APPLE、キャッチーなだけではない魅力 全曲に通ずる“寂しさ”に注目


 2019年第1弾シングル『僕のこと』がオリコン初登場4位、同時発売のライブ映像作品『ENSEMBLE TOUR 〜ソワレ・ドゥ・ラ・ブリュ〜』はDVD総合チャートで初登場2位を記録、さらに台湾の音楽イベントに初めて出演するなど、順調な活動を続けているMrs. GREEN APPLEのニューシングル表題曲「ロマンチシズム」は、エディットされたギターフレーズを軸にしたAメロ〜なめらかなアルペジオを配したブリッジ〜高揚感溢れるメロディが響き渡るサビを融合させたポップチューン。幅広い音楽要素を1曲のなかに織り込み、全方位のリスナーにアピールしつつ、バンドとしての固有性をしっかりと根付かせた「ロマンチシズム」は、まさにMrs. GREEN APPLEの真骨頂だ。〈偶然?必然?/ロマンスは突然/POPSは新鮮〉という確信的なラインも心に残る。


 前作『旅に出る準備』(2018年)と今回のEP『Odyssey』を伴った全国ツアーで“4人体制でのリスタート”を明確に示したCzecho No Republic。約1年ぶりのリリースとなる今作は、『Odyssey』というタイトル通り、”長い冒険の旅(のはじまり)”を感じさせる作品となった。カントリーのテイストを取り入れた「STAR」、煌びやかなエレクトロサウンドが響き渡る「Everything」、バウンシーに飛び跳ねるビートと明るいメロディが気持ち良く広がる「Wake Up!」など、奔放にして斬新なポップフレイバーも楽しいが、特筆すべきは、リスナーに寄り添い、徹底してポジティブに振り切った歌詞。〈大丈夫かな?って/心配したわ/愛の人だから 故 気がかりで〉(「オッデセイ」)というフレーズからは、現在の4人のモードがはっきりと伝わってくる。


 最新鋭のエレクトロとキャッチーなJ-POP感を融合させた表題曲「SUPER MUSIC」、ニューウェイブの要素を取り入れた「テレビジョン」、ハッピーで素朴なロックンロールナンバー「セダン」など、古今東西のポップスのエッセンスを偏りなく反映させた“ポップ見本市”と称したくなる集団行動の3rdアルバム。真部脩一(Gt)の奥深い音楽知識と卓越したソングライティングはもちろん、本作の軸を担っているのは齋藤里菜(Vo)のボーカルだ。幅広いジャンルの楽曲に挑戦することで、(優れたポップスに必要不可欠な)“個性と魅力をあわせ持ったシンガー像”をしっかりと打ち立てている。制作中は迷いに迷ってダークサイドに落ちることもあったというが、本作によって彼女は驚異的なステップアップを果たしたと言っていいだろう。


 ロック、ネオソウル、ファンク、R&Bなどをベースにした極上のバンドグルーヴ、そして、エッジとポップを同時に感じさせるボーカルによって確実に評価を高めつつあるRAMMELLS。ニューアルバム『Mirrors』は、“もっと大衆に向ける”という共通認識のもと、70年代以降のダンスミュージックと現代的なポップネスを結びつけた意欲作となった。そのスタンスを端的に示しているのが、“いまの日本の音楽シーンのなかで、幅広いリスナーが踊れる曲とは、どういうものか?”というテーマで制作されたという「Gone with the wind」。軽快な4つ打ちビートとしなやかなファンクネスを両立させたアレンジ、思わず口ずさみたくなるメロディがひとつになった同曲は、このバンドの現在のポップス観と直結している。


 フォーク、歌謡、ロック、パンクを生々しく吸収した“合唱系ノスタルジック青春歌謡オーケストラ”を掲げる京都在住の7人組・バレーボウイズの3rdミニアルバム『青い』は、タイトルが示す通り、青くささが詰まった歌がたっぷり。〈輝いてやまない あなたの言葉は/一言一言を 宝箱に入れましょう〉と純な恋心を歌った「渚をドライブ」、濃密なノスタルジックを含んだ旋律、青春の苦しさ、愛おしさを感じさせる歌詞が胸に沁みる「若者たち」、刹那的な感情がほとばしるロックンロール「人間大好き」。切なさ、恥ずかしさ、瑞々しさを同時に感じさせるバレーボウイズの楽曲を聴いていると、ポップスとは歌であると改めて実感させられる。さあ、みんなで肩を組んで歌おう!


■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。


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