フジ・山崎夕貴アナは「バラエティー向きの妻」――視聴者ウケを呼ぶ“2つの顔”とは?

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2019年04月05日 00:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

山崎夕貴公式プロフィールより

 羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「今年に入って、おにぎりが一回しかない」フジテレビアナウンサー・山崎夕貴
『ノンストップ』(フジテレビ系、3月29日)

 夫婦関係を扱うバラエティーに向く芸能人とは、本人のトークスキルよりも、配偶者の職種や社会的地位が重要なのではないだろうか。

 例えば、先日引退した米大リーグ・マリナーズの元外野手、イチロー。偏食とこだわりが強いことは本人も認めており、そばにいる弓子夫人はさぞ苦労したことだろう。しかし、だからといって、仮に世界記録保持者の妻がバラエティーに出演し、夫の愚痴を言ったなら、「あれだけの結果を出しているんだから、それくらい許してやれ」とか「年棒が高いんだから、我慢しろ」と叩く人はいるはずだ。

 かといって、弓子夫人が「夫はとてもいい人で、私は愛されています」とアピールをしたら、途方もない富だけでなく愛まで見せ付けられて、視聴者は立場がないだろう。超高収入な夫を持つ妻は、バラエティーには不向きと言えるのだ。

 それでは、どういう人が夫婦バラエティーに向くかと言えば、元フジテレビアナウンサー・中村仁美のようなタイプだろう。中村の夫は、お笑い芸人・さまぁ〜ずの大竹一樹。日本全体の平均値で見れば、かなり高収入なカップルだろうが、中村はそれを前面に出さない賢さがある。かつ夫がお笑い芸人であるため、何を言っても「あれはネタ」だと言える逃げ道もある。よって、夫に対する不満を言っても、どこにも角が立たないのだ。

 大竹はいろいろな番組で中村を「鬼嫁」と呼び、中村もいろいろな番組で、それに対する反論や夫への愚痴を明かしている。3月27日放送の『ノンストップ』(フジテレビ系)では、夫からプレゼントされた「いらないもの(キャベツの千切りしかできないピーラーなど)」を挙げてみせた。ここでのポイントは、実生活で受けた愛情表現をテレビで話さないことだろう。大なり小なり夫に不満を持つ妻というキャラなので、のろけ的なニュアンスのエピソードを披露すると、矛盾が生じてしまうからだ。

 こうやって考えていくと、バラエティーで結婚生活について語るタレント枠で、がら空きのポジションがある。

 それは「愛され妻」だ。ドラマの主役が素直で善良な人物である場合、悪役を登場させると、主役のキャラクターに深みが増すように、バラエティーの世界も、夫の愚痴を言う妻だけでは盛り上がらない。「愛され妻」が必要である。しかし、上述した通り、「高収入の夫を持つ愛され妻」はバラエティーとして映えないだろう。そもそも、女性芸能人は高収入な男性と結婚するケースが多いことを考えると、なかなか適任の人物はいないように思うが、ここにきてバラエティー界に、「愛され妻」と「夫への愚痴をこぼす妻」両方のキャラクターをこなせる妻が現れた。フジテレビの山崎夕貴アナである。

 女子アナと言えば、プロ野球選手や会社経営者など、高収入な男性と結婚することが多いのに、山崎アナは売れているとは言い難い、お笑い芸人・おばたのお兄さんと結婚した。フジテレビのエースである山崎アナの方が、年収が高いことは間違いないだろう。

 しかしその結果、山崎アナはいじられやすくなり、露出が増しているようだ。『さんまのFNSアナウンサー全国一斉点検』(同)で、山崎アナは夫との“いちゃいちゃシーン”を放送されていた。テレビ局の控室で撮影した、夫への「LOVE動画(山崎アナが体でアルファベットを作ってLOVEの字を作る)」や、夫と後輩芸人を交えた食事の様子を隠し撮りした映像が流されたのだ。

 フジテレビのエースとも言える山崎アナが、売れているとは言い難い、夫と後輩芸人の食事会にやって来て、後輩に「いつも仲良くしてくれてありがとう」と挨拶し、おばたを立てる。一方のおばたも、椅子に座った山崎アナの体が冷えないように、毛布のようなものをかけてあげる優しさを見せる。後輩が先に帰り、二人きりになると、一気にいちゃいちゃモード。山崎アナはおばたの鼻をつつき、おばたも「いい奥さんだな」と返す。

 もし山崎アナの相手が、現役プロ野球選手や有名俳優だったら、こういったいちゃいちゃシーンは夫側のイメージダウンになりかねないので、まず無理だろう。しかし、おばたはまだまだ駆け出しの芸人。山崎アナの方に経済力があり、生活の心配はないという背景が共有されているため、おばたは「収入は今のところいまいちだが、愛情表現豊富な夫」というキャラクターとして視聴者に受け入れられるだろう。特に独身女性を中心として、好ましく解釈されるのではないか。おばたも、そういう男性とあえて結婚した山崎アナも、イメージを上げることになるわけだ。山崎アナは「愛され妻」の座を独り占めできるのである。

 しかし、こういう「いい話」というのは、実はすぐに飽きてしまうというか、バラエティー的に盛り上がらないという欠点もある。それを知っているのか、それとも素なのか、山崎アナがそうそうに「夫への文句」を『ノンストップ』で披露した。

 現在、『とくダネ!』(同)に出演中の山崎アナは、朝が早い。山崎アナは『とんねるずのみなさんのおかげでした』(同)で料理が苦手であることを明かしており、そんな山崎アナのために、料理が得意なおばたが、朝ごはんとしておにぎりを握るのがお決まりになっていたという。そのおにぎりも、「オムライスおにぎり(チキンライスを卵で包む)」といった具合に、手の込んだもの。しかし、今年になっておにぎりを握ってくれたのは、一回だけ。「これが結婚なんだ」と山崎アナはがっかりしたそうだ。

 愛されていると言ったり、夫への不満を言ったり、矛盾していると思われるかもしれないが、山崎アナの不満は、愛情うんぬんの話ではなく、料理は得意な方が担当するはずだったのに……といった「家事の分担」についてなので矛盾は生じないだろう。

 山崎アナの愛されアピールは、若い女性を中心とした独身女性に受けるだろうし、家事の分担に関する嘆きは、夫の行動に不満を感じたことのある既婚者にとって、「あるある」「そんなもんよね」と共感できるものだろう。つまり、愛されアピールと不満を言うことで、山崎アナの支持層は、より広くなっていくと言えるのだ。2つのジャンルを掛け持ちできるということは、それだけ活躍の場が多いということでもある。

 山崎アナのさらなるポテンシャルを感じさせたのが、『ダウンタウンなう』(同)での「次に浮気をされたら、離婚」宣言である。山崎アナはおばたとの交際直後に浮気をされるが、その時の経験があまりにもつらくて、「もう乗り越えられない」ときっぱり宣言していた。おばたの行動如何で、二人は離婚するとも限らない。この先行きの不安定さもネタになるし、バラエティー向きと言えるだろう。

 昨年、「週刊文春」(文藝春秋)主催の「好きな女子アナランキング」で4位をマークした山崎アナだが、今後もっと支持する人は増えるのではないだろうか。『みなさんのおかげでした』で、「入社試験まで東京に行ったことがなかった」と話していた山崎アナ。地方出身の彼女が、東京で天下を取る日はそう遠くない気がする。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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