「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『名探偵コナン 紺青の拳』

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2019年04月12日 21:11  リアルサウンド

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 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、コナンに英語字幕をつけて英語の勉強に勤しんだ過去を持つ安田が『名探偵コナン 紺青の拳』をプッシュします。


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■『名探偵コナン 紺青の拳』
 毎年恒例となった劇場版『名探偵コナン』の季節がやってきました。来たるヒーロー最終決戦に向けて、すでに4月26日に心を飛ばしてしまっているアナタ。ゴールデンウィーク突入はまだ早いですよ。今年の『名探偵コナン』もヒーローたちの戦いに引けを取らない一大スペクタクルに仕上がっております。


 今回の舞台は、シンガポール。劇場版コナンシリーズ初の海外編となります。厳密には、『ベイカー街の亡霊』で、19世紀末のロンドンが描かれましたが、あれは仮想世界の話。この背景には、昨今日本のアニメーション映画の海外での市場規模がどんどん拡大していることが、影響しているでしょう。昨年の『ゼロの執行人』の国内興収は91.8億円ですが、中国をはじめとする海外の興行を含めると110億円を超えるヒットを叩き出しています。さらには、昨年12月に公開された『ドラゴンボール超/ブロリー』は、全世界で120億円を売り上げるヒットを記録しています。


 こういった海外を強く意識した作品作りは、作中にも如実に表れています。本編中、登場人物が英語で会話をする場面が多くあります。海外が舞台なら当然、と感じるかもしれませんが、こと『名探偵コナン』に限って言えば、これは特殊です。それは、TVアニメ版『名探偵コナン』286話〜289話『工藤新一NYの事件』を見ると明らかです。


 この話では、コナンになる前の新一が、蘭と母の工藤有希子とともにニューヨークを訪れます。そこでは、シャロン・ヴィンヤードやラディッシュ警部などをはじめ多くのアメリカ人が登場するのですが、登場人物は日本語で会話します。明らかなアメリカ人も、全員日本語を話すのです。もちろんTVアニメは夕方に放送されており、視聴者は字幕での鑑賞に慣れていない若年層がメインですので当然ともいえるでしょう。


 このように『名探偵コナン』は言葉の壁というものを一時無視したり、あるいはあえてその言葉の壁をトリックや演出に取り入れたりと、ある意味都合の良い解釈で乗り切ってきました。しかし、本作においては言葉の壁は、登場人物の前に眼前と立ちふさがります。子ども向けアニメーションであるはずの本作が、あえて鑑賞対象のハードルを上げるような選択を取ったことに驚きました。これは、日本だけでなく海外、特にアジア地域への市場拡大を狙ってのことに違いないでしょう。


 さらに今回は、前作の立川譲監督から永岡智佳監督へとバトンタッチがなされています。昨年も長年シリーズを支えてきた静野弘文監督からの交代劇がありましたが、2作連続で監督が入れ替わる、しかも昨年シリーズ歴代最高のヒットを叩き出した立役者を易々と引っ込めるというのはなかなか思いきった判断です。もしかすると今後MCUのように、様々な監督が多角的に作品ユニバースを広げていく算段を立てているのかもしれません……。


 永岡監督は、『絶海の探偵』から『純黒の悪夢』まで演出を歴任。『から紅の恋歌』では助監督を任されていました。本作が、監督デビュー作となります。そして、脚本は大倉崇裕さん。この方も『から紅の恋歌』で脚本を務めた方で、劇場版シリーズの勝手知ったるタッグとなります。本作においてはお約束的演出、ファンが笑みを零してしまうようなサービス精神を忘れず、更には今までのシリーズには見られなかった挑戦的な試みも見られます(「月の光」この言葉を覚えておいてください)。


 平成と令和をまたぐ形での公開となる本作。23年続く長いシリーズの1つの転換点を迎えていると思います。今作から新規開拓と技術継承を込めた意欲を感じました。ぜひ劇場へ足をお運びください。(リアルサウンド編集部)


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