F1 Topic:クラッシュしたアルボン車のPUを次戦で使うか否か。リスクと安全の間で悩ましい問題

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2019年04月14日 07:11  AUTOSPORT web

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初日、そして予選日とパワーユニットの交換が続き、ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクター
F1第3戦中国GP、フリー走行3回目のセッション終盤、最終コーナー立ち上がりで挙動を乱し、タイヤバリアに激突したトロロッソ・ホンダのアレクサンダー・アルボン。幸い本人にケガはなかったものの、マシンは大破し、予選へも出場できなくなった。

 もうひとつ気になるのは、パワーユニットへのダメージである。あれだけの激しいクラッシュ、しかもマシンのリヤからぶつかっただけに、無傷で済んだとは考えづらい

 その点を予選後にホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターに訊くと、「パワーユニットは全交換しました」とのことだった。ただしダメージを受けているかどうかは、「今のところ目視できるようなものはない」とのことだった。

「横方向から衝撃が加わって、エキゾーストパイプが潰れています。それでも見た目はパワーユニット自体にひび割れなどは認められないのですが、とにかく研究所に送って今後使用可能かどうか、しっかり検査します」

 では今後、再使用できそうな可能性はどれぐらいあるのだろう?それについても、なかなか答えは出ないという。

「非常に難しい質問です。これがたとえばマシン前部からのクラッシュで、パワーユニット周りに明らかに力が加わっていなければ、使ってみようという決断は下しやすい。しかし今回のようにリヤの片側全部に力がかかっている状況では、たとえ外観上は何もないとしても、リスクを取るべきかどうか」

「次のレースのFP1で使うと決めたとして、万一走り出してすぐに不具合が出たら、そのセッションを棒に振ってしまいます。かといって異常がないのに使わなかったら、シーズン後半になってから年間3基の規定の中でのやりくりが苦しくなる。そこが現行レギュレーションの、一番むずかしいところですね」

 主要コンポーネントには、すべて封印が施されている。そのため内部を開けてのダメージ確認はできない。では具体的に、どんな確認作業ができるのだろう。

「まずは外観チェックですね。封印されていなくても外せるパーツは、外して調べます。それからエンジンは、手回しで回して異常をチェックする。それとフィルターで潤滑油をこして、切子が入ってないか調べます」

 切子というのは、微細な金属片のことである。クラッシュの瞬間もエンジンは回っていたため、どこかにダメージがあれば、切子が出てくる可能性がある。そうすればそのエンジンは、再使用はできない。中国の通関は複雑なため、パワーユニットの日本への送り出しは、早くとも週明けになる予定だ。

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