GT500決勝《あと読み》ホンダ佐伯GTリーダー、ARTAの勝利を称えるもNSX同士討ちに沈痛。「こういうレースはもうしたくない」

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2019年04月15日 12:01  AUTOSPORT web

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24周目の1コーナーで2番手のKEIHINの追突を受ける形で押し出されてしまったトップのRAYBRIG
スーパーGT第1戦岡山の決勝レース、大雨の悪天候のコンディションでさまざまなアクシデントが発生してしまったが、その中でもホンダ陣営にとって一番のインパクトとなってしまった、トップ争いでのRAYBRIG NSX-GTとKEIHIN NSX-GTの同士討ち。ARTA NSX-GTが優勝したものの、ホンダの佐伯昌浩GTプロジェクトリーダーにとっては心の痛む開幕戦となってしまった。

 予選ではニッサンGT-Rがフロントロウを奪い、3-4-5番手をホンダNSXが獲得。「満足しています」と佐伯リーダーも納得の予選結果だったが、雨天の決勝レースではまさかの展開となってしまった。

 ミッドシップという特性上、FRのライバル2車に比べてリヤタイヤの温まりが早いからか、セーフティカー明けのレーススタートからNSX陣営のペースはライバルを圧倒していた。

 実質のオープニングラップで3番手のRAYBRIG山本尚貴が2番手のカルソニックIMPUL GT-Rをパスすると、11周目の2度目のセーフティカー明けにもトップのMOTUL AUTECH GT-Rを1コーナーのアウト側から並び掛かりオーバーテイク。4番手グリッドのKEIHIN塚越広大も2台のGT-Rをパスし、その後に5番グリッドのARTA伊沢拓也もオーバーテイクを決めて、3度目のセーフティカー明けのスタート後の20周目にはRAYBRIG、KEIHIN、ARTAでホンダNSXがトップ3を独占する展開となった。佐伯リーダーが振り返る。

「タイヤの温まりが良かったのか、それぞれセーフティカー明けに前のクルマをパスすることができて1-2-3を形成できたのは、ウエットタイヤ選択も良かったのかなと思います。この状況のレースなのでクルマのバランスは悪くなかったとは思いますが、タイヤの選択も含めて非常にいいパッケージになって、うまくまとめきれたのかなと思います」と佐伯リーダー。

 だが、1-2-3体制を築いた4周後、ホンダ陣営にとって目を背けたくなるようなアクシデントが起きる。

 24周目の1コーナーのブレーキングで2番手KEIHINが追突する形でトップのRAYBRIGに接触し、RAYBRIGはスピンを喫して1コーナーアウト側のグラベルへ。KEIHINはそのままトップに立ったものの、RAYBRIGはグラベルでスタックして実質、このレースを終えてしまった。その後、赤旗提示でレースは打ち切りとなり、KEIHINはドライブスルーペナルティ相当の34秒ペナルティを受けて14位に。24周目の時点で3番手だったARTAが優勝する形となった。

■ホンダスーパーGTプロジェクトリーダー佐伯氏「非常にまずいレースをしてしまった」


 開幕戦を制する形となったホンダ陣営だが、一時は1-2-3体制で表彰台独占も間違いない状況ではあった。同士討ちで自滅し、GT-R2台が表彰台に上がるという、敵に塩を送る形にもなってしまった。佐伯リーダーは追突してペナルティを受けたKEIHINに同情しつつも、厳しい心境を吐露する。

「今日の展開としましては、8号車(ARTA)が開幕戦で今季1勝目を挙げられたというはホンダにとって非常に良かったですが、ホンダ陣営としては一番やってはいけないことをやってしまったと思っています」

「こういう展開だからこそ早めに前に行かなきゃいけないし、何が起きるかわからないし、レースが終わってしまうかもしれないと考えると、ドライバーの心理としては行けると思ったときに行くという気持ちがあったと思います。ウォータースクリーンもひどい中、17号車(KEIHIN)の方が1号車(RAYBRIG)よりもペースが良かったというので吸い込まれるように接触してしまったわけですけど……仕方ないでは済まされない部分もありますが……ある種のアクシデントのひとつだとは考えています」

 開幕戦の勝利と同士討ちという、振り幅の大きい両極端な内容となったホンダ陣営の開幕戦を終えて、佐伯リーダーの心の中はどのような感情が多くを占めているのだろう。

「こういうレースはもうしたくはないですね……レースとしては今回、非常にまずいレースをしてしまった」と佐伯リーダー。

 レース後のRAYBRIG、KEIHINのスタッフにどのような声を掛けたのかについては、「それはノーコメントとさせてください」と沈痛な表情を見せた。

 本田技研工業の八郷隆弘社長が現場で見守る御前レースでの味方打ちとなってしまったが、八郷社長はひとまずはARTAが勝利したことでポジティブな印象で結果を受け止めたようで、それが本当ならば不幸中の幸いか。それでも、今シーズンのホンダ陣営の空気を一変させることになってしまった今回の一件は、まだまだ後を引きそうな気配だ。

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